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【ホロライブ事件簿】第7話 メイドの悲鳴【脚本】

晩餐会の夜編2

洋館門前 夜
晩餐会も終わり、門から次々と帰宅する車が出ていく。
スバルとちょこは門の前に立ち、誰かを待っている。
ほとんどの出席者が帰った後、ルーナを乗せた高級車が門に近づいていく。
スバルらの姿に気づいたルーナは車の窓を下ろした。
ルーナ「えっスバル先輩とちょこ部長!なんでここにいるのら?」
スバル「いやいや、聞きたいのはこっちのほうだぜ」
ちょこ「そうよ。びっくりしたわー」
ルーナ「えっそんなこと言ってもいつものことなのらね。招待されたから来ただけなのら」
スバル「ふつうは招待受けねぇから・・・。お前もしかして本物のお姫様かなんかなのか?。ただのコスプレ好きの変な女かと・・・」
ルーナ「はぁ?なんか言ったのら?」
スバル「あっ・・・いやいや・・・」
ルーナ「てゆうか、そんなことより大事な話があるのら!」
興奮してしゃべりだすルーナ。すると突然、
?「キャーー!!!!!」
女性の悲鳴が。館の方からだ。

洋館内 1階
正面玄関の扉は開いている。
スバル、ルーナ、ちょこは勢いよく走り込むと目の前の大階段の上に人だかりがあるのに気づく。

洋館内 2階 西廊下
彼女らは階段を上り、人込みをかき分けて入って行くと一人のメイドが倒れているのを見つける。周りは悲鳴を聞きつけたメイドや料理人など使用人らが取り巻いている。
彼女のそばには二人の警官A、Bがいる。
スバルは警察手帳を警官に見せ、メイドに駆け寄る。
警官A「刑事の方ですね!目立った外傷はないようです」
うなずくスバル。
スバル「大丈夫ですか?」
メイド「うう・・・」
メイドは意識があるようだ。自ら立ち上がろうとしている。
彼女の傍らには角がつぶれた段ボール箱が転がっている。
スバル「無理しなくてもいいですよ。・・・怪我はなさそうですね。名前は言えますか?」
メイド「湊あくあです・・・」
スバル「あくあさんですね。何があったか答えられますか?」
スバルの手を借りて立ち上がるあくあ。周りをキョロキョロ見る。
あくあ「黒ずくめの人は?」
スバル「誰かを見たんですね?」
あくあ「あ、はい。あの荷物(段ボール箱を指さす)を2階にもっていってと頼まれて、そうしたら黒ずくめの人がいて・・・」
スバル「それで」
あくあ「そこに展示されていた壺を持っていて」
スバル「壺?」
スバルはあくあの視線の先を見る。
粉々に割れた陶器の破片がある。
近くに腰ぐらいの高さの空の台座がある。
あくあ「私が悲鳴を上げたら、壺を投げ出して体当たりしてきたんです」
ちょこはとっさに近くにいる警官Bから無線を取り上げる。
ちょこ「不審人物が館内に侵入し盗難を謀った模様、現在逃走中。まだ敷地内にいる可能性が高い。全員捜査に当たれ」
ちょこの髪が風に吹かれたかのように揺れる。
彼女の背後に開け放たれた観音開きの窓が。
スバル「そこから逃げたのか?」
窓に近づき、下をのぞき込む。暗くてよく見えない。
スバル「ルーナ。ちょっと下に行ってみてくれないか?」
ルーナ「OKなのら」
ちょこ「私も行く」
警官A「私たちも行きましょう」
スバル「いや、あんたらは残ってくれ。最初に駆け付けたのは君たちだろ?聞きたいことがある」

◇洋館外 建物裏
事件現場の窓の真下。
明かりは建物の廊下側の窓から漏れる光だけで薄暗い。
ルーナとちょこが懐中電灯で地面を照らしながらやって来る。
ちょこ「あの高さから降りたとしたら無傷では済まないはず」
窓の真下を入念に照らすちょこ。足跡らしきものはない。
ルーナ「壁のほうはどう?」
壁に光を向けるちょこ。
ちょこ「まったく何もないわね」
ルーナ「異常なしか・・・んー」
考え込むルーナ。

洋館内 2階 西廊下
警官B「ええそうです。私たちが駆け付けた時には彼女しかいませんでした。階段はそこの中央大階段のみでこの廊下を進んでも行き止まりです」
スバルらは中央階段を上がって左にある西廊下にいる。
廊下の片側には部屋が並び、反対側は窓だけ。
警官A「正面玄関にいたので中央階段がすぐに目に入ります」
スバル「つまり、侵入者がこの西棟の廊下から反対の東棟か他に逃げようとすれば、大階段の前を通ることになり必ずあなた達の視界に入っていたということですね?」
警官A「はい。そういうことです。それから西棟には4部屋あるのですが奥の部屋以外は使用しておらず全て施錠しているはずです」
スバル「奥の部屋は開いている?じゃあそこに隠れているかもしれないですね。距離はありますが素早い犯人なら可能かもしれない。他も施錠されているか確認しましょう」
あくあ「あ、あのそれはたぶん無理だと思います」
スバル「?」

洋館内2階 西棟 1番目の部屋

スバルはドアノブを回そうとする。開かない。

洋館内2階 西棟 2番目の部屋

スバルはドアノブを回そうとする。開かない。

洋館内2階 西棟 3番目の部屋

スバルはドアノブを回そうとする。開かない。

洋館内2階 西棟 物置(4番目の最奥の部屋)

少し緊張した表情でドアノブを回すスバル。
ドアが開く。
部屋の中はぎっしりと荷物が詰め込まれていている。薄暗く埃っぽい。
スバル「うっぷ。確かに。隠れられる場所はないですね。埃もたまっていますし。じゃあ、窓からしか考えられないよなぁ・・・」
あくあ「ちょっとお願いですが、これをどこか空いているところに置いてもらえませんか?」
スバルは肩幅くらいの段ボール箱を受け取る。
それは事件時あくあが運んでいたものだ。
スバル「ええ、いいですよ。おっと意外と重いですね」
スバルは手近なところにそれを重ね置いた。
部屋から出ようとするスバル。内開きのドアを閉めようとすると何かを引っかけたのかうず高く積まれた段ボールがゆらっとこちら側に倒れそうになった。
スバル「うわっ!」
スバルはとっさに体全体で抑え込む。
スバル「あっぶねぇー!」
あくあ「ふふふ(笑)」
スバル「ん?」
あくあ「?、だいじょうぶですか?」
スバルの視線の先には災害備蓄用と書かれた真新しい段ボール箱が。その上には埃まみれの箱が詰まれている。
スバル「あ、いや何でもないです・・・」

洋館2階 間取り図 ※玄関ホールは吹き抜け

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