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最近出会った素敵な本12選

最近(といっても、ここ半年ほどで)出会った本の中から、特に印象的だったものをレビュー形式で思い出しながらフワッと紹介します。

やはりエッセイが多めですが、詩集や短歌などの他ジャンルにも手を伸ばして色々読んでみました。

計12冊あるので、1冊/月ペースで丸1年間かけて読んでみるのもよいかも??

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民藝雑論

民藝店『やわい屋』店主、朝倉圭一さんの思考や感情を通して、民藝と日常との接続点について理解が深まる。イベント会場でご本人は「大したことないZINEですが」とおっしゃっていたが、とても濃密な文章で思考がグッと掘り起こされるような感覚がした。次作を制作中とのことなので楽しみ。

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じゃむパンの日

文学的視点からのエッセイ体験として、恐らくは自分史上ナンバーワン。短編集であるというのに、現実と空想とを行ったり来たりするし、どんなテーマであっても軽快なリズムが保たれていた。生まれ変わってもこんな文章は書ける気がしないし、エッセイの最高峰に触れた感覚があった。

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鬱の本

ありそうでなかった鬱についてのアンソロジー。日常のふと瞬間に感じたものから人生を覆い尽くすようなものまで、鬱の形も人の数だけ存在するのだなと思った。そして何よりもその装丁とサイズ感がとても良い。

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神様のいる街

独創的な世界観で物語を紡ぐ吉田篤弘さんの自伝的エッセイで、神保町と神戸を巡る思い出が語られている。吉田篤弘さん好き&神戸大好きマンの僕としては読まない理由がない。”街”自体が持つ表現しようのない引力に魅了されるという点は、非常に共感できる。早く住みたいな、神戸。

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文と本と旅と 上林曉精選随筆集

以前から上林暁の全集には興味があったが、購入には至っていなかった。『神様のいる街』では著者が上林暁の著作の虜となったことが回顧されていて、それが引き金となって遂に上林暁デビュー。時代背景の違いを感じさせないような、その語り口が印象的で予想以上にスルスルと読むことができた。次は小説を読んでみたい。

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世界に放りこまれた

青が眩しい表紙が素敵な詩集。最近、詩集や歌集を読む機会が多く、その言葉と感情の圧縮率の高さには驚かされる。ややこしくて曖昧になりがちな日本語会話に対して、たまに自身の発言も含めて不快感を抱くこともあるが、文字にすると日本語はなんと美しい言語なのだろうと思わずにはいられない。

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小さな声の向こうに

前作『ここじゃない世界に行きたかった』から3年ぶりの出版となった塩谷舞さんのエッセイ集。塩谷さん自身を取り巻く環境の変化を通して、暮らしや社会の今に触れることができる。美しい文章で語られる美しいものたちへの讃歌に溢れた本書は、肌触りの良いシルクのような優しさに満ちている。ゆったりと少しずつページを進める読み方がおすすめ。

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深く、しっかり息をして 川上未映子エッセイ集

『夏物語』と『黄色い家』を立て続けに読んでかなり食らってしまい、川上未映子さんの思考や暮らしが気になって読んでみた。重厚な人間模様を描き続けておられるだけあって、思考の緻密さや考察的な人間描写がとても鮮やか。書くことを生業としている人の偉大さのようなものを勝手に感じ取った。

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日々の一滴

社会や人間の存在を鋭い視点で見つめる藤原新也さんらしいエッセイ。作家だけでなく写真家、旅人としての顔も併せ持っておれられるため、アートブックとしても楽しむことができる。暗澹とした世界の中で、日々のささやかな瞬間や何気ない自然に意味を見出すその解像度の高さに圧倒される。代表作のひとつである『メメント・モリ』と一緒に読むと理解が深まるかもしれない。

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君が手にするはずだった黄金について

エッセイばかり読んでいる自分にとっては、かなり久しぶりの小説で、読む前は世界観に没入できるか不安だった。けれども、そんな不安は何処へやら。社会を生きる大人たちの”承認欲求”が行き着く先を見た気がして、うっすらと背筋が寒くなるような、それでいて次の展開が気になってしまい一気に読了した。タイトルも秀逸。

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奇奇怪怪

恐らくは自分が最も聞いている音声コンテンツであろう『奇奇怪怪(旧奇奇怪怪明解事典)』の書籍版第2集。第1集の鈍器風装丁から一新されたコミック雑誌風装丁がとてもよい。勿論、言うまでもなく中身も素晴らしい。現行カルチャーの面白がり方と言葉の持つ力を見せつけられるはずだ。自分としては、今を生きる若者の必携アイテムだと思う。

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うみべのストーブ 大白小蟹短編集

最後のこちらはコミック単行本です。活字のみでもよいけれど、絵とコマ割りが挿入されることでまるで暖かなミュージックビデオを見ているような気分になった。コミックという形で自分の表現を追求している人をもっと掘っていきたいと感じた。

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本の世界は飽きがこない。

家にまだまだ積読があるので、徐々に読み崩していくことが楽しみです。

古本も幾つかあるので別の機会に紹介できればと思います。

それでは、また。

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