【横浜FC 2023】第10節を終えて、今、思うこと。

2023年シーズンのJ1リーグが始まって、今日で10試合が終わりました。

我らが横浜FCは、ここまで0勝3分7敗。
希望に満ち溢れたJ1復帰のシーズン。決して昨年の自動昇格も順風満帆とは言えなかったとはいえ、ここまでの苦戦はさすがに想定外でした。

日付が変わって昨日行われた第10節。
正直、レフェリーにも言いたいことはたくさんあります。しかし、それ以上に10試合を終えて、今、1サポーターとして思うことをまとめてみようとなんとなくnoteなるものを始めてみたわけです。ド素人の駄文です。偶然流れ着いた方は、よろしければ読んでみてください。

1.試合の内容について思うこと

 ここまで0勝3分7敗 得点8 失点27 得失点差−19。
なかなかコメントするのに難しいような数字が並んでいます。

 今シーズンの10試合の中で、0−3、1−4、0−4など似たようなスコアの試合が多く並んでいるわけですが、冷静に考えると、個人的には「さもありなん」という感想も出てきます。

 今年、横浜FCが基本ベースとして志向しているサッカーは、元マリノスでポステコグルー政権でコーチを務めたジョン・ハッチンソン氏がコーチに入ったこともあり、ポステコグルー時代のマリノスのサッカー。いわゆるハイプレス、ハイライン、ポゼッションのサッカーです。

 昨年の横浜FCのサッカーはゲームによって、極端に守備に寄った戦術を採用したゲームもあったものの、基本はいわゆる「ミシャ式」と呼ばれるものでした。マンツーマンディフェンスをベースに、ポゼッションを理想とするサッカーです。

 共通するキーワードとして「ポゼッション」という攻撃のテーマはあるのですが、昨年も(更に言うなら下平政権時代から)志向をしながらも、決してJ2レベルでも圧倒できるクオリティとは言い難いものでした。このクオリティ不足が危険なボールロストを招き、徐々に現実的な戦術のバランスを取りながら勝点を稼いでいく形になり、昇格を掴み取ったわけです。

 カテゴリーが上がった上に、戦術が変わり、その中で唯一共通するキーワードであった「ポゼッション」も決してJ1レベルとは言い難い。その上、20人近い選手が新加入で加わっている。冷静に考えれば、上手くいくほうがおかしい気すらします。

 現状、志向しているハイプレス、ハイラインは機能しているとは言い難く、序盤25分くらいは集中力が持てばそれなりの展開には持ち込めますが、前半35分くらいから徐々に運動量が落ち始め、そこからは我慢比べの展開になります。

 守備陣(特にCB)に関してはハイラインのため、本職の守備面で相当な圧を受けながら、いざボールを奪ったあとにビルドアップというもうひと仕事待ち受けています。しかも、決してチームとしてのビルドアップも成熟しているとは言い難いため、せっかく前にパスを付けてもかなりの確率でバックパスで戻ってきたり、すぐにボールを奪われて再び必死に戻って守備をしなければならない状況です。

 昨日の札幌戦、前半39分に奪われた同点ゴールは、相手がラフに裏に入れたボールを処理する際、CBのンドカ・ボニフェイスが足を滑らせて転倒し、その隙を突かれて失点しました。この失点が、彼のミスではないとは思いません。しかし、プロの世界でCBがグラウンド(しかもホームで、晴れている状態で)に足を取られて転倒して裏を取られるというのはそうはお目にかかりません。それ以外にも、今シーズン、結果的に失点に直結してしまうミスが少なくない彼については、現状では「キャパオーバー」の状態なのではないかと思います。昨年のJ2では間違いなくトップクラスのCBだった彼ですが、新加入選手の上、なにしろJ1デビューシーズンです。しかも、開幕時にパートナーだった百戦錬磨のガブリエウが離脱してしまい、ただでさえJ1クラスのFW対応に慣れる過程の中で、CBの相方やGKがちょこちょこ変わる中で守備陣を統率し、ビルドアップまでしなければいけないのです。

 ガブリエウ離脱後、キャプテンマークを巻いている三田啓貴についても同様の状況を感じます。彼自身、移籍組にも関わらずゲームキャプテンを任されているだけでも大変ですが、本来は攻守のリンクマン的なキャラクターの強い選手ですが、ビルドアップのミスからの失点が止まらない上、時には井上潮音がボランチの相方だったりするため、ビルドアップに携わりながら、ポテンシャル以上の守備のタスクを担わされています。且つ、ガブリエウの負傷後、ボランチとしても計算されていた吉野がCBに固定されたことで控えの層が薄く、開幕から10試合が終わり、9試合がフル出場です。(残りの1試合も85分で交代)。

 ンドカ・ボニフェイスと三田啓貴を例に上げましたが、今、志向しているサッカーはきっと魅力的な理論のものなのでしょうが、現状の戦力や完成度では、ポテンシャル以上の技能やタスクを求められている選手が複数存在し、その結果攻守ともにうまく行っていないのだと思います。

2.今、何を目指しているのか

 ここまで書いたことは、ピッチ上で起こっていることなので、恐らく改めて書かなくても分かっているよという話だと思います。では、現実的にここからクラブはどう動くべきなのか。それは、優先順位をどこに持ってくるかで変わると思います。

  1. たとえ降格しても、今後のクラブのフィロソフィーとして今志向しているサッカーの完成こそが最優先。よって、結果は度外視してこのサッカーを継続

  2. 降格はありえないが、今志向しているサッカーを曲げるのもありえない。夏までなんとか凌いで、移籍市場で戦力を入れ替える

  3. 降格はありえない。今志向しているサッカーを曲げるべきではないが、手遅れになると困るので、結果が出るレベルに戦術を譲歩する。

  4. とにかく降格だけは避ける。志向しているサッカーの完成は一旦、置いておいて現実的に勝点を稼ぐためのサッカーをする。

 イメージ的にはこの4パターンくらいが考えられるでしょうか。

 現状、非常に悶々とするのはクラブの意図が見えないこともあると思います。年始に「ハマプレ」で昼田GMのロングインタビューが2度掲載されましたが、「残留できる前提」で「このサッカーを完成させる意義」を熱く語られていました。※あくまで私の印象です。

 ただ、現状ではその前提が崩れつつあります。詳細は書きませんが、そのインタビューの中でGM自身が今シーズンの目標設定として勝点についても具体的に数字を挙げられています。現状、10試合で勝ち点3、34試合換算すると恐ろしいことに10.2です。歴代J1のシーズン最低勝ち点更新してしまいます。(※現記録は14)

 私は、2004年頃から横浜FCを最初は密かに、上京してからはそれなりに三ツ沢にも通いながら応援しています。今後のクラブのことを考えると、今年、J2に降格することは、過去2回の降格とは比にならないダメージを受けるような気がしています。

 ここ数年、クラブからは中長期的な計画が多く出てくるようになってきて、横浜FCは変わろうとしています。より具体的に言うと、「大きなクラブを目指す」方向に舵を切っています。新スタジアムの件を含め、戦力面でもかつてに比べると確実に大きな額が投資されています。実際に前回(2019年)の昇格と今回(2022年)の昇格では、恐らく人件費も違うことでしょう。

 それに伴い、クラブからは観客動員面をなんとかしたいという思いも強く伝わってくるのですが、その取り組みも現状ではあまりいい方向に進んでいるようには思えません。

 新たに投資をするということは、リターンがないと失敗してしまいます。つまり、親会社が大きく投資をし始めている以上、横浜FCは観客動員、ファン・サポーターを増やさなければいけないということです。フィロソフィーを作ったり、魅力的なサッカーを目指しているのは、そのための手段の一環だと思います。

 でも、プロサッカークラブである以上、何より重要なのは結果です。
 特に、昇降格があるJリーグにおいて、J1クラブであることは何物にも代えがたいと思います。どれだけ魅力的なサッカーを志向していても、J2クラブではライト層にリーチするのは難しいです。横浜市という、娯楽の多い都市部を拠点にしていることを考えれば、尚更です。

 私は、最近のクラブが大きく成長しようとする動きや、昼田GMの掲げているビジョンはできるなら実現してほしいと思っています。でも、J1残留とクラブのビジョンが天秤にかけられるなら、1サポーターとして「絶対にJ1残留が優先」です。

 今、何より歯がゆいのは、クラブから、現場のコメントから「残留に対する危機感」があまり伝わってこないことです。まだ10試合?否、もう10試合です。シーズンは既に約1/3が終わってしまっているのです。もしも本当にこのままのペースならば、恐らく残留を争うことすらままならないまま、J2降格でしょう。もし、降格してしまったとして、来年1年で昇格できる保証などどこにもありません。昨年1年間J2を経験して、その思いはより強くなりました。今、横浜FCは崖っぷちなのです。その認識も少しズレが有るように感じます。

 どれだけ私達サポーターが共に戦う覚悟を持ったところで、試合で戦うのは選手たちです。どうせ厳しい道程を戦うなら、一つになって目標を明確にして共に邁進したい。それだけなのです。

 現状、私には現場、クラブは「残留をかけて」ではなく、「自分たちのサッカーで結果が出ない産みの苦しみ」と戦っているように見えます。選手たちは必死に戦っている。選手たちだって勝ちたい。そんなことはわかっています。でも、結果だけが必要な時期に突入している今、ピッチ上で起こっている光景から伝わってくるものとの温度差がどうしても気になるのです。

 来年、夢を追って破れたJ2クラブになるのか、J1クラブとして歩みは遅くても夢を引き続き見るのか。どっちが良いのかは誰が見ても明白だと、私は思います。残された時間は決して多くありません。

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