木下郁夫

愛知県立大学外国語学部国際関係学科教授。2000年、早稲田大学大学院政治学研究科単位取…

木下郁夫

愛知県立大学外国語学部国際関係学科教授。2000年、早稲田大学大学院政治学研究科単位取得後退学。政治学修士。著書に『大使館国際関係史 在外公館の分布で読み解く世界情勢』(社会評論社)と『賢者ガルシアロブレス伝―国連憲章と核軍縮に取り組んだ外交官』(社会評論社)がある。

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    フルタイトルは『グローバルガバナンスはどうなっているのか? そして、どうなるべきなのか? 2024年版』です。amazon.comで売っているプリントオンデマンド版とKindle版と同一の内容です。

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M君と南朝

「市隠」というのは好い言葉だ。市井の隠者という意味だから、町で暮らしているふつうの人々はみな市隠だ。富と権力はなくても、楽しむ術はたくさんある。にもかかわらず、富と権力を特別視した世の中だったからこそ市隠なる語が生まれた。 東京にも市隠はいるだろう。現に、私の親戚も東京に暮らす。小金があるから東京に住めるが、年寄りばかりになってしまった。富と権力を求めて、人は東京に出る。よって東京の社会では、若者と派手な者がまん中にいて、市隠たちはささやかに路地裏で暮らしている。 私の友

    • 授業で『モガディシュ』を観る

      4月24日の授業は韓国映画の『モガディシュ』を観る。外交関係は私の研究テーマだから、それに関する映画は観ておくべきだ。実はもう観たのだが、アクション映画としてハラハラドキドキで面白い! 史実は知らないが、銃撃戦は盛り盛りに誇張されていると想像する。南北関係もリアル。日本では、硬派と銘打ち、抽象的な愛国心や忠誠心を空回りさせたピンボケな史劇がはびこっている。本来の外交、戦争、インテリジェンスはいまそこにある危険に向かいあうものだ。それらは反射的な必然である。これに似ている映画と

      • アレンの映画を授業で観てよいか分からない

        大学に英語を講読する授業がある。今年度の前期に使っているのはウォルター・アイザックソンの『アメリカン・スケッチズ』。 アイザックソンといえば、人気なのはジョブズかマスクの伝記だろう。それらは日本語訳の入手が非常に容易。つまり講読の授業では使いにくい。 https://amzn.asia/d/3ihlYdQ https://amzn.asia/d/fTDObkJ ゴールデンウィーク明けから履修者に訳の担当を割り振ってある。割り振っていない4月23日は『アメリカン・スケッ

        • 江田島にて

          4月16日のゼミの準備をしていない。本来ならば、イスラエルとイランの戦闘について議論しよう、と話題提供するべきだろう。しかし、どうせ私が一方的にしゃべっておわりになる。学生からのコメントも、批判も期待できない。 手ごろで、小難しくなく、心に残る話題はないものか? そういえば、3月の頭に広島に私用で行ってきた。その機会に江田島を訪れたので、そのことを語ろう。 名古屋・広島間は深夜の高速バス。ローンの耐乏生活なのでしょうがない。 紙屋町東から広島港までは広島電鉄で。 宇品

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          世界と日本

          我々の住む日本を一言で表現すれば、極東の大きな島国というところであろう。それが人類の使命を担っているかは分からないが、いっぱしの紆余曲折を経てここに至ったことはまちがいない。今回のテーマは、戦後日本の国際的地位について論じなさい、である。

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          日本の領土紛争

          武力不行使と領土保全は現代世界の大原則である。五大国でない日本のような国は平和的に領土要求をしなければならない。誰が応じるのであろうか?、と軽々しく言うべきでない。なぜなら、それが国際秩序なのであるから。今回のテーマは、日本が現在、抱えている領土問題に関して、日本とその相手国はどのような主張をしているか書きなさい、である。

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          日本の外務大臣

          外務大臣は外交官のトップである。内政や軍事にも注意を払わなければならない首相や大統領といった行政長官とは違い、外交、すなわち平和的な交渉、に専念する。自国の在外公館からの報告を読み、必要な訓令を送る。本省のスタッフとともに、情勢を分析し、政策を練る。しかし、外務大臣は国民に直接選ばれることはない。元首や行政長官によって選ばれ、任じられる。業績を上げられるかどうか以前に、任命権者のお眼鏡にかなわなければ任を解かれる。今回のテーマは、過去と現在において、日本の外務大臣に与えられた

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          日本の外務大臣

          G7

          G7、すなわちグループ・オブ・セブン、はかつて日本語では先進国首脳会議と訳された。そのメンバーのほかにもスイスや韓国といった先進国があるので、その訳語は適切でなくなったのであろう。現在は、主要国首脳会議が正式の訳である。これにはこれで、中国やロシアはどうなのか?、といった異論が出るはずである。また、「サミット」だけでG7を指すこともある。しかし、サミットは首脳会議の意味の普通名詞であって固有名詞ではない。今回のテーマは、1975年から現在まで、G7サミットの役割がいかに変化し

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          地域統合

          地域統合とは何であろうか? 地域の区分に従った近隣諸国どうしの協力・依存・交流、またはそれらが深化・拡大していく過程、と定義できよう。具体的に、どのような例があろうか? アフリカ連合(AU)、東南アジア諸国連合(ASEAN)、カリブ共同体(CARICOM)、中米統合機構(SICA)、湾岸アラブ諸国協力理事会(GCC)、中部アフリカ諸国経済共同体(ECCAS)、西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)、欧州連合(EU)、米州機構 (OAS)、そしてアラブ連盟(LAS)は代表的な

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          モンロー・ドクトリン

          地域主義はグローバリズムの対義語である。また、それはナショナリズムの対義語でもある。かつて地域主義の指導者であったアメリカ合衆国は、いつの間にかグローバリズムの指導者になってしまった。初期の合衆国は当時の世界でも珍しい共和主義または民主主義の政治体制であった。そうした小国がイギリスやフランスといったグローバルな大国に対抗するため、弱い仲間どうしでまとまろうとしたのが地域主義の始まりである。今回のテーマは、アメリカ13植民地が独立して以来の米州における地域主義について論じなさい

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          ソーシャルディスタンス

          2020年に始まったCOVID-19という新型コロナウイルスのパンデミック(世界的流行)は、人々を自宅に閉じ込めた。街から人影は消え、鉄道は空気を運び、国境をまたいだ人の移動はほぼ途絶えた。対面の会話はマスク越しになされ、どこかで咳をするのが聞こえると皆、恐怖感に襲われた。ソーシャルディスタンスは2年目も続けられ、これはまだ続くのだ、と人々はあきらめた。元の生活が戻った2023年でも、屋内ではマスクを着けた人が少なくなかった。今回のテーマは、ソーシャルディスタンスと称して人と

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          グローバル社会の将来

          週末の家族客で賑わうショッピングモールは欧米はもちろん、アラビアでも、中国でも、アフリカでも、世界のどこでも見られる光景である。何でも揃い、何でも買え、クレジットカードが利用でき、美的センスのある春の気候の遊歩道をぶらぶら歩きすることは楽しい。「快適さと美と効率のこの結びつき」を「幸福の物質的諸条件」と述べたのは、フランスの思想家ジャン・ボードリヤールであった。ここでの幸福とは緊張の解消である。労働や季節や性といった複雑なものはすべて均質化されている。彼がショッピングモールを

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          平和運動

          国際政治は国家が主役である、という。しかし、グローバル社会は国家だけからできているわけでない。諸国家の政策が偏っているならば、それを正す必要がある。今回のテーマは、各国政府によるもの以外にどのような軍縮・軍備管理に向けた運動があるか具体的に述べなさい、である。

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          ノーベル平和賞

          ノーベル賞には権威がある。しかし、選考がつねに正しいわけでない。功績とされるものの中には、平和に貢献しなかったもの、動機が不純なもの、なぜ平和への貢献であるのか分からないもの、もある。今回のテーマは、最新のノーベル平和賞受賞者について、経歴、授賞の理由とされた活動、そしてあなた自身の評価を書きなさい、である。

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          持続可能な開発

          このまま経済開発を優先して、環境を破壊し続けたら、経済開発自体が持続できなくなる。将来の世代にツケを回さずに、今の世代のうちに、持続できるようなやり方に経済開発を軌道修正しよう。持続可能な開発は本来、このようなスローガンであったはずである。それが今は違うらしい。 2016年以降における国連の目標である「持続可能な開発目標(SDGs)」は、経済・社会・環境の三つの次元を含む。もはや、経済と環境のバランスだけが焦点ではなく、社会の次元が加わった。A/RES/70/1という国連

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          グローバリゼーション

          今はインターネットにおいて、モノでも、カネでも、ヒトでも、情報でも、世界中がつながっている。それ以前はさぞかし不便であったことであろう。 それでも、交通と通信は日々、発達していた。ジュール・ベルヌの『八十日間世界一周』は、出版前年の1872年の世界を舞台とする。主人公はロンドンから、ドーバー、パリ、ブリンディシ、スエズ、ムンバイ、コルカタ、香港、横浜、サンフランシスコ、ニューヨーク、リバプール、そしてロンドンへと鉄道と船で移動した[1]。 歴史学者のエリック・J・ホブズボ

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