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キラキラしてるねって呪いの言葉

「sumiちゃん、キラキラしてるね!」


そう言われた時に、めちゃくちゃ腹がたった。
悟られないように怒りを隠して笑顔でスルーした。
でも結局スルーしきれてないのだ。
だからこうやっていま書いている。


キラキラしてるって褒め言葉(世間一般的には)を、
どうして素直に受け取れなかったんだろう。


この言葉をかけてくれたのは、とあるグループのリーダーの人。

私は、その人が主催するイベントのチラシをデザインしていた。
右も左もわからない中、はじめてデザインを作っていた最中のことだった。


「私、全然センスないからsumiちゃんのセンスに任せる!
だって、sumiちゃんのデザインオシャレで好きだから!」


その言葉を鵜呑みにした当時の自分に、
「ちゃんとデザインのやり方を調べろ!」と言いたい。
そして同情する。


はっきりいって、こんな言葉は「無自覚な嘘」だ。


全部好きにしていいよ!任せるよ!
は絶対後からなんか言われる。


イベントの告知チラシを作ることになって、
知らされた情報は、日時と場所、タイトル。
そして何枚かの海の写真。

誰をターゲットにしているとも、
どこかに貼るのか、配るのか
どのサイズで何部刷るのか
そもそも印刷するの?
SNSで告知する用の画像なの?
何も決まっていない。


そして自分なりに作った結果……
お分かりかと思うが修正依頼の嵐だった。



「え?ロゴ入ってないじゃん!入れて欲しい」(初耳)
「もっと目立つように文字を太くして赤にして欲しい」(クソダサ指示)
「写真がわかりにくい」(渡された写真なんですが)
「印刷もしたいけど、インスタのが使う場面多いよ!」(どうしよう)


自分の力不足だと思った。
何しろ、初めてつくるデザイン。

これじゃダメなんだ、センスないんだ、
間違ってるんだと一生懸命修正する。



そして提出。


「もっとロゴ大きくして欲しい!」
「この写真こんなに大きくしなくてもいいじゃない?
その分こっちのタイトルとか日にちをもっと目立たせて!」
「お花のイラストをいれてほしい!」


他にも修正点はないですか?
(本質的に)どこが気になりますか?
どうやって広報する予定ですか?
と追加で聞いたがほとんどが分からない、決まってない、だった



再度修正して提出。


「ありがと〜!」
ようやくリーダーからOKが出た


これで印刷に進める!と思った数日後、
サブリーダー的な立ち位置の人から連絡が。


「ロゴ、もっと大きくならない?
せっかくイベントするなら、私たちをもっとアピールしなきゃ!」
「この団体名も、もっと赤とか目立つ色にしてさ!」



振り出しに戻った。



リーダーもサブリーダーも、もちろん悪気はない。
要望をただ伝えてくれているだけ。

そう、ひとえに私の技術不足だし、
知識不足だし、経験不足。

デザインをいきなり作り始めるんじゃなくて、
その前段階のカウンセリングがとても大事。
きちんと計画した上でスタートしないから、
後からドミノ倒しになるんだ。

この事でものすごく、強く実感した。

(自分のことを棚に上げていうけど、正直、めちゃくちゃ辛かった)


次のイベントもまたチラシをお願いされた。

今度はちゃんと打ち合わせをするぞ!と意気込み、
自分なりに質問を用意して臨んだ。



「sumiちゃんの好きに作っていいよ!」
「前みたいな感じでさ!」


リーダーはとても忙しい人だった。
団体の運営もほとんど一人でしていて、ご家庭の事情もある。
私と打ち合わせをしている時間なんて
そもそも無いのであった。


それでも何とか話を聞いて、
細かいところは全然未定のまま企画をスタートしていることが判明した。


(マジか。どうしよう)


前回の修正の内容から、「きっとこういうことを望んでいるんじゃ?」
と推測をしながら制作した。


「写真が大きすぎるから、小さくしてその分団体名を大きくしよう!」
「この注釈の表現抜いてほしい!」
「後援◯◯◯が抜けてるよ〜!」
「▲▲ちゃんがいま確認してる情報、確定したら入れてほしい!」
「このイベントが終わったら、同じ日に別の場所で□□するから
そのことも入れて!」


初耳後出し情報のオンパレードだった。


ここまで後出し情報が多いと、0から作り直しである。

その後も、サブリーダーからのチェックが入ったり、
急遽予定が変わったり、
たくさん、たくさん修正したし、
他の役割も同時進行でおこなった。



なんとか、ギリギリのところでイベントが終了して一言。


「sumiちゃん、キラキラしてるね!」


この一言の裏側には補足情報として、
「まだ子供が小さい(当時1歳とかだった)のに、家事も育児もして
デザインまで作ったり他のこともやりきって、本当にすごいよ!
キラキラしたママだね!」

がある。
そうやって実際に言われたし。


めっちゃ腹が立った。


確かに子供が小さくて、寝かしつけたあとデザイン作ったり、
まだ保育園に入れてなかったら、日中はずっと子供と二人きりで、
家事もそこそこやって。



このボロボロの私に「キラキラしてるね!」って言われたことが
めっちゃムカついたのだ。



あんなに振り回されて。
対策しようにも、私の知らないところで変更になったり
追加になったり、その度に皺寄せがきて。


そもそもちゃんと計画して、打ち合わせしていたら
こんなに時間もかからないし、ボロボロにならなかった。

やりがいがある、というよりかは、無茶振りに振り回されながら
なんとか走り切った、という感じ。


そうか、ボロボロじゃなくてキラキラしてるように見えるのか。



…悔しい。

私が思っている自分と、相手からみた私。
その差に無性に腹がたったのだ。

ボロボロになる要因を作った張本人に言われたから余計に。



ふざけんな!
こっちは無計画なプランの修正や対応に追われてたんだぞ!
あんなに「今度は打ち合わせしっかりしましょう」って言ったのに!
あんたのミスの尻拭いの一部をしてたんだぞ!
小さい子供がいるからって、言い訳にしたくない一心で頑張った!
だってそんなの子供に1番失礼じゃんか!
ママなのにすごいね!じゃなくて、私だからやり切れたの!
ママってカテゴリに当てはめて評価してんじゃねーよ!

ねぇ、子供を産んだら、私は私じゃなくて「ママ」としか見られないの?


そんなことはもちろん言わず、
笑顔で「全然そんなことないですよ〜!」とジャパニーズ謙遜。



ここまで書いて初めて気がついたけど、
私は他人からママって呼ばれるのが相当嫌いなようだ。
保育園の先生とかならいいけど、そうじゃない人にまで言われる筋合いはない。
だってそうじゃない?
※同じように「社会で輝く女性」とかいうのも腹が立つ。


輝くってなんやねん
キラキラってなんやねん
活躍する女性ってなんやねん

普通に生きとるだけじゃ足りんのか?
キラキラせんとあかんのか?
輝いてなきゃならんのか?

何してたらキラキラ認定がおりるんや?
どうしたら認めてもらえるんや?
ママなのにすごいって、女性なのにすごいって
誰に言われなあかんのや?


別にキラキラしたくない。

私は私がやりたいことを、やりたいだけ。


女性とか男性とか
ママとかパパとか
(もっと多くのカテゴライズ含め)

そんなんじゃなくて人間として存在させてくれよ。

もしもお気持ちを頂けましたら、これまで以上に文章でお返しをできるように今後の活動に役立てていきたいと思います。