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韓国で元気をもらった話

 先月末、韓国で国際報告してきました。報告の内容は、僕の専門のイヴァン・イリイチではなく、コロナ禍以降の学会や国際シンポジウムでのオンライン運営のアレコレに関するものです。
 久々の報告で緊張していたのですが、他の方々は、僕が以前同様の報告をした経験があることから楽観的でした。この時点でなんとなく悪い予感があり、僕が失敗するときは、往々にして周りの見立てと僕の認識(勘?)との乖離が生じているときだと思っております。韓国は楽しみなんだけどね。
 しかも初の韓国だけでなく、今回は、空港からのアクセシビリティや韓国のアクセシビリティに関する現状を記録に残すというミッションもあり、報告だけに専念するわけにはいきません。これは大変だあ。


大韓航空のブルーカラーは結構好き

 不安と楽しみがない混ざった状態で韓国の仁川国際空港にやってきました。仁川は、さすがアジアのハブ空港といわれるだけあるなと、活気と広さに感心しました。出発時が関空だったので、どうしても比較してしまうのですが、この規模はレベルが違います。資本主義万歳。
 空港でポケットWi-fiを借りて、円をウォンに換金して、電車で目的地の孔徳駅に向かいます。初日は、ロッテ麻浦ホテルでレセプションに参加しました。詳細は省きますが、大盤振る舞いとはまさにこのことかと言わんばかりの待遇を受けて、逆に日本でもてなす際には、この規模に匹敵するものが出せるのかと心配になりました。立命館は、いま客人向けの会場は学生食堂しかないんだぞ!カルム…ヨーク…戻ってきておくれ……(立命館ネタ)。

 このシンポジウムは、毎年日本、韓国、台湾、中国の順で主催を回していて、昨年の日本開催では、コロナの影響でオンライン開催になったのですが、良くも悪くもレセプションのことで頭を悩まさないのがオンラインイベントの特徴だなとあらためて考えさせられました。というか、こういうのってマニュアル対応ではどうにもならないから、実地で続けないと忘れてしまうんですよね。

 二日目と三日目は、イルムセンターという国会議事堂近くのビルでシンポジウムに参加しました。韓国にきてよかったのは、国会議事堂前で毎日違う種類のデモを見れたことです。とりわけ、三日目の過熱する教育により教師の自殺にまで発展した事件を発端とした、教師と教育学部の学生による抗議のデモは、えらい熱量でした。
なにより学生が多くて、デモも歩きつつ、音楽フェスのような会場もありで、野外イベント的な雰囲気もありました。このデモに参加した教師や学生は、それぞれの地域からチャーターした大型バスできていて、デモが終わると続々とバスに乗って帰っていきました。学生による誘導や交通整理といった連携もとれていて、とても洗練されてました。

 関西にいるとここまで大きなデモに遭遇する機会はほぼないのですが、こういうのを目の当たりにすると、明日を生きるために、いまここでやるんだという熱に当てられます。この熱は、どうすれば海を超えるんでしょうね。

いたるところにデモの若者たちがいました


 ちなみに、四日目のデモは、犬を食べるなデモでした。さすがに規模は、前日の教師のデモより遥かに小さいものの、毎日違うデモが同じ場所で行われているのは、なにはともあれまずは健全だなと思いました。同じ場所でデモを繰り返すことで、デモが文化になります。
 あと、デモ近くにいた韓国の妙齢の女性が、犬食べるなデモに対して、「食べたい奴が食べればいいのよ」と仰っていて、これはこれで微笑ましかったです。

 ともあれ、話をシンポジウムに戻すと、僕の報告は、三日目の朝一でしたが前日早朝までの準備と緊張、諸々の疲労もあって、報告の時間を大幅に超えてしまいました。悪い予感は的中し、ダメなものをお出ししてしまったことは反省です。準備は大事ですが、ちゃんとし過ぎても良いものにはならないことを忘れていました。
 プロレスラーの前田日明が、試合で醜態晒してしまい、試合後スカしていた坂田亘をパイプ椅子でボコボコにしたので、とにかくスカした態度は取らずに謙虚に明日からまた頑張ろうと思った次第です。その日の懇親会で、日本からの報告者である植村要さんに時間オーバーの件で怒られましたが、パイプ椅子で殴られずに済んでよかったです。

 そういえば、その懇親会の焼肉屋でデモの警備をした警官が、制服姿のまま焼肉屋で同僚たちと飲み食いしており、日本なら通報案件でしょうが、こういう雑であることの重要さを自分の報告や警官からみてとることができ、来てよかったです。

 韓国の鉄道でのアクセシビリティや空港までの移動も写真や映像におさめることができたし、韓国のカフェの多さや、現金決済も対人接客もない店を体験することもできました。今度は観光で行きたいですね。はやく円安が収束してほしい。空港で両替したら、一万円が八万四千ウォンになるのはキツイんや!

鉄道の車両案内図。車椅子や妊婦の方専用スペースがある。
仁川国際空港のエレベーターのボタン。

 というわけで、韓国で元気をもらった話でした。

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