ブロッコリー凱旋記
ブロッコリーには、
わたしを愉快にさせる力がある。
それは、弟との思い出をおもいだすから。
小さな頃、
ブロッコリーのおつかいを頼まれた弟は、
意気揚々と近くのスーパーに乗り込んだ。
その小さな後ろ姿はとても頼もしくて、
ブロッコリーにはもったいないくらい。
でもその時、たまたま小銭がなくて、
お札を持たせてしまったのが運の尽き。
頼もしい彼は、その頼もしさに見合うだけの
大量のブロッコリーを両手いっぱいに抱えて家にかえってきた。
満足気な顔も相まって、それはもう勇者の凱旋といった様子で。
家族が慌てて訳を問うと、
どうやら彼は「ブロッコリーは、茹でると小さく縮んで、いつも食べているサイズになる」のだと思っていたらしい。
家族4人が食べるなら
最低でも4つのブロッコリーが必要で
でもそれじゃ足りないから…と考えていたら
両手いっぱいのブロッコリーになってしまったとのこと。
お母さんは呆れて、わたしは大笑いして、
お父さんは
「茹でたらサイズ変わるものもあるもんな」と
したり顔で頷いたりして、
弟は気恥ずかしそうにしていた。
それからしばらくは、
ブロッコリーサラダに
ブロッコリー炒めに
ブロッコリーグラタンに…と
毎日がブロッコリー祭り。
今日もか〜、と
家族で苦笑しながら食べつづけるのが
なんだかとても滑稽で心たのしく、
それ以来ブロッコリーをみると
その日々を思い出して愉快な気持ちになってしまうのだ。
そんな思い出をくれた弟に感謝。
またいつかたくさんのブロッコリーを抱えて、ひょっこり凱旋してほしい。よろしく。
🥦✨
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