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井庭崇「コロナの時代の暮らしのヒント」

ESSEの特集になってそうな雰囲気のこのタイトル。でも実は、これを書いているのは、創造実践学、パターン・ランゲージを専門分野とする慶応技術大学総合政策学部の教授。とっつきやすい語り口と分かりやすくチャレンジしてみたくなる実践例の影に、パターン・ランゲージの研究に裏打ちされた試みがかくされている。
コロナの時代の、とあるけれど、基本的には、いつの時代でも使える、自分らしく暮らし、仲間や家族と楽しく過ごすためのヒントが書かれている。コロナの時代には、今まで当たり前だと思っていたことができなくなるから、どう工夫をしていこうか、ということを真剣に考えるきっかけとなるから、手にとるいいきっかけになる。帯に書かれた言葉がとても印象的だ。

生活、学び、仕事に子育て
不安に揺れる日々と
いつか思い出になるような
かげがえのないものにする32の知恵

今のこの時代が、大変だったけれど、良かったね、と思えるようになったらどんなに素敵だろう。
思い出にするために必要なことは、この本に書かれていることをそのまま実践するということではない。もちろん、色んな実践例が自分にぴったりとあてはまることもあるだろう。けれど、大切なのは、そこに書かれていることをヒントに、自分には何をできるだろうか、何が合っているだろうか、ということを考えることなのだと思う。それによって始めて今の時代を思い出にすることができる。
パターン・ランゲージとは、うまく実践している人たちの考え方ややり方の「型」(パターン)を言語(ランゲージ)化するというものであるとのこと。成功には何か秘訣があるわけで、ただそれをそのまま適用しようとしても、時代や置かれた環境、その人の性格や資質によって、うまく機能しないことも想定できる。だからこそ、自分だったらどうする、ということを考えなければいけないのだ。暮らしという誰にでも取り組みやすいこと、重ねて、コロナという状況だからこそ、パターン・ランゲージをどう使うかということを試しやすいのだと思う。
少し思ったのが、もしかしたら女性というか、主婦業をやっている人の方がこういうのは、得意なのかな、ということだ。例えば、もちろんレシピどおりにきっちり作らなければいけない、というタイプの人もいるけれど、大抵の主婦は、その辺にある材料を適当に組み合わせてレシピを応用して作るということを日常的にやっている。そして、そのアウトプットが、cookpadにおけるつくレポだったりするわけで。
私も本に書かれていることを、家族や仲間と一緒に実践してみたい。

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