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「”農”のある、ワイン」安心院葡萄酒工房(大分県宇佐市安心院町)訪問記 1/3

麦焼酎でおなじみのいいちこをはじめとする、清酒・ブランデー・リキュール等、幅広く展開している大分県の酒類メーカー「三和酒類」。
その三和酒類へIMADEYAのスタッフで研修に行ってまいりました!
研修で学んだこと、感じたことを三部作にわたって紹介していきます。

第一部のテーマはこちら
三和酒類が手掛ける日本ワイン「安心院葡萄酒工房」って知っていますか?


安心院葡萄酒工房とは

読み方は「あんしんいん」ではなく「あじむ」
(実は初めて見たとき読めませんでした・・・)

大分県宇佐市安心院(あじむ)に位置するワイナリーで、
安心院というその珍しい地名は、昔「湖水跡にアシが生えていた」ことから蘆生 (あしぶ)、のちに「あじむ」と呼ばれたとも伝えられています。

安心院葡萄酒工房の特徴は”単品種の個性をしっかり引き出すこと”。
ブレンドする場合も、葡萄の個性を尊重しながらその年のベストバランスを追求しているのです。

自社畑には約30種の葡萄品種を植えており、安心院自ら交配している品種もあります。
方言から着想された大分愛のある個性的なネーミングが安心院らしいです。

安心院オリジナル品種名
品種名は地元大分の方言から着想。
ニヨンティーミは香りが良く立つ品種、カミノワールは大分県宇佐市にある神社、宇佐神宮(神)にちなむなど、地域の温もりがそのまま伝わる安心院らしい名前をつけています。
全て品種登録を出願中で、2026年頃にはオリジナル品種で醸すワインが誕生する予定です。

・クリィーノ    「黒いもの」
・ニヨンティーミ  「匂ってみて」
・エラシーノ    「可愛らしい」
・カミノワール   「神の黒」※山ブドウを宇佐神宮の裏山で取得
・アティーノ    「暑いね」
・ネオノワール   「新たな黒」

安心院葡萄酒工房パンフレットより

”農”のある、ワイン。

「あじむの丘農園」は三和酒類が出資する農業法人が運営する自社畑で、安心院町内に3つの圃場を管理しています。
全圃場 葡萄を見ているスタッフは日常的に5名。植栽面積が16haのため、一人約3ha見ていることに!(基本一人1haと言われているので約3倍…!)

①下毛圃場

安心院に適した新たな品種の模索を目指し2011年、2016年に植え付け
広さ:5ha【植栽面積3.8ha】
栽培品種:
(白)シャルドネ、ナイアガラ、アルバリーニョ、甲州
(赤)小公子、ピノノワール、タナ、ノートン、ピノタージュ

②矢津圃場
下毛で得た知見をもとに、次世代の安心院ワインを目指し、2018年~2020年に植え付け
広さ:10ha【植栽面積5.0ha】
栽培品種:
(白)シャルドネ、アルバリーニョ、プチマンサン
(赤)ビジュノワール、ノートン、ピノノワール

サンショウウオやアカハライモリ等々珍しい動物が生息している地区で、生物保護のための脱出用スロープがある等、自然に配慮された優しい圃場を意識されています。

心地よい風が吹く矢津圃場
生物保護のための脱出用スロープ
シャルドネの葡萄

③大見尾圃場
クローン単位で指定、更に高品質葡萄の栽培を目指し、
2021年~2023年に植え付け
広さ:15ha【植栽面積7.2ha】見込み
栽培品種:
(白)シャルドネ、ヴィダルブラン、アルバリーニョ(予定)
(赤)ビジュノワール、ピノノワール、タナ、カベルネフラン、メンシア、ピノタージュ(予定)

写真を見てわかる通り田んぼと葡萄畑が共存する珍しい畑です!🌾🍇
一番新しい圃場で全て棚で仕立てており、樹勢が強くビニールを突き破る時もあるそう。

下の圃場へ水田の影響がないよう、下の斜面に1メートルぐらいの暗渠排水を作っていると仰っており、規模の大きさに驚かされます。

田んぼと葡萄畑が共存する圃場

安心院では、日々の様々な栽培データを取得しながら、安心院町の土壌や気候に適したワイン専用品種の特定や日本に初めて導入されているぶどう品種の栽培(母樹管理も目的とした栽培)も行っており、自社だけではなく日本ワイン産業の発展にも寄与できるよう取り組んでいます。

広い畑のため最新の重機も取り入れ、業務の効率化を図っています。
これは酒類業界の大手が手掛ける日本ワインだからからこそ出来る投資。
日々の業務時間を短縮し、捻出した残りの時間で新しいことにチャレンジができるのです。

デートスポットにもなるワイナリー?!

安心院葡萄工房(ワイナリー)を見学させていただいた際に、施設の完成度にびっくりしました。
カップルがデートに来れることが裏テーマらしく、緑に包まれた癒しの空間。

空気、雰囲気作りを大事にしており、デートで訪れた先でたまたまワインを作っているようなイメージで設計したと仰っていました。なんてロマンチック…!

もちろん雰囲気だけではなく、ワインの醸造の様子や瓶詰の作業風景も見学することができてワインツーリズムにピッタリです。
ぜひ大分県に足を運んだ際は安心院葡萄工房へ!

安心院葡萄酒工房
特別に見せていただいた樽貯蔵庫

造り手のやりたいことを尊重する姿勢

ランチで飲んだワインたち(一番左はぶどうジュース)

ランチは安心院工房内にある試飲ルームにて。
地元の予約の取れないフレンチ店「kitchen101」様のお料理とのペアリングをいただきました。

安心院葡萄酒工房はこのようなペアリングのイベントを一般のお客様向けに定期開催しており、毎回満席だそう!
お客様が飽きないようにレストランさんやテーマを毎回変えているそうです。

フードとワインのペアリング

全て素晴らしいペアリングだったのですが、中でも印象深かったものがこちらです。

ズワイ蟹と帆立のテリーヌ × 極果 アルバリーニョ 2022
過去最高となる糖度で収穫されたアルバリーニョ。
黄桃や金木犀のような華やかな香りとからすみが
豊潤な果実の旨味がキャビアの塩味、帆立の甘味と調和し素晴らしい味わいに。
フグ白子とポルチーニ茸のエキス フラン仕立て × シャルドネ イモリ谷 2020
レモンや白桃の香りに程よい樽香と熟成感。
旨味の強いポルチーニに負けず、ふくよかな酸とミネラル感のある味わいが
いっそう旨味を引き立てます。
お米と焙じ茶のアイスクリーム × フランシスコデラウェア 2021
完熟した黄桃やマンゴーやパッションフルーツのような香り。
パッションフルーツソースの酸味とぴったり。
これ、フランシスコデラウェアがあればいくらでも食べれます。

なぜ「フランシスコ」デラウェア?と思った方、理由はこちらです。
フランシスコ・ザビエル、実は長崎だけではなく、大分にも所縁のある人物だそう!

「天文20年(1551年)豊後の国を訪れたフランシスコ・ザビエルは、大友宗麟の庇護を受け、神の教えを広めると共に、小学校や大病院を次々に建て、府内の街(現在の大分市)に、南蛮文化の花を咲かせました。」

大分の銘菓「ざびえる本舗」(http://www.zabieru.com/xavier/)ホームページより引用

最後に

安心院に訪れて一番感動した点が、
ヴィンヤードマネージャーである古屋浩二さんが仰っていた「現場がやりたいことをできる環境」
本社の意見を現場に落とし込むのではなく、あくまでも現場で挑戦したいことを尊重する。
その姿勢は忘れずに常に新しいこと、ワクワクすることに取り組んでいきたいと熱く語っている古屋さんの姿がとても格好良かったです。

大手酒類メーカーだからこそ実現できる設備投資大手酒類メーカーらしくない(?)現場志向。
だから安心院のワインは美味しくて「おもしろい!」と強く感じた1日でした。

最後は全員でパシャリ
素敵な時間をありがとうございました!


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