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小説・短編集

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#甲子園

夢の続き

 とても暑い日だった。最高気温がその年の最高記録を更新するような日。俺はバッターボックスに立っていた。

 地区大会決勝。九回裏、ツーアウト満塁。一点ビハインドなんて漫画みたいな場面で、チームの運命は俺のバットに託されていた。勝てば甲子園出場、負ければ地区大会敗退。

 バットを握る前、そっと尻のポケットに触れる。中には、こっそりと忍ばせた手作りのお守り。野球部のマネージャーが、レギュラーだけに特

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