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【ウェビナーレポート・後編】営業スキルのポータブル化(第1弾)営業力と顧客の意思決定プロセスを知る

Hello, people.

前回から、ウェビナー「営業スキルのポータブル化(第1弾)営業力と顧客の意思決定プロセスを知る」のレポートをお送りしています。

前編では、顧客の意思決定プロセスを理解せずに案件を見失う失敗パターンを紹介。併せて、顧客とのコミュニケーションのミスを防ぐために知っておきたい「意思決定を阻む3つの課題」についてお伝えしました。後編では、実際に顧客へアプローチする具体的な方法について考えます。

(登壇者プロフィール)

沢田さん

株式会社エスケイワード 取締役COO
TOKYO BRANCH代表
沢田圭一 様

通称「さわでぃー」。プロデューサーとして、企業の理念や価値観に寄り添いながら“変革したい業務分野”と“開拓したい市場”の両面での成果を出すことを得意とする。
近年の顧客のニーズが社会課題であることを踏まえ、デザインやテクノロジーを社会課題に活用するデザインファームとしての新業態化をミッションに、TOKYO BRANCHのマネジメントと業務責任者を兼務。
twitter: https://twitter.com/sawad_wsd

顧客は今、何をしてほしい?意思決定プロセスの3フェーズからアプローチを考える

沢田さんは「最終的に自社を発注先として選んでもらうためには、意思決定を阻む課題に注意しながら、顧客の意思決定プロセスへ積極的に介入していく必要がある」と主張します。介入するポイントを考えるに当たり、発注に至るまでのプロセスを3つのフェーズに分割。各フェーズで顧客担当者が置かれている状況と、そこで抱いている悩み・想いを詳しく掘り下げながら、どのようなアプローチができるかを考えました。

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フェーズ1:顧客の課題を把握するべく、雑談機会を確保しよう

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フェーズ1は、多数の計画が立案されては予算確保に至らず消えていく段階です。このタイミングで顧客担当者が感じているのは「共にプロジェクトを進めるパートナーに課題を相談したいが、まだ具体的に予算化のあてがないため、気軽に相談しづらい」といったこと。事業上の最新情報の漏洩も懸念している状況で、できれば本当に“ただの雑談”で済ませたいのが本音です。

これを踏まえ、フェーズ1では、顧客の課題を把握するべく、雑談機会の確保を目指します。例えば、沢田さんはビジネス系のボードゲーム会を頻繁に開催。顧客の本音を聞き出す仕掛けづくりに取り組んでいます。また、ILY,hubのように、さまざまな人が気軽に集まって刺激的なディスカッションができる場を持つのもよいとのことでした。

フェーズ2:意見調整の仕組みを提供して、顧客内の合意形成を導こう

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数年にわたる「死の谷」(by沢田さん)を生き残った課題解決策について、顧客社内でRFPを策定しているフェーズです。既存顧客から相談を受ける場合は、おおむねこのフェーズ2からのスタートになります。このタイミングでの顧客担当者は「社内での影響範囲をまだ把握しきれない中で、関係各所との交流や議論を促進できるよう、動機付けをしたい」「議論の中で個別リスクを洗い出したり、導入ステップを細分化したりして、合意形成にまで持ち込みたい」といった想いを抱いています。

この段階では、顧客社内で出てきているさまざまな課題解決策の調整を試みます。自社と意見が異なる部門を無理やり説得するのではなく、あくまで合意形成に導くことがゴールです。そこで有効なのが、顧客に合意形成の仕組みごと提供する方法だと沢田さん。例えば、顧客向けにワークショップを設計しているといいます。「『セミナー』『会議』といった改まった議論の場ではなく、よりラフな意見交換の場を提供するのがポイント。関連部署の参加者からざっくばらんな意見が出てきやすく、課題解決策を調整しやすくなります。加えて、場を設計した私たちを本命の発注先として、意見調整が進みやすくなるメリットもありますね」(沢田さん)

フェーズ3:課題解決レベルに価値基準を置いた最終合意形成を促そう

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コンペが行われ、発注先が決まるまでの段階です。Webサイトから問い合わせを受けた場合には、すでにこのフェーズ3に入っています。

顧客社内では、各部門における価値基準の違いから意見の衝突が発生している状態だといえます。最低限のコストでできる範囲の課題解決を目指すのか、あるいは、大きなコストを掛けても抜本的な課題解決を目指すのか、といった議論は避けて通れないでしょう。そうした状況で、顧客担当者は「関係者の懸念を洗い出して解消し、価格と課題解決レベルを釣り合わせたい」「社内の意見衝突を上手に調整して、プロジェクトをやり遂げられる仲間に発注したい」といったことを考えています。

このフェーズで重要なのは、自社が提供する課題解決の価値と、それに応じた価格設定である点を顧客に理解してもらうこと。その上で、価格以上に課題解決のレベルで発注是非を判断し、合意形成してもらえるよう促したいと沢田さんはいいます。例えば、企画書では、はじめに顧客の課題やそれがもたらす事業上・経営上の問題を強調し、それを踏まえて「価格は他社より高いけれど、その分、間違いなく根本的に課題解決できる」といった伝え方をしているとのこと。経営者の価値基準との合意を形成しやすく、時には単独指名してもらえるなど、最終的に選んでもらいやすいと経験から感じているそうです。

まとめ
~チームで顧客と関係を構築することが、競合の介入を退けるカギ~

以上のように、雑談を持ちかけてきた顧客が意思決定プロセスのどの段階にいるのか、また雑談にどのような想いが込められているかを敏感に察知できれば、適切なアプローチを考えられると沢田さんはいいます。「大切なのは、案件につながる雑談を顧客から受けた際、ひとりのメンバーだけ対処しようとしないこと。必ず自社に持ち帰って、ベストな対応を話し合うようにしましょう。また、今回紹介したアプローチ方法は、あくまで一例でしかありません。社内で議論し、試行錯誤しながら、自社に合った方法を見つけて欲しいと思います。顧客の意思決定プロセスの中でいかに競合の営業職による介入を退け、顧客と関係を構築できるかを、ぜひチームで考えてみてください」とウェビナーを結びました。

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顧客を理解し、顧客と良好な関係を構築する形での「営業」は、案件を見失わないためだけでなく、プロジェクトが動き始めてからよい取り組みをするためにも欠かせないでしょう。各意思決定プロセスにおける顧客の状況や、それに応じた働きかけの方法について、皆さんのチームでも改めて議論してみてはいかがでしょうか。

Thank you, we love you.

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