SaaS全盛期のバックオフィス組織について考える#1

最近、スタートアップにおけるバックオフィス組織の理想像は「各種SaaSを活用して業務設計された、業務のスケーラビリティが担保された組織」であると考えるようになりました。

これまでのテーマは「SaaSを駆使して、どのようにして効率的に業務を遂行するか?」でしたが、最近は上記のような組織はどのようにして構築していけるのか?に興味関心が移ってきています。

エンジニアの世界では「システム(アーキテクチャ)の設計は、それを生み出す組織に依存する」という内容で有名なコンウェイの法則と呼ばれるものがあります。バックオフィスも同じであると思っていて、「オペレーション(業務)設計はバックオフィス組織に依存する」と考えています。両者の違いは、システムが実行するか、人間が実行するかの違いだけです。

これが何を示してるかというと、SaaSを組み合わせていかにイケてる業務設計をしたとしても、組織構造とコンフリクトが生じるようなものであった場合、原則的には、組織構造側にオペレーションが最適化されていくという理解をしています。

つまり、中長期視点で考えると、「SaaSオペレーションを設計・実装・運用できる組織をいかに構築していくか」のほうが短期的なイケてる業務設計より重要性は高いはずです。この点について特にバックオフィス組織においては見落とされがちな気がしており、とても考える意味のあるテーマだなと思っています。

このテーマについて、どのようにアプローチしていくかですが、「逆コンウェイの法則」と一般的には呼ばれている?らしいアプローチで最近考えています。日本ではメルカリのエンジニア組織の設計のブログでおそらく初めて提示された概念。

コンウェイの法則は「オペレーション(業務)設計はバックオフィス組織に依存する」であると書きましたが、これを逆手にとって、あるべき理想のオペレーションを先に定義して、組織はそれに従属する形で設計してしまおうというアプローチです。

イメージとしては、バックオフィスの各種SaaS群が全体の中心に存在していて、その周囲を人間が取り囲んでいるみたいな感じです。人間中心アプローチではなく、SaaS中心でのアプローチ。

この考え方を入口としてスタートすると、組織設計の考え方ががらっと変わってくるなーと思っています。

例えば、一般的なバックオフィスチームの構造として、
・経理チーム
・財務チーム
・労務チーム
・法務チーム
・総務チーム
というような形で、業務ドメイン単位でチームが区切られてきましたが、これはおそらく適切ではない。なぜならば、SaaSを中心とした場合、各種オペレーションは全てが地続きに存在していて、領域ごとにパキッと分割できるものではないので。

そう考えると、理想の管理部組織は
・オペレーションを回す部隊
・オペレーションを改善する部隊
・オペレーションじゃ解決できない問題を解決するエキスパート部隊
・オペレーションを設計する部隊
というような形で、ドメインで区切るのではなく業務性質で区分けしていくほうが自然ではないかと思います。

これは組織に属する個人にとっても、非常にメリットが出やすい組織設計になります。分かりやすいところでは、オペレーション部隊は業務領域ごとに、チームが区切られないので、うまく業務をローテーションすれば、各領域の業務を身につけることが旧来型の組織より容易なはずです。

直近話題になった、スタートアップ経理いない問題もこの考え方で整理すると結構解決しやすいなと思っています。(またどこかで書く)

そんな組織どうやって作るんだ?というのは現在進行形で試行錯誤していますが、まずは「理想の業務設計」を短期~中長期でかなり正確に設計できていないと、組織設計はおそらく失敗するので、まずは業務設計をきっちりやりつつ、組織設計を同時並行で進めていく感じです。

という感じであまり前例がなさそうな、理想のバックオフィス組織について考えていることを定期的に発信していきたいと思います。

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