見出し画像

出社義務化への対抗策?『コーヒー・バッジング』とは

アメリカでは、アフターコロナ以降、企業が続々とフルリモート勤務を止めて、社員に出社を義務付ける動きがあります。今年(2023年)の8月には、テレワークの代名詞とも言えるオンラインビデオ会議システム【Zoom】を運営するZoomビデオコミュニケーションズ までもが、社員に対して週に2回の出社を求め、話題になりました。

今回は、アメリカで最近話題になっている最新のトレンドワード『coffee badging(コーヒー・バッジング)』をご紹介します。


コーヒー・バッジングとは

コーヒー・バッジングとは、フルリモート勤務を止めて、出社が求められている職場において、社員がオフィスに出勤し、コーヒーを淹れて同僚と交流するなど、しばらくオフィスで時間を過ごした後に帰宅してしまう現象を言います。

TikTokやゴールドマンサックスなどの大手企業が、オフィスに入るためにシステムにかざす「社員証(バッジ)」のログで、社員がルール通りに出勤しているかどうかを追跡しているのに対抗し、コーヒー・バッジングを行う社員たちは、バッジをかざして出社のログを残し(バッジング)、オフィスでそれほど仕事はせずに帰宅し、より効率良く仕事ができると感じているテレワークを行っています。

コーヒー・バッジングは一部の人がしている特殊なこと?

ごく一部の人だけがコーヒー・バッジングをしているのかと思い調べてみると、どうやらそうとは言えないようです。

ハイブリッドワークに適した会議システムデバイスを開発販売しているOwl Labsが、2023年6月に、フルタイムで働く2,000人の労働者を対象に行ったサーベイの結果を「2023年のハイブリッドワーク」として発表しているのですが、その中に、コーヒー・バッジングについてのデータがありましたので、見てみましょう。

ハイブリッドワークで働く2,000人中1,160人(58%)が、コーヒー・バッジングの経験があると認めています。
男女で見ると、男性がより多くコーヒー・バッジングをしており、年代で見るとミレニアル世代(1981年〜1990年代半ばに生まれた世代、2023年時点で30代前半~40代前半の世代)が最も多くコーヒー・バッジングを行っているようです。

コーヒー・バッジングは出社義務への抵抗?

企業が社員に対し出社を求めるようになって以降、オフィスで働くか、リモートで働くかを巡る闘いが続いています。

一部の企業では、コロナ禍で自社の社員が生活費の安い地方などに引っ越して、リモートワークで働いていることを知り、人員削減の手段として出社を義務化したという見方もあります。昨今、特にテック系の大手企業を中心に大規模なレイオフ(一時解雇)が続いていますが、元々予定されていた人員削減の計画に対し、出社が不可能な地域で働いている人や出社義務に不満を持った社員が自主退職してくれれば、高額な退職金を用意する必要がないからです。

会社の出社義務に対する不満を示し、抵抗する手段として「静かな退職(Quiet Quitting
)」や「給与に見合う分だけ働く(Acting their wage)」などをする労働者の動きが話題になりましたが、「コーヒー・バッジング」も出社義務に対する不満を示し、抵抗する手段という意味では、これらと同様です。

一方で、コーヒー・バッジングをする人たちは、決して仕事を怠っているのではなく、より仕事に集中できるリモートワークで効率よく働き、求められている成果をあげていると主張しています。

多くの人が出社義務に不満を感じる理由

先ほどご紹介したOwl Labsの「2023年のハイブリッドワーク」によると、アメリカでハイブリッドワークで働く労働者が、オフィス勤務の日に平均で費やす費用は、平均で51ドル(約7,500円)に上ると言います。これは、在宅勤務にかかる費用よりも36ドル(約5,300円)も高く、会社から高額な出費を伴う出社勤務を強いられることで、労働者たちの不満が高まっていると見られます。

オフィス勤務の日にかかる費用が7,500円というと、思わず目を疑うかもしれませんが、その内訳を見てみると、インフレにより様々な物の価格が上昇したアメリカでは、どれも一般的な金額であると言えます。

コーヒー・バッジングは、会社が求めている「オフィスへの出勤」規則を満たしながら、オフィスでは長い時間を過ごさず、帰宅してリモートワークをすることで、通勤ラッシュによる長時間通勤を避けて時間を節約し、高額なランチ代を節約することができるため、ハイブリッド勤務で働く社員にとっては効率が良いのです。

まとめ

いかがでしたでしょうか?
今回は、アメリカの職場における最新トレンドワードであるコーヒー・バッジングをご紹介しました。
イマクリエでは、今後も海外のテレワークに関する最新情報を発信していきます。ご期待ください。

出典