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普通の人になりたい その2

大学生までは気楽だったのに、
就職してから、人生こういうもんでしょって、あきらめてた。
「こういうもん」っていうのは、このまま定年まで勤めて、
で、おしまいってこと。
定年退職した後、無趣味だったら困るな―とか、だから趣味を見つけないとな―とか、そんなことを考えて、また気が滅入るという負のループ。
刹那的なストレス解消はしていたし(旅行とか買い物とか)、楽しみもあったけど、どうしようもない不安に襲われる夜もあった。
今思えば、安定した仕事で、社会的にも信用があって、何を不安に感じる必要があるのかと思うけど、どうにも不安だったのだ。

つまり、初めて、どうやって生きる?ということに直面してしまったから。
いわゆる、敷かれていたレールが突然終わってしまった感覚。
自分で決めなきゃいけない、模範解答はどこにもないという感覚。
周りは、結婚、出産への道へと進み、距離ができてくる。
でも、私は、そこへは進んで行きたくない。それだけはわかる。
30歳にもなって、今さら人生迷子になってどうしよーなんて人は、いないのだ。
そんなことはおそらく、とっくの昔に解決しているんだろう。

就職までは、普通の人として順調なはずだったのに、
それ以降がどうしても、どうやったらいいのかがわからない。
実は、そもそも就職なんてしたくなかったけど、普通の人として生きていくためには就職しかないと思い込み、それ以外の選択肢を考えることも無く、突き進んでしまった。

で、ここにきて、
ん??どうする??今後、どうする??
と、不安になってしまったのだ。

大学を出て、就職をして、これはもうどう見ても望んでいた「普通の人」なのに、どうしようもなく、それが出来なくなってしまった。

でも、じゃあ、どうしたいか、というとそれがわからない。
それまでは「与えられた人生」だった。
喜んで、それに乗っかることができた。
急に、なんでもありなんだと気づいてしまって、でも、そう言われてもわからないという混乱が訪れたのだ。
なんでもありといいつつも、逸脱することさえできない。
それなのに、現状に満足もできない。
楽しいこともあるけれど、心の奥底にはぬぐえない不安が湧き出てくる。
新しい何かを切り開く勇気もない。
誰か、助けに来て!なんて期待しちゃったりして、でも、もちろん助けなんて来ない。

ウダウダしているうちに、やってきたのは「病気」だった。
病気と言うと大げさだけど、大きく体調を崩し、初めて「死ぬかもしれない」ということを感じた。
でもね、不思議なもんでね、死ぬんだと思った瞬間「生きたい、このままじゃ死ねない」って気持ちがムクムクと湧いてきた。

続く



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