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コンクール・ビフォーアフター

noteの皆さま、こんばんは。元ピアノ講師のSazanamiです。


退職したのは感染症が流行る前。

なので、感染症対策に世の中が大わらわな、いまピアノコンクールはどのように変わったのか。



もと教え子の親御さんから、中学生になったばかりの教え子の、とあるコンクールで弾いた、演奏動画が送られてきて、はじめて知りました。






きょうは、その学びを書き留めます。
あとで何かの役に立つかと思って。








① 開催は、きほん「無観客」


わたしが働いていたころは、「偵察」と称して、教え子が出ていないコンクールも見に行っていました。


入場無料。

いい意味で、
だれでもウェルカム状態だったんです。




だから、出場者の多いコンクールの予選は、なにかのお祭りかと思うくらい、人がごった返していて、500人収容のホールが、ほぼ満杯。


しかも、朝10時頃から始まって、終わって出場者や観客たちが帰り出すのは、夜8時頃とかでした。






ロビーは幼稚園児から高校生までの出場者と、その親御さん、兄弟姉妹、祖父母に先生、友人知人に審査員たちであふれていました。


とにかく、熱気がハンパなかったです!






ところが今は、きほん「無観客」での開催。





「有観客」で実施したとしても、きびしい人数制限が設けられていて、会場に入れるのは、出場者と審査員たちと保護者のみ。







わたしの元・教え子のなかには、「観客が多ければ多いほど燃える」と、公言してはばからない子がいました。当時、高校生くらいだったか。


そういう、「見られることが刺激になる」タイプの子にとっては、いまのステージは、演奏していて物足りなかったりするのかも、しれませんね。








そうそう、出場者を教えている先生だって、もちろん会場に入れません。出場者のなかに教え子がいないのなら、なおさらです。


もう昔のように、「偵察」なんて、できません。



あの熱気もないとなると、ちょっと寂しいです。








② 出場者は、演奏前に「手を除菌」



みんなが触るピアノだから、バイ菌がいっぱい!

そんなCMが、あったような、なかったような。





わたしの、ピアノやってる同級生や、働いているときの教え子たちは、コンクールや発表会での演奏前に、ピアノの鍵盤を、手持ちのハンカチで、サーっと拭いていました。




じっさい、前の演奏者が手汗かいたりしてると、次に弾くときには、鍵盤を弾く指がつるんと滑る恐れがあります。





わたしは手汗をかくタイプではありませんが、握っていたはずのハンカチを、無意識のうちにどこかにやっちゃうタイプではあるので、コンクールや発表会でも、ピアノの鍵盤をハンカチで拭いてから演奏したことは、ほぼほぼ、ないです。









でも、アルコール消毒したら、指先がカサカサになって、かえって指が滑りやすい、というか、もつれやすくなりそうです。




手汗かくひとは、それが、かえって良かったりするのか、どうなのか。









どちらにせよ、演奏前にアルコール消毒することで、鍵盤上での指先の感覚が、微妙に変わったりしないのだろうか、と、ちょっとだけ心配になりました。











感染症対策で、やむにやまれぬところなのでしょうが、いまの出場者やピアニストやその卵たちは、指先の「コンディション」を調整するのが、ますます大変そうです。









これから冬になると、手がかじかんで、指が動かなくなるのを防ぐため、舞台裏でカイロを握りしめる出場者たちが、続出するでしょう。




そうなると、アルコールのスプレーを手ぜんたいにシュッ! で、指先、冷えないかしら。








③ 結果と個票(講評)は、後日。




わたしが働いていたころ、コンクールは、出場者全員の演奏が終わったら、審査員代表による全体講評が始まり、


そのあと、1時間くらいして、結果発表。


そして、コンクールがお開きになったタイミングで、ロビーにて、出場者ひとりひとりに宛てた「個票」を、各自もらって帰る。



という流れでした。




会場に残って、結果を聞く緊張感。


かたずを飲み、身を乗りだして、わが教え子の頑張りが、どの程度だったか、しっかり確かめんとする、あの瞬間。




もしくは、結果が貼り出されるのを、そわそわしながらロビーで待つ、あの瞬間。




どれも、忘れがたいです。





バッチリ! な結果なら、その場で手を取りあい喜んで、残念な結果なら、ロビーのベンチに座って一緒に泣く。



もらった個人宛の講評を、その場で開けて、

「ここ、褒められてるよ!」
「あの辺、やっぱり注意されたね」


と、コンクールが終わったあとの高揚感を交えつつ、話しあうこともできました。





ところが。







いまは、それが「ない」模様。










結果は、その日のうちに親御さんにメールで送られてきて、出場者である娘さん(もと教え子)への個票は、後日、郵送で届いたそうです。









結果を知らせるメールが送られてきたのは、夜10時を過ぎたころで、



親御さんは、ご自宅にいながら、かなり悶々と過ごしておられたそうな。






結果や個票について、その日で話せないのは、
なんだか寂しいですね。


とくに個票は、コンクールが終わったあとの達成感や、結果が振るわない場合の悔しさが、内容への理解を促す場合が多いんじゃないか。



個人的には、そう考えますので、やっぱり、すべて終わって、コンクールから気持ちが離れたあとに結果、からの個票、というのは、なんだか味気ないような気はしました。



でもそれが、かえって「コンクールのことを忘れられていい」というひとも、いるかもしれないですね。









感染症対策を実施しながらのコンクール。



これにチャレンジして、いまのこの時期を乗り越え、大人になった「ピアニストたち」


彼ら彼女らが、どんな演奏を聴かせてくれるのか。いまから、とっても楽しみです!



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