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【開催報告】駒澤大学「新入生セミナー」でフリーランス研究者として講演しました

6月30日、駒澤大学の学部1年生43名を前に講演をしてきました。
依頼してくださった三樹陽介先生は、国立国語研究所でポスドクをしていた頃からの付き合いです。
この春からフリーランス研究者として活動を私が始めたことに三樹先生が興味を示してくださり、フリーランスとしての経験を学生に話してほしい、というご依頼でした。

とは言っても、私もフリーランス1年生で、独立してからまだ3ヶ月しか経っていません。
フリーランスとして語れるほどの経験は積んでいません。
また20歳前後の若者に興味を持ってもらえるような実績があるわけでもありません。
何者ともしれない私の話を果たして面白がってくれるのだろうか、と、頭を抱えました。

けっきょく経験者として語れることは何もないので、フリーランスになることを決意するまでの過程を話すことにしました。
大学生だった頃から独立起業するまでの人生で、転機となった出来事をピックアップして話しました。
私のように、博士課程まで進学して研究者になることを目指す、という将来を描いている学生はそれほど(ひょっとしたらまったく)いないと想像できたので、「人文系研究者の特別な人生」ではなく、「就職をめぐっての成功や失敗」に焦点を当てるように意識しました。

学部生の頃は、ただ漠然と自分は会社には向かないと考えて就活を一切せず、大学院進学一択だったこと。
大学院では琉球列島の言語のフィールドワークを開始したこと。
学会賞を複数回受賞し、研究に自信が持てるようになったこと。
博士課程2年目で結婚し、翌年に第1子が生まれたこと。
1年間で博士論文を完成させる予定が、けっきょく3年以上かかってしまったこと。
博士論文を提出した翌年に運よく研究員として採用されたこと。
大学教員の公募に出し続けたものの、書類選考すら通過しない時期が続き、落ち込んだこと。
このまま採用が決まらなかったときに備えて、プレゼンテーションのセミナーをやるようになったこと。
研究員の任期が終わるまでにけっきょく就職が決まらなかったこと。

「こうなりたい」「こうありたい」あるいは「きっとこうなるはず」と思い描いていた未来が来なかったときにどうすればいいのか、私の経験を伝えることで、そんなことを考えるきっかけになっていればと思います。

最後に、コメントシートから、感想をいくつかご紹介します。

先生ご自身のお話を絡めて話してくださったため、より現実的な感じがしました。私のイメージでフリーランスというのはあまりいいイメージではなかったのですが、今回のお話でそのイメージが払拭されました。人生100年時代で自分はどうやって生きていくのかを考えさせられました。

博士課程まで進んでいるくらいだから学部制の時から強い意識を持っているのかと考えたけれど、意外となるようになるものだなと思った。フリーランスに転向する時以外にも、ステージが切り替わるときなどに恐怖は感じなかったのか気になった。

個人的には、フリーランスで働くことに興味があったので、どのように仕事をされているのか、気になりました。自分のことについて考えるようにしたいと思いました。

研究者が思っていたよりも不安定な職業で驚きました。独立してから、どのような方法で、セミナーなどの仕事を得ているか、気になりました。

今現在、将来の夢や目標が決まっていないため、少し不安を感じていましたが、今回お話を聞いて、たくさんの可能性や道があるということ、時に自分自身と向き合う時間、立ち止まる時間があっても良いのではないかと感じることができました。

人生100年時代になり、仕事を辞めてからの人生についても考えていく中で、いつまでも1つの仕事に固執するのではなく、自分のやりたい事・したい事を軸にして、ライフデザインをしたいと思いました。

コメントシートを読むと、意外にも私の話を面白がってくれた学生が多く、またもっと聞きたかったという意見もあり、驚きました。
できれば講演中にそのような反応を感じ取りたかったので、もしまた似たような依頼があったときは、学生たちの意見や感想を拾いながら、話ができればと思っています。

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