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コンセプト構築におけるアイデア出しワークショップ【ILY,Bootcamp #06レポート】

Hello,people.

弊社では「デザイナーとしてのスキル(マッスル)を鍛える」を掲げて、オンライン勉強会「ILY,Boot Camp」に取り組んでいます。
今回実施したのは、新たに取り組んでいるプロジェクト「ILYオリジナル風呂敷」の「プロダクトコンセプト構築におけるアイデア出しワークショップ」です。
このプロジェクト発想のきっかけは7月1日から施行された「レジ袋有料化」という社会的動向。風呂敷ブームの再燃に着目し、風呂敷をエコバッグに反映させた「ILYオリジナル風呂敷」を作りたいと考えました。
プロダクトのコンセプトは、デザインする上でのベース。コンセプト構築の際に、対象のモノを今までにない視点で多角的に捉え、一旦分解する作業はとても有効なプロセスです。そこで、このプロセスをトレーニングと捉え、社内でアイデア出しワークショップを開催。そこから生まれた意見・アイデアをブラッシュアップしながらプロダクトを確立していく過程を紹介します。

ワークショップアジェンダ

1. 風呂敷をつくります(プロジェクト説明)
2. 風呂敷の歴史や使われ方について
3. 風呂敷にまつわる印象って?
4. 風呂敷に続く動詞を考えましょう
5. 使い方についてのアイデアを話しましょう
6. メインターゲットを検討しましょう
7. 顧客リーチの方法、PRの方法、販売経路を考えましょう

上記アジェンダにて、自由な意見を出し合うという流れ。各セクションでは、3分の制限時間を設け、各自が書き込む方式で進行しました。

1.風呂敷をつくります

プロジェクト及び、ワークショップの主旨について説明。

2.風呂敷の歴史や使われ方について

四角い布にグラフィックをデザインするだけではなく、風呂敷を成熟したプロダクトとして確立させるために、まず風呂敷の歴史や背景を共有。風呂敷のはじまりや、時代ごとの使われ方を簡単に解説しました。

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歴史
・はじまりは奈良時代。物を包むただの布として流通。
・「風呂敷」という名称は室町時代に命名。
・明治時代以降は日常的に使われ、風呂敷ブームに。
・昭和初期には利便性のよいバッグが普及し、風呂敷文化が衰退。

3.風呂敷にまつわる印象って?

⚫︎風呂敷の印象を多角的に語る
背景や歴史というベースを押さえた上で、それぞれが持つ風呂敷のイメージや、ファーストインプレッション的なワードを出し合いました。

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直感的に出てくるワード
・和風、品が良い、忍たま乱太郎、変幻自在、文化を伝える、なんでも使える、など

使う対象という視点でのイメージ
・おじいちゃん、おばあちゃん
・和風美人、泥棒、五右衛門など

プロダクト、デザイン的な視点でのイメージ
・ 和柄、唐草模様、高級な質感、金魚、水玉、頑丈な布、シワが残りにくい素材、正方形

包むモノという視点でのイメージ
・着物、お茶道具、袖の下、ビン、お菓子、お祝い袋

イメージとしては、多様な使い方ができるけれど現代の生活に根付いていない、実用品としては生かされていない、あまり目にしないもの、というのが共通項であることが認識できました。

4.風呂敷に続く動詞を考えましょう

⚫「風呂敷」+動詞という思考
対象のモノを、通常持ち合わせない視点、意外な観点で捉えることは、既成概念を外し、柔軟な発想へと導きます。ここでは、風呂敷に続く「動詞」を考えることで、風呂敷の「機能」が明確になり、さらに風呂敷の新たな可能性も見えてきました。

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風呂敷に続く動詞
隠す、運ぶ、まとめる、渡す、かぶる、拭く、遊ぶ、巻く、かける、敷く、リメイクする、こす、持つ、折る、など。

5.使い方についてのアイデアを話しましょう

⚫風呂敷の使われ方(利用シーン)について考える
風呂敷を用いて日常で考えられる用途や、前段で出た動詞を用いて利用シーンを考えてみます。

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風呂敷の用途
洗濯物を隠す、買ったものをまとめる、ピクニックで敷く、割れ物を包む、ご祝儀を包む、大事なもの・プレゼントを包んで渡す、汗を拭く、汚れを隠す、目隠しで使う、サブバッグとして常備する、風呂敷で子どもと遊ぶ、身にまとう、など。

さらに上記の用途をいくつかのシーンにカテゴライズしてみました。
提案できる利用シーン
・ アウトドア
・ ギフト
・ 防災、防雨、マスク代替品
・ 人生の大事なとき(ライフイベント、フォーマル)
・ インテリア
・ ファッションアイテム
・ 荷物運搬

ここでは、和やフォーマルなイメージの風呂敷を「アウトドアというシーンに使うという発想がおもしろい」という意見や、「子どもの頃は風呂敷の概念もないので、自由に使って遊んでいたかも」という回想、メンバーの意見を聞いて「フォーマルバッグは小さくて使いづらいため結婚式には風呂敷を持って行こうと思えた」と、改めて自分の生活の中に落とし込むシーンなど、新たな気付きや発見がありました。また、折り方・包み方にも関心が向き、互いの意見が刺激となって、新たな視点や発想が生まれるという相乗効果をもたらしています。

6.メインターゲットを検討しましょう

⚫利用シーンから浮かぶターゲット

前段の利用シーンをさらに3つのカテゴリに分けてターゲットを絞ります。

使われ方①
便利グッズとして使う(アウトドア、防災・防雨、インテリア)
→ママ世代、アウトドア愛好家

使われ方②
携帯して使う(ファッションアイテム、荷物運搬)
→コンビニ利用者、エコ意識高い人、小さい鞄の人、レトロ好き、リバイバルブームにのる若者、一人暮らしの人、鞄が小さい人、シンプルおしゃれな人

使われ方③
大事なシーンで使う(人生の大事なとき)
→女性、20〜30代

7.顧客リーチの方法、PRの方法、販売経路を考えましょう

⚫顧客リーチ=「顧客に届ける」

ターゲットに対してどうリーチしていくか。プロダクトをターゲットへ「届ける」アイデアを出し合います。
①(アウトドア愛好家)
・キャンプ場にレンタル品として設置
・キャンプ系You Tuberに使ってもらう

②(ママ世代)
・ヒルナンデスで取り上げてもらう
・ママ世代雑誌にコラム掲載
・雑誌付録
・ママ世代の情報アプリ
・スーパー(包み方解説等を付けて)

③(エコ意識高い人、若者、シンプルおしゃれな人)
・インスタ
・個人ブログ
・インフルエンサー

④(20〜30代、女性)
・ギフトのラッピングオプションの1つとして
・ご祝儀袋とセットで販売(ご祝儀袋を購入し即利用する際、ふくさがほしいと感じた)
・レンタルのフォーマルウェアと一緒に置く。

風呂敷ユーザーのメンバーから自由意見として、下記のような声も。
・風呂敷を広げて荷物を包むにはスペースが必要
→バッグ状になっていたり、風呂敷用取手、ジッパー・ボタン等付いていると使いやすい。多様に変形できると便利。エコバッグを広げるのと同じ手間で完結できるといい。
・風呂敷はデザイン性を持たせられるので上記オプションは有効。

⚫PR=「社会に広げる」
効果的なPR方法。プロダクトを社会に「広げる、波及させる」方法を探ります。

・若い世代が思わずインスタにあげたくなるようなギミックを付加する。
・クラフト体験等の最後にラッピングプレゼント
・ファッションスナップに風呂を敷取り入れる。
・SDGsへの取り組みとして取り上げる。
・節約生活の知恵として発信
・ユーチューブ、インスタでソロキャンパーへアプローチ(軽量、コンパクトがキーワード)
・使い方解説とセットで販売(解説はQRコードで導く)

⚫販売経路=「キャッチポイント」

ターゲットがプロダクトと確実に出会う有効なキャッチポイントを探ります。

・雑誌付録
・実店舗でのラッピングオプション
・実店舗のレジ横で販売(コンビニがキャッチポイントになりそう)
・ご祝儀袋とセット販売
・弁当包みとして導入
・手土産とセット販売
・マスクの代替品
・Loft、東急ハンズ
・スポーツ・アウトドア用品店(CAMP HACK、GOOUT CAMP)

「分解→再構築」というトレーニング

今回は、風呂敷に続く「動詞」を考えその動詞から想定される「シーン」を分析することで、風呂敷そのものを「分解」。分解した視点からターゲットやPR法を絞り込むことで風呂敷を「再構築」してみました。その作業を進める中で見えてきたことが、メンバーの発想の振り幅が大きくなり、バラエティ豊かな意見があるということ。また、その意見が刺激となり、さらにプロダクトの新たな視点や側面を発見するという相乗効果も見られました。

サービスやプロダクトを企画する際、まず「ターゲットは?利用シーンは?」という訴求ポイントから着手しがちですが、それでは一般的な概念や、頭の中の表層的な部分にあるイメージが先行しやすく、なかなかアイデアを深めることができません。
サービス・プロダクト自体の背景や概要を包括的に「知る」、印象を「分解する」、シーンを「分析する」という作業をすることで、対象プロダクトを多角的に捉え、かつ表層から深層まで全層理解するということにつながります。
その作業を行った上で企画につなげることで、柔軟なデザイン脳になり、幅広く豊かなアイデアが生まれます。
プロダクトのアイデア出しの段階や、デザインを作るというとき、みなさんも「分解して再構築する」という有効なプロセスをぜひ活用してみてください。

Thank you, we love you!

私たちILY,は、ロゴ制作やビジュアルデザインなどの”見た目のデザイン”にとどまらず、MVV策定や事業・サービスのコンセプト設計などの”コトのデザイン”もご提供しております。お気軽にご相談ください。


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