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Day20. エッジ/フォグ/クラウド コンピューティングの違いとメリット

ひとりでIoTまるっとチュートリアル Advent Calendar 2018 20日目

一通り、エッジからクラウドまで学んできました。お分かりの通り、様々な箇所で計算処理は可能です。しかし、計算処理をする場所によって、得意な処理、不得意な処理があるわけです。

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どこで計算処理をするかは、送信機/ゲートウェイ構成・無線通信・そしてクラウドの容量など、IoTシステムの構成に深く、深くかかわってきます。ここで一度見ておきましょう。

目次
・高性能・拡張性「クラウドコンピューティング」
・IoTに必須の「エッジコンピューティング」
・最近注目されている「フォグコンピューティング」

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近年注目されているのが、クラウドコンピューティングです。Day16から話してきている通り、AWSやGCPなど、大手クラウドベンダがインフラ+様々なサービスを提供してくれるおかげで、我々は環境をほとんど考えることなく、必要なリソースを必要なだけ得ることができています。

クラウドコンピューティングのメリットは下記3点です。

高性能 : ディープラーニングやデータ分析と非常に相性が良い
柔軟 : 必要な分だけ性能を上げ下げできる。
集中管理 : 世界中からデータを一か所に集めることができる

しかし、クラウドコンピューティングの弱点は、「常にデータを吸い上げる端末がインターネットに安定的につながっておく必要がある」ということです。接続が切れたらクラウドにデータは集まらなくなるし、帯域が狭いと写真や動画などの重いデータを上げることができません。インターネットにつながるということでセキュリティを気にする人もいます。

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そこで、「エッジコンピューティング」が登場します。エッジコンピューティングはその名の通り、「端っこで計算処理」をするものです。

例えば、画像があるとします。大量の画像をクラウド上にアップロードするのは、かなりの通信量がかかります。しかし、本当に「画像そのもの」が必要なのでしょうか?本当に必要なのは、「画像に映っているものが何か?」だけでいい場合ってないですか?

あるいは、1秒に10回のサンプリングレートで、部屋の温度を取って、クラウド上にアップしているとします。しかし、本当に「0.1秒毎の温度」が必要なのでしょうか?5分の平均と最大値・最小値とかでいいのではないでしょうか?

このような時に、画像から何が写っているかを推論したり、5分間の温度の統計量を端末側で取ったりするのが、エッジコンピューティングです。画像でいえば、3MBくらいの画像が、10文字くらいになるし、温度データでいえば、3000個のデータを2個(ave/std)にまとめることができます。

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このように、端末側である程度の問題を解決してしまおうというのを、「エッジヘビー」な考え方と言います。

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しかし、通常のIoTでは、端末のマイコンは高度な処理能力を持たない場合が多いです。また、1台1台のデータを処理することになるので、データ集積能力という点では少々問題があります。

そのエッジとクラウドのいいとこどりを狙っているのがフォグコンピューティングです。雲と地面の真ん中は霧(Fog)という、洒落たネーミングです。

イメージ的には、Day.1の図のゲートウェイの高性能バージョンです。このゲートウェイに高性能で信頼性の高いマシンを配置することで、集積能力と計算能力を保証し、クラウドには必要なデータだけ送ることで、接続性の問題も解決するという狙いです。ゲートウェイに初期投資は少しかかりますがその分優秀な性能を発揮します。

製造業などでは、この考え方が広まりつつあり、FANUCやedgecrossなどが推し進めている状況です。

センサや機器から大量のデータが集まり、その中には内部だけで保持しておきたいデータも多くあります。それを一旦ゲートウェイに集積し、深い分析をしたいものだけをクラウドにアップロードすることで、必要なデータを必要なところで、必要な処理も必要なところでを実現できるのです。

まとめ

以上が、エッジ・フォグ・クラウドコンピューティングの特徴です。最後に三者の特徴を表にまとめておきます。

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本当に適材適所です。IoTは用途に合わせて主役をいろいろと変えられる自由度も魅力だと感じています。目的・課題から、

必要なデータは何か
そこから何を生み出すのか
それはどこで処理をするか
それはどこで貯めるのか

を考えることで、より良いシステムの構築を目指しましょう。

さてさて、明日はエッジコンピューティングの話。
エッジでディープラーニングをするための秘策をまとめてみます。

ではではっ。

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