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映画「アバター 3Dリマスター」 尊敬されないジェームズ・キャメロンの復讐

「尊敬する監督は?」と聞かれたとき映画好きは何と答えるだろうか。

愛好家がいる場面では「成瀬己喜男」とマウントを取りにいくだろうか。女子にモテたいときは「PTA、あ、ゴメン、ポールトーマスアンダーソン」とスカすか。「ビッグボス、新庄だね!」は避けた方がいいだろう、寒すぎる。

あなたは誰が好きですか?スピルバーグ?濱口竜介?ジャームッシュ?北野武?セリーヌ・シアマ?

■世界歴代興行収入
 1位 アバター(ジェームズ・キャメロン)
 2位 アベンジャーズ/エンドゲーム(ルッソ兄弟)
 3位 タイタニック(ジェームズ・キャメロン)

ジェームズ・キャメロンは不遇だ。興収世界王者なのに。映画ファンはジェームズ・キャメロンに厳しいと思う。

ターミネーター2だってみんな好きなのに、決して彼を尊敬する監督と言わないだろう。反戦映画か、難解で芸術的な映画をつくらないと映画ファンはリスペクトしない。

さあ、今こそ言おう!「好きな監督はジェームズ・キャメロン!」

www.20thcenturystudios.jp


このたび初めて「アバター」を観た。
(食わず嫌いで「タイタニック」も「エンドゲーム」も観ていない💦)
感動した。映画5本分くらいの満足感だ。13年前?!おもしろ過ぎるじゃないか!!

はて、しかし、「アバター」は自分の知る映画体験と圧倒的に違っている。「没入感」ではまだ足りない、カラダ半分がもう映画世界に入り込んでいる感じだ。

これは、なんだこれは、えーと、なにかと似ている。。。

エロVR!
せぇー-------かー------い!
大正解!!

みなさん、VRゴーグル持ってますか?私は持ってません、紳士だから。ウソです、持つのがコワいんです。ゴーグル持ってハマったらもう現実の岸辺に帰って来られなくなるんじゃないかと。

こんな息苦しい世界に見切りをつけて、佐倉まなとずーとチュパチュパしてたい。フワフワでトロトロでエッチな空間に引きこもること必至である。

「アバター」もすごく面白かったんだけど、怖さを感じました。

これは果たして映画なんだろうかと。

いつも映画館で映画を観ているときって、いろんな考えごとをしてるんです。

「オレならきっとこんな決断はしないな」とか「過去にオレにもこんなことあったな」とか「もっと傷ついて世界と対峙しなきゃいけないな」とか。

映画館では視聴覚を刺激されながら、すごーく内省(=自分を見つめる)しているんです。

しかし「アバター」ではまったくそれができなかった。まるでパンドラという星に放り込まれナヴィの一員として戦ってるような忙しさだった。映画世界に入り込まされて、考えごとなんてしている場合じゃなかった。オレたぶん全身青くなってたと思いますもん。あまり詳しくないけど、ゲームとか、テーマパークのアトラクションに近い感覚。

ジェームズ・キャメロンを好きな監督に挙げないのは、映画ファンがこのへんのことを察知しているからではないか。

「キャメロンがつくるものは果たして映画なのか」

「キャメロンは映画の革新者なのか、破壊者なのか」

「映画から『自分を見つめる』が奪われるのか」

ジェームズ・キャメロンはこれからもアバターシリーズを発表し続けるという。彼は「人々が映画館で観る喜びを取り戻す」と公言している。

映画ファンは、映画館に足を運ぶ人が減少していると嘆きつつ、実は自分たちだけが映画の本質を知っているという甘い特権意識に浸っている。

素人が「配信で観ればいいのに」と言わば言え、「コンフィデンスマン」と「コナン」しか観ない者に映画館はわかるまいと。

映画館で『自分を見つめる』という選ばれし者だけの知的な幸福に酔い、無粋な観客は来なくていいと思っている。

ジェームズ・キャメロンは逆襲する。

世界1位と3位とT2をつくっても尊敬しなかった映画ファンに復讐する。

『自分を見つめる』という原住民の文化を破壊し、最先端の体験映像とともに「今まで映画館なんてほとんど行かなかった」大群衆を入植者として引き連れて、映画の星パンドラに住むナヴィという旧来の映画ファンを絶滅させるかもしれない。

#アバター
#ジェームズキャメロン
#佐倉まな
#ポールトーマスアンダーソン

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