#108【育爺日記Eps.20】”座ってお願いします。”~爺のトイレ奮闘記①~
『介護』と『排泄介助』は、切っても切れない、毎日、何度もある案件だ。
私がMCIの父をウチへ引き取った時、最も、危惧していたのも、この『排泄介助』、幸い父は、病院に入院した時に”リハパン”の心地良さと万一の”安心感”を覚え、夜間はリハパンを履いて寝てくれる。
そして、そのリハパンを汚した事は、まだ一度もない。これは凄い事だと思っている。
しかし、日中帯は、いつもの通り、トランクスに履き替え、85年間、そうしてきた通り、豪快に”立ちション”をぶちかます・・・・・・。
約50万円を賭してリフォームしたばかりのトイレは、数時間毎に、父の尿の臭いで充満した・・・・・・。
これがもうもうもうもう・・・・、
覚悟していた事とはいえ、私には堪らないストレスになった。
私は、家のトイレは、常に綺麗に、厳選したフッカフカのおシャンなトイレマットと蓋カバーとフッカフカの便座カバーをつけて、居心地良く快適に使うのが信条だ。トイレは、私にとって、大切な「聖域」なのである。
その為、夫も息子達にも、「座りション」を躾けて来た。
弟達も、トイレ掃除をしてくれる奥様方に気を使い、結婚してからは、「座りション」になったという。息子は、二人の男の子(孫達)に、「座りション」で、トイレトレーニングをしている。
我が家のトイレは、ずっと清潔で平穏を保って来ていた・・・。
その「貴重な平穏」を、父は、容赦なく、無神経に侵していく。
リフォームしたてのピカピカのトイレなのに・・・。
しかし、病院から退院したての父は、まだ「せん妄」も抜けきらず、MCIの状態も、「認知症」の発症を疑わせる位に切迫した状態で、「自力でトイレまで歩いて行って用を足す。」というのが精一杯。
それだけでも、「良し」とせねばならなかった。
私は約2年間、毎日、トイレのマットを交換し、洗濯し続けた。どれも、丁寧に選んだお気に入りのトイレマットだったから・・・。
しかし、尿によるアンモニア臭は、一度マットに付いたら、もう洗濯しても落とすことは出来ない。洗って干して、交換してもまた、直ぐに、立ちションによる新たなアンモニア臭と汚れが上書きされるだけだ。
”でも、まだ自力で排泄してくれるだけ、マシなんだ。マシなんだ・・・。”
”もっと盛大に排泄を失敗する高齢者は一杯いるし、それが当たり前なんだから・・・。それに比べたら、父なんか、まだよく出来ている方なんだから・・・。”
”排泄の失敗を怒っちゃいけない・・・。それは良くない・・・。”
そう泣きながら自分に言い聞かせて来た。毎朝毎晩。
子供達のトイレトレーニング時にだって、こんなに苦労した覚えはない。
しかし、今や、「認知症」の発症危機から、一旦は脱して、確実に心身が回復してきた父が、豪快に立ちションをして、”私の聖域”を侵すことに、辛抱の糸がプッツリと切れ、私は、ついに、「宣戦布告」を発令した。
「お父さん、今日から、”立ちション”禁止にします。」(立ちション禁止令発出2024年6月)
「えっ?!なんで???小便は立ってするもんだろう?」
否っ!!💢
今や、男子たる者も、家のトイレは”座りション”が常識!!💢お父さんにも、”座りション”を覚えて頂こう!!!!
「え・・・・・?!そうなの?!どうして??なんで座りション??」
「男が ”座りション”なんて、出来ねーよw。男で座りションなんかしてるヤツ、いねぇーだろう?」
否っ!!💢
ウチの家族で”立ちション”してるのは、お父さんだけだっ!! 郷に入れば、郷に従え。お父さんにも、我が家のルールに従ってもらう。💢
それがわからぬ父ではあるまい。(ニヤッw)
「う・・・ん・・・、わかったよ・・・・・・・・。」
コイツは、新たな挑戦だ。
MCIで87歳の父が、果たして、長年の生理的な生活習慣を修正し、”座りション”という新たな生活習慣を体得できるかどうか?!
『無謀』とも言える戦いになる。
しかし、これぞ、「タイガー&ドラゴン」の”真の戦い”に他ならない。
”私の聖域”の平穏を取り戻せるかどうか?!
介護とは、戦略だ!!
次回、【育爺日記Eps21.】”座ってお願いします。”~爺のトイレ奮闘記②~、どうぞお楽しみに!
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