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大人の味

先週は成人式でしたね。新成人の皆さまおめでとうございます。
せっかくお酒が飲める年になったので、ぜひ美味しいお酒を楽しんでほしいと思います。

私が20歳の時は、家の近所のフレンチレストランでアルバイトをしていて、初めて見る料理を色々と食べさせてもらったことを覚えています。
成人してお酒が飲めるようになると食べるものの幅も広がり、単体では食べられないようなものも、お酒があることで美味しくなるということもよくありました。
今回はその中でも特に強烈だった食べ物について書いてみようと思います。

見た目はただの焼き魚ですが…

お酒無しでは食べられない、と言うより食べたくないもの…それは何と言っても「くさや」です。
初めて食べたのは、社会人になったばかりの22歳の時。当時の上司が常連だった「ふくべ」という日本酒専門のお店で出してもらいました。
まずこのお店自体も当時の私にはかなり敷居が高く、カウンターは常連ばかりで、20歳そこそこの若造はまずいません。上司に連れて行ってもらってはいたものの、その雰囲気にいつも緊張していました。カウンターの奥には大きな菊正宗の樽があり、その樽酒がお店の名物なので最初はまずそれを1杯頼むのが定番。くさやどころか日本酒も大して飲んだことがなかったのですが、程よくついた樽の香りが心地よく、勢いよく飲んでいた記憶があります。

渋いカウンター席からの眺め

くさや以外のつまみも日本酒に合わせるためだけに存在するようなもののみ。たたみいわし、たらこのちょい焼き、いか納豆、塩らっきょうなど、お腹の足しになるものはなく、私が通っていた当時は〆のごはんものもないという硬派さでした。(今はごはんものもあります。)
お店の大将はお酒を一切飲まない方で、あちこちから飛んでくる注文とお燗酒を手際よく作る姿が印象的でした。飲みすぎているお客様には頼まれてもお酒を出さないということもあり、私も何度か注意されました。笑

必ず頼むたらこのちょい焼き

このお店に行き始めて何度目かの時、厨房の方から何とも言えない香りが漂ってきたことがありました。当時の私にはいい匂いなのかそうでないのかもよく分からなかったのですが、その香りは徐々に店内に広がり、それを嗅いだ人たちが次々と同じものを注文していきます。
出てきたものを見ると、ただの焼き魚…なのに、香りが強烈!(悪く言うと、腐った生ゴミのような…)それをみんな美味しそうに食べているのが信じられませんでした。
せっかくだからとその時連れて行ってくれた上司が頼んでくれたのですが、一口食べるのにとても勇気がいったのを覚えています。
でも、一口食べた後、ふくべの定番酒である、都内にも数軒のお店しか取り扱いのない菊正宗の樽酒のぬる燗を飲んだ時は、自分の体の中に新しい世界ができた!というくらいの衝撃でした。
臭いのに美味しい。燗酒を飲むとその臭さが更に広がるのにもっと美味しく感じる。酒のつまみはご飯のおかずにもなるとよく言われるけど、これはご飯のおかずには絶対したくない…。
これがくさやとの出会いでした。

それからはふくべに行くと必ずくさやを頼み、色々なお酒との組み合わせを楽しみました。

1つ大人の階段を登らせてくれたくさや、どうもありがとう。

【くさやにお勧めの日本酒】
・七本鎗 低精白純米 80%
https://www.imaday.jp/c/nihonsyu/3245

低精白の香ばしく力強い味は、くさやの強烈な旨みに負けず口の中で旨みが倍増します。

・白隠正宗 純米 生もと 誉富士

https://www.imaday.jp/c/nihonsyu/2664

一見スマートな味のお酒ですが、ぬる燗にするとその腰の強さが出てきます。
余韻の伸びがあり、くさやとも余韻の強さがよく合います。

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