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アルゼンチン男の「半ケツ」問題について

世界の様々な国に住む書き人によるリレーエッセイ企画『日本にいないエッセイストクラブ』。リレー企画第8回目のテーマは「服」。記事を書くのはアルゼンチン在住の奥川です。僕にバトンを渡してくれたのは、チリの「MARIE」さん(記事はこちら)。各走者の記録をまとめたマガジンはこちら

なぜだろう。なぜ、アルゼンチン人の男性は半ケツが多いのだろうか。前かがみになると、シャツが巻き上がり、少しお尻の割れ目が見えてくる。

なぜなんだ。

この「半ケツ」問題は、デリケートな問題なので、アルゼンチン人男性と主語を大きくするのは危険だ。ただ、僕が知っている限り、数多くのアルゼンチン人男性はお尻の割れ目を見せている。

僕の住むネウケン州は、建築業や車の修理業などが盛んだ。通りを歩けば、日に焼けた男たちがレンガを取るためにしゃがんだり、しゃがんで車の下をのぞき込んだりしている。

もちろん、お尻の割れ目はこんにちは。

見たくなくても、目に入ってしまうのだ。ある意味で、アルゼンチン人の男の半ケツは風景みたいなもの。

日本で通りを歩いていたら、自然と木や電柱が目に入ってしまうだろう。それと同じだ。ここでは通りを歩いていたら、木や電柱、そして男のお尻の割れ目が目に入ってしまうのだ。

だが、どうして高確率で半ケツになってしまうのだろうか?移住して数年、大きなミステリーだった。

1~2年ほど前だろうか。僕は日本に一時帰国した時、靴下やパンツを大量に買う。破れないからだ。だから、移住して数年間は、アルゼンチンのパンツを使ったことがなかった。

しかし、妻がプレゼントしてくれたこともあり、アルゼンチンのパンツを使い始めた。

ある日、妻がこう笑うのだ。

「あなたお尻が出てるわよ」

BBQをするために、床にある木材を拾おうとしたとき、あろうことか僕のお尻の割れ目がこんにちは。

まさか...

パンツをしっかりと上げる僕の脳内では、1つの仮説が浮かび上がった。

『アルゼンチン人の問題ではなく、アルゼンチンのパンツが問題なのでは...』

この仮説を証明するかのよう、アルゼンチンで買ったパンツを履いたとき、高確率で僕は半ケツになる。だが、なぜだ。

ウエスト周りの締め付けが緩いのか、それともサイズが小さいのか。

半ケツ問題を考えて、数年になるが、いまだに謎のままだ。

つい先日、息子が床に落ちたおもちゃを拾おうとしていた。

彼もまた、半ケツになっていた。


前回走者、MARIEさんの記事はこちらです。

MARIEさんは、アルゼンチンの隣国チリに住んでいます。チリは洋服の質・デザインが良くて、値段も安いんですよね。だから、多くのアルゼンチン人がチリで洋服を大量購入しています。「機能性」を重視されている点が、アルゼンチン人とチリ人の考え方に共通していると思いました。

次回走者は、マレーシア在住の森野さんです。

森野さんの参加はお久しぶり!待っていました!前回は素敵なお写真と共に、ミャンマーの思い出について紹介してくれました。「服」がテーマですが、どのようなエッセイを書いてくれるでしょうか。楽しみ!!


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