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飲み頃を過ぎたワインはどこへゆく

あんなに売れていたワインが全く売れなくなってしまった

悲しいことに、新型コロナウイルス感染症対策のための緊急事態宣言や蔓延防止等重点措置による長期の飲食店休業により、主に飲食店様向けに販売していた箱入りのカジュアルな価格帯のワインが売れず飲み頃を過ぎてしまいました。

ワインに賞味期限はありませんが、「飲み頃」というものがあります。今回飲み頃を過ぎたと判断したワインは、リーズナブルだけどフレッシュな状態で気軽に楽しんでもらうのに最適なワインで、飲食店様から日々沢山のご注文をいただいていました。そのため、在庫もかなり多く確保していたのですが、コロナの影響による飲食店休業中はぱったりと注文が止まってしまい、倉庫に山積みになったままになってしまったのです。

味の問題なので体に害があるということではありませんが、やはり飲み頃を過ぎたものを元の価格でお客様に販売する訳にはいきません。大量にあるワインを大幅に値下げして料理酒にでもしてもらうしかないのかと頭を悩ませていたところ、思いもよらぬ救世主が現れました!

ワインが蘇る!

それは、私たちIMADEYAと同じく千葉にある蒸留所「mitosaya」。去年からとあるプロジェクトをお願いしており、何度かお邪魔している時に、ふと「そういえば、ブランデーはワインを蒸留してできるものだよな…」と思い、ダメ元でmitosayaのオーナーの江口宏志さんに「実は…」と前述した箱のワインの存在を伝えたところ、「いいですよ!」と快諾してくださいました。
私たちはせっかく造られたワインをダメにしてしまった罪悪感と、それを赤字で販売しなければいけない切なさで押し潰されそうになっていましたが、江口さんのこの一言で目の前が一気に明るくなりました。
ダメだと思っていたものが蘇る上に、いつもは人気で常に完売のmitosayaでブランデーを造ってもらえるなんて!
こうしてmitosayaでオリジナルブランデーを造ってもらうことになりました。

mitosayaの貯蔵室

まずはワインを1箱送りテスト蒸留をやってもらったところ、美味しいブランデーになりそうとのことだったので、全量納品させてもらいました。
改めてワインの量を見てみると圧巻…!

大量の箱ワイン…

ワインを開けてタンクに入れるだけでも一苦労なので、納品がてら私たちもお手伝い。大人6人に加え、mitosaya新聞編集長・副編集長である江口さんのお子さん2人も手伝ってくれましたが、これだけの人数をもってしてもタンクに入れるだけで2時間も掛かりました。
そしてmitosayaの蒸留器は小ぶりなので、納品させてもらった大量のワインは、2~3週間も掛けて蒸留されるそうです。

手で1つずつ開けていき、全身がワインの香りになりました

この日は空いているタンクがなくなってしまったので、半分開けたところで終了。

一時の絶望が希望に変わり、すっかり気を良くした私たちは、どんどんやってみたいことが出てきて、蒸留したブランデーをどうするかということで頭がいっぱい。
今回のこのブランデーは、500mlのボトルに詰める計算で約500本ほどできる見込み。そのままでも美味しいのかもしれませんが、こんな機会はないので色々遊んでみたい!と、同じブランデーから3種類のお酒を作ることになりました。

自分たちが飲んでみたいものを造ってもらう楽しさ

まず1つ目は樽熟成。どこの樽がいいかと悩みましたが、mitosayaもIMADEYAも千葉にある会社なのでやっぱり千葉繋がりにしたい!ということで、日本酒を造っている木戸泉酒造で使った樽をお借りすることになりました。楽しみがなくなってしまうので詳細はまだお伝え出来ませんが、日本酒蔵でありながら面白い樽をお持ちで、私たちもどんな風になるのかが今からとっても楽しみな樽です。

2つ目はヴェルモット、もしくはハーブリキュール。ヴェルモットを造るにはワイナリーの協力も必要なのでまだできるかどうか分からないのですが、国産の美味しいヴェルモットがあればいいなと盛り上がりました。でもmitosayaにある植物を使ったハーブリキュールも捨てがたい…。こちらはこれからの話し合いでどうなるか決まる予定です。

3つ目はプレーンのブランデー。ここまで好き勝手にやったら、そもそもプレーンなブランデーの味はどんな味なの?となるはず、ということでプレーンタイプも造ってもらいます。

自分たちの取り扱っているものが良くない状態になってしまうのは二度とあってはならないけれど、mitosayaの江口さんのお陰で、全く想像していなかった素晴らしいお酒ができそうです。
完成は早くても1年後なのでまだ先ですが、何より自分たちが一番楽しみなプロジェクト。皆さんにお披露目するのが待ちきれません!

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