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#119【介護雑記】認知症にも四季がある。

認知症介護には、4つのシーズンがあると言われている。「春」「夏」「秋」、そして「冬」。

「春」は、認知症の初期で、まだ顕著な症状が見られない頃。「短期記憶能力」が低下してきて、本人的には、得も言われぬ「不安感」が大きく芽吹く季節。だか、周囲にそれを覚られまいと、まだ頑張れる時期。認知症予防の為のリハビリも、このシーズン内ならば、効く。

MCI(軽度認知障害)は、このステージ。
父は今ここで、何とか留まらせている。

「夏」は、認知症の初期後半~中期で、BPSD症状が顕著に表れ、暴言や徘徊などが、最も活発化する「活動期」であり、最も介護に疲弊する時期でもある。

「秋」は、認知症の中期~重度への移行時期。この頃になると、BPSD周辺症状が治まるかわりに「短期記憶能力」は、ほぼほぼダウン。親しい家族の顔や名前もわからなくなる。

「中核症状」である、「失語」「失認」「失行」が増え、「食事を摂る」とか「着替える」とか、日常のちょっとした身の回りの事も、自分では出来なくなり、「24時間の見守り介護」が必修となる。

そして「冬」、認知症重度になると、免疫機能が低下し、食事をしても、栄養を身体に吸収する事ができず、食べていても、体重が減り出す。筋力を作る機能が衰え、座位(座っていること)も、取れなくなり、寝たきりになる。

新しい細胞や筋肉を作る力が衰えるので、嚥下機能も衰え、誤嚥性肺炎を起こしやすくなり、呼吸機能も衰え、やがて命を閉じていく。


家族介護者が、『認知症』として認識しているのは、BPSD周辺症状が顕著になる「夏」シーズンだけ。それだけで、手一杯になり、大体、この時点で、激しい混乱と疲労困憊から「施設入所」という対応を考えるケースが多いと思う。

なので、施設に入所できれば、「介護は終了~。」みたいなね。

しかし、本当に介護の本番を迎えるのは「秋」から「冬」。
「冬」は、「終末期医療」と「看取り」のシーズンとなる。

「認知症介護」は、「過酷な夏」だけでなない。

「秋」、そして「冬」と、季節が移行していくに合わせて、服装や装備を変えるのと同じ様に、介護の体制も考え方も整えていく必要がある。

季節の移ろいを止める事が出来ないように、認知症の移ろいも止める事は出来ない。でも、介護者の考え方、装備の整え方、体制の整え方次第で、その移ろいを、ゆっくりと穏やかにする事は出来るのだ。

父にも、やがて来るであろう人生最後の「冬」を、出来れば施設ではなく、住み慣れた場所で、あたたかく、安心して、”越させてやりたい”と考えている ――― 。

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