新型肺炎対策で一部病棟が隔離扱いになっています

ベトナムにおける新型コロナウイルス流行状況(2020年2月16日午前現在)

前回noteにて2月9日現在の様子を書きました。それから一週間が経ちまして、ベトナムにおける状況はどう変わっているのでしょうか?

三次感染確認も、新規感染者確認数は微増にとどまる

このnote投稿現在、ベトナムにおける新型コロナウイルス感染確認数は16名、幸いにも感染者数はわずか2名の増加に止まっています。(もちろん、全てのケースを追えているのか否かは定かではないですが、その件は稿を改めて)。内、7人は既に退院しています。武漢からの帰国者30人も2月10日(月)に戻ってきて、現在隔離されながら検査を受けているようなので、検査結果はこれから明らかになるものもまだあるかもしれません。

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この内、発生の続くVinh Phuc省で出た15例目の感染者は生後3カ月の女の赤ちゃん。この感染は武漢に研修でかかった方、その人から感染したおばあさんの孫という、いわゆる「三次感染」が確認された初めての例とされます(上図はVN Expressより)。赤ちゃんは当初はVinh Phuc省内で治療を受けていましたが、後に国立小児病院に転院され、現在容態は落ち着いているそうです。

Vinh Phuc省一部にはついに移動制限措置

前回記事でも書いた通り、新規発生は引き続きVinhPhuc省に集中しています。退院した方も含めて確認された16人の内、11人が同省内で発生しており、同省における対策は緊迫感を増しています。ただ、その代わりに感染経路は今のところ全て追えているということで、その点は良いニュースと言えるでしょう。

そのVinh Phuc省では、特に感染者が集中するxã Sơn Lôi(ソンロイ村、以下地図の赤囲み部分)を「孤立させる」政策を今日から実施し始めました。中国で行われている大々的な移動制限、武漢に見られるような「都市封鎖」に比べると非常に限定的な規模ですが、感染者が集中する村を封じ込めて、これ以上の感染拡大を防ごうという狙いです。一つの村への措置ということで経済・社会的な影響は限定的かとは思いますが、ハノイの北西隣、約40キロ程の距離でこのような措置が行われ始めたことは興味深いですし、日系企業が多いVinh Phuc省という土地柄も気になります。ともあれ、更なる感染が広がらないよう祈るばかりです。

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同村の住民は4万ドン/日(約200円)支給されるといいます・・・、大都会ではないようで生活費は高くないでしょうが、さすがにこの金額で移動制限では仕事に行くのもままならない地域の人にとっては大変でしょう。以下Tuoi Tre onlineには出入りを制限する「関所」の様子が写真や動画で伝えられています。

学校休校は延長に次ぐ延長、3月末まで延長も!?

様々な対策の中でもベトナムに住む人たちに直接的な影響を与えているのは、幼稚園から高校までの休校措置でしょう。旧正月明け以降2日くらい学校が再開して以降、2月に入ってからは全国のほとんどの地方省で休校。それ以降毎週金~日の間に「来週も延長」という決定が続いています。筆者も含めてベトナムに住む親御さんたちは「来週はどうなるんだろう?」と毎週末のニュースチェックが欠かせません。

ハノイ市での最初の休校措置は日曜夜に決まったので、翌日からの子供の世話を急にアレンジしなければいけない市民が駆け回ることになりました。

ハノイ市は現在のところ2/23までの休校しか発表していませんが、ホーチミン市、ダナン市など多くの地方省・市は既に2/29まで、つまり2月いっぱいの休校を発表済み。そしてメディア報道では既に「3月いっぱいの休校をホーチミン市人民委員会が検討中」と、更なる休校長期化の可能性を示唆する記事も。

筆者も含めて小さな子供を抱える市民は、さぞ苦労しているんだろうし、子供もさすがに退屈をするし、「もしかしたらこの措置に反対する声も多いのでは?」と思いつつも、国民は思ったよりもこれら措置に賛成多数のよう。この3月までの休校延長提案にもネット上では支持の声が多く聞かれます。身の回りでも、子供の世話をどうするかは頭が痛いものの「止むを得ない」という雰囲気でこの措置を受け入れています。

この学校休校を巡る反応を含め、ベトナムの人たちは現在出ている感染者数の少なさと反比例するかのように、今回の新型コロナウイルスに対してかなり警戒心が強いなあということを思わされます。やはり、政府公式発表に疑問を感じる気持ちもそこにはあるのか?それとも・・・?。こちらベトナム人の反応の背景については、稿を改めて考えてみたいと思います。

11年間ベトナム(ハノイ)、6年間中国(北京、広州、香港)に滞在。ハノイ在住の目線から、時に中国との比較も加えながら、ベトナムの今を、過去を、そして未来を伝えていきたいと思います。