ペルーでの日々の記録

小さな労働者

任地264日目。日曜日。

朝起きて、ああ、この部屋に1日いるのはしんどい!となった。友人とどっかにでかけたいところだが、この町この国の「招待文化」が未だに慣れず、また女性から男性を誘うとなんか勘違いされる節があるらしく、誰かを誘う気にもなれなかったのでとりあえず州都に行くことにした。

州都に来て正解。生き返る。

首都で2番目に大きいショッピングモールで買い物をしていたのだけれど、買い物がそもそも楽しい。買い物が楽しいと感じるのは久しぶり。多分一人で部屋に閉じこもっていることがそれほど嫌だったのだろう。

お昼をフードコートで食べていると、子供がガムを売ってきた。特に私の任地では子供がお菓子を売るのは珍しい光景ではない。州都では珍しいが、少なくもない。丁寧にお断りしようとしたら、見たことのある子だった。

「タンボグランデの人だよね?」と彼が言う。

そう、私の任地で話したことがある子だった。

子供の興味関心度合いはすごい、質問攻めである。

まあ知っている子というのもあって少し話して彼はまたガムを売りに戻った。

しばらくして私は買い物を続け、次にカフェに入った。

そしたらまた同じ子が別のお菓子をもって登場。1日このショッピングモールにいるのだろうか。

タンボグランデでお菓子を販売するならまだしも、この州都まで来てお菓子を販売するというのはなかなか大それている。家族と一緒なのだろうか。

カフェで私はもちもの大全開。パソコンや携帯など私の持ち物に興味津々。質問攻め。

私も答えてばっかりは嫌なので質問をすると、家族で来ていて10歳とのこと。普段は学校に通っているみたい。よかった。

それでも彼はお菓子を売り続ける。

この町ではお菓子を箱買いして、その一つ一つをレストランやバスでひとりひとりに売っていく。購入してもらえる割合は1割五分くらいだろうか。決してみんなに買ってもらえるわけではない。しかも一度全員にまず配って、それを回収するときにいらない人は返す方式だから(いる人はそのままもらってその際にお金を払う)、たまに返しそびられてしまうとその分マイナスになる。

箱買いした値段と、それが全部売れたときの利益、たまに返しそびられてしまったり落としてしまったりしたときのリスクを考えると、この商売はそこまで器用な商売とは言えない。ちゃんと利益をとれているのだろうか。

小さい子が親を助けるためにこうして「手伝い」をするのは全然珍しくない。彼らも労働とは思っていないのだろう。

最初は私はこの子供たちにちょっとびっくりして、かなり警戒していたけれど、普通の子供であり、みんな学校が終わった後に出現することが何となくわかって安心した。学校に行かずに働いている子はそんなに多くなさそうだ。

でももしできるなら、せっかく「商売」をするならしっかり利益を計算して行って、稼げたら自分の人生のために使ってほしいし、できるならしかるべき教育はちゃんと受けていてほしいと思う。友達とも沢山遊んで、食べるものはちゃんと食べて、そのうえでその仕事を楽しめているならいいなと思うけれど。どうだろう、彼らが幸せならいいなと思う。

もし私に身体が何個もあったら、こういう働く子供たちに対して、なにか一緒にやりたいと思う。せっかく働くならそのやり方であったり、人との距離の取り方であったり、働いている子が集まるエリアで副次的な教育ワークショップをしたりとか、友達と遊べるような仲間ができるようなワークショップとか、。彼らにとって何かプラスになったり人生がちょっとだけ豊かになるような何かを。

彼らにとって家族を助けることは当たり前であり、その当たり前を否定することはしたくない、けれども、子供が子供として生きれる環境を作ってあげることは大人の責任であると思う。

必要な時期に必要な分だけ学んで、必要な分だけ遊んで、必要な分だけ大人に甘えて

人ものを盗んだり、悪態ついたり、人の命を軽く見たりすることのない人に育ってもらうこと。

人にリスペクトをもって、人生に誇りをもって、家族を大切にする人に育ってもらうこと。

彼らが「働く」姿をみて、やはりどこかに不安を感じてしまうけれども、大人として彼らに接するときにちゃんと一つ一つ誠実に対応していきたいと思う。

だから彼らがとても汚れた服を着ていたり変に距離を詰められてこちら側に不安を与えるようなことがあっても、無視したりせずちゃんとリスペクトをもって接したいし、人のものを壊したり盗んだりしたらそれが駄目であることを教えないといけないと思う。

今も彼は話しながら私の横に置いてあったレシートをぐちゃぐちゃにして持って行っちゃったんだけれど(それは私のものだから気付つけたりもっていかないでねって、言い忘れたんだけど)、とても距離が近すぎて人の話も聞かないから困っちゃうんだけれど、例えばそういうのに対しても、私がどう感じるかをちゃんと伝えて行かないとなと思う。

多分彼らは、学ぶ機会がなくて知らないだけだと思うんだよね。


やりたいことはたくさんあるなーでも全部はできないなーって思う。

人のものを盗ったらだめということも、知らない子もいるから警戒はするんだけれどね。でも大人の不誠実なところを見て育って不誠実な大人になってはほしくないから、私も誠実に対応しようと思う。

サポートありがとうございます!! いただいたサポートはペルーでの活動費用、地域や国際協力についての学び、出張費に使わせていただきます。