蒐集家、久遠に出会う 第二章 六、久遠はいずこに
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なかなか寝付けなかった夜も過ぎ、姫路は起きてすぐ隣の研究室へ向かった。素早く鍵を開けて奥に声を掛けるが、返事はない。無口な久遠もついにここまで来たかとわずかに顔をしかめ、靴を脱いで部屋の中を進む。だがどこにも、二条の姿はなかった。
慌てて自分の生活圏にもいなかったか探るべく引き返したが、結果は同じだった。台所で作業をしていた刑部姫に尋ねても、知らないと返される。
「先に彦根さんの所へ向かっているんじゃないですか? ひょっこり戻っ