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広島県を丸ごと“砂場”にする「ひろしまサンドボックス」~作って壊して事業を生み出す~

「広島県をまるごと実証フィールドに」
そんな文字がどっしりと構える「ひろしまサンドボックス(SB)」。

AIやIoTといった先進的な技術を活用して、地域課題の解決に挑みたい人たちを「広島県でいろいろやってみて!」と招き入れる懐の深いプロジェクトです。

県内外から人を・企業を・ウワサを呼んでいるこのプロジェクトでどんなことが行われているのでしょうか?

100件にも及ぶ実証実験

解決したい社会課題がある。社会に役立つ技術がある。でも…試してみる場所がない。そんな人たちが広島に集まって、さまざまな支援を受けながら実証実験(新しい商品やサービスを試行すること)に取り組んだ結果、2018年の事業開始以降、これまで行われてきた実証実験はおよそ100件にも上ります。

なかには実証実験を機に、新しい拠点を広島に設置した企業もありました。
県外からの挑戦者を、広島の企業や団体、大学や自治体などが温かく迎え、一緒に試行錯誤を繰り返すなかで生まれた新しいつながりのなかで、広島に馴染んでくれた結果ではないでしょうか。

「サンドボックス」とは砂場のこと。
穴を掘ってよし、山を作ってよし、水を足して固めるもよし。そして、なんか違うな?と思えば崩してもう一度作り直す。
「ひろしまサンドボックス」はまさにそんな創造の場を提供しています。

卵からfirst penguinになるまで!

2020年から2021年には、特にコロナ禍における課題解決をめざすプロジェクトとして、「D-EGGS PROJECT」が行われました。
デジタル技術でアイデアの“卵”を温める30の実証実験が県内各地で繰り広げられたのです。
ここでは世界的に注目される技術も育っています。

そして実証実験にとどまらず、ちゃんと羽ばたくところまで見届けるのが「ひろしまサンドボックス」のすごいところ。
続く2022年度からは、これまで実証実験で磨いてきた新商品や新サービスを社会に実装するためのプロジェクトが進んでいます。
それが「実装支援事業」と「サキガケ」です。

実証から実装へ。導入費用を支援する「実装支援事業」。

そして、実証開発したソリューションを実装するにあたり、障壁となる規制の緩和やルールメイクに“先駆け”て挑戦するスタートアップを支援する「サキガケ」です。

広島で実証されて、実際に使われるようになる。新しい技術によるイノベーションが広島から始まり、世界をより良くしていくなんて、ワクワクが止まりません。

「ひろしまサンドボックス」は、行政の施策では珍しく「失敗してもいい」と大きな声で言っているのも大きな特徴です。結果が出ないことを恐れて尻込みするのではなく、新たな挑戦をする人を後押しするための覚悟を感じます。行政らしからぬ風土がウワサを呼び、「広島県が面白いことやってるぞ」と注目を集めつつあります。

個々の実証実験をnoteにもしたためていますので、気になる実験はこちらをご覧ください!

特別インタビュー
「ひろしまサンドボックス」ってこんな場所

「ひろしまサンドボックス」を運営する広島県イノベーション推進チーム地域産業デジタル化推進グループの木津 早苗さんにお話を伺いました。

―今年度の「ひろしまサンドボックス」を振り返って。

木津:スタートアップの皆さんのスピード感やパワーがすごくて、ついていくのがやっとでした。実証実験を行う“挑戦者”とメンタリングする“セコンド”がタッグを組んで社会課題の解決を目指す「RING HIROSHIMA」というプロジェクトでは、偶然か運命かマッチングで出会った挑戦者のために、セコンドの皆さんが多くのリソースを割いてくださって…「その情熱はどこから来るの?」といつも驚かされました。
新しいことを始めたい人をサポートできる人が、さらに増えてくれると嬉しいです。

―「ひろしまサンドボックス」を触媒にした化学反応が起きていますね。

木津:偶然の出会いから、思いもよらない広がりをみせた人たちもいました。
相手の考えに共感したとき、「じゃあちょっと一緒にやってみようか」と、“軽やかに”参加できる雰囲気がありました。まずは失敗してもいいからやってみる風土が、スタートアップの皆さんはもちろん、広島全体にあると感じます。

木津:「広島県民」とか「カープ好き」とか、ステレオタイプなつながり方だけではなく、素直な共感から交わりが生まれる風通しの良さが「ひろしまサンドボックス」の特徴のひとつだと思います。
強く結びつきすぎず、軽やかにつながりあって、初めての人も入りやすい場所であり続けたいです。


EDITORIAL NOTE —小林のつぶやき

実験と言えば、理科の授業でカルメ焼きを作ったり、ミジンコを顕微鏡で見たりした思い出がよみがえる小林です。

「ひろしまサンドボックス」が始まって5年目、私が“宣伝部”に参加してから2年目が終わろうとしています。
スタートアップの皆さんや実証実験の場を提供する地元企業・自治体の方と接して、「その情熱の源は?」と私も何度も尋ねてきました。

「ひろしまサンドボックス」から発生した小さな熱が、広島県全体を包み込んで広がっていくのをこれからも見届け、みなさまにお伝えしていけることを楽しみにしています。

『いま、い“こ”』 小林祐衣

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