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茂木健一郎「もうイライラしない!怒らない脳 怒る自分、キレる他人に対処する科学的メソッド」

4月から新しい職場になり、隣の席は、以前から月1ランチ女子会を一緒に開いたり、仕事の情報交換をしていた友人になった。つい気が緩み、ことあるごとに、怒り気味の愚痴をこぼしてしまっていた。そしてついに、
「怒りがうつりそう」
と言われてしまった。彼女も愚痴や溜めていたことを全く言わないタイプだというわけではないけれど、気心知れた相手であることに甘え、つい思うことを口に出し過ぎてしまっていたかもしれない。
そんなことがあり、図書館の「今日返却された本」のコーナーで見つけたこの本を手に取った。茂木氏の本は非常に分かりやすく、素直に吸収できるところがあるかもしれないから、これをきっかけに自分を見直すことができるかな、とちょっと期待の気持ちが沸き起こった。
日本はGNA世界一の国だという。GNAとは、Gross National Angerのことで茂木氏の造語だという。もちろんデータとして実際に取られているわけではないけれど、あおり運転や店員や駅員への暴力、インターネット上の誹謗中傷など、怒りに満ちていると言われると、そんな気がしてくる。
なぜ怒りが起きるのか。怒りのモトは不安、不満、不調だという。先が見通せないから不安になり、現状が期待や想定より下回っているときに不満になり、本来はもっとできるはずなのに現実がそうなっていないから不調と感じる。言われてみれば、私自信も新しい職場になり、この3つの状態が重なっていて、怒りの感情が湧きおこってしまうのかもしれない。仕事の内容がよく分からない不安、それなのに去年までやっていないこともやらなければいけない状況になっている不満、思うとおりに進められずに感じている不調がそろっている。
一方で、現状や未来を大きく変えようとするいい怒りについても、茂木氏は言及している。例えばスウェーデンのグレタ・トゥーンベリさん。彼女が発するメッセージが怒りをあらわにしていたものだったから、世界中の多くの人に届いたのだという。
確かに、怒りは何かを変えたいという原動力になると思う。
だから私も、不安を早く仕事のことを習得する意欲に、不満を状況を改善する働きかけに、不調をどんな状態にしたいかを顧みる努力に変えなければいけない。
この本には、怒らない脳にしていくか、について、具体的なアイデアがいろいろ書かれている。怒ることにメリットがないことを納得した上で、怒りのコントロール方法や、怒りをどう冷静に伝えるか、といったことが書かれている。怒った瞬間はつい我を忘れてしまいそうだけれど、まだ怒りのレベルが弱いタイミングで対処して、少しずつ身に着けていきたい。

ところで、この本が読んで一番良かったと思ったのは、最後の章、「20世紀の怒り、21世紀の怒り」で、これは本当に目からうろこだった。一見従順そうに見える今の若者たちは、実は怒っていて、それがどのようなものであるか、について書かれているのだ。私は20世紀の常識に対して怒りを感じているけれど、若ぶるわけではないけれど、どうやら、21世紀の若者たちを見習うと、いいことがあるのかもしれない、と思った。そして、これからの若者がどんな世の中を作っていくのかが、本当に楽しみになる。

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