山口つばさ「ブルーピリオド9」
学生のときに、アートに詳しい先輩から「好きな画家とか見つけた方がいい」みたいなことを言われて、そんなことを意識しながら美術館をめぐり、見つけたのがベラスケス。多分本当は、シャガールとかの方が好きなのだけれど、それは誰?と訊く人が結構いるかもしれない人を挙げたい、と思って選んだのがベラスケスでした。
でも、適当に選んだわけではなく、やはり、初めて意識して見た時に、はっとするような感じがあったからです。特に印象的なのが視線。
まっすぐにこちらを見ている目が、生きているようで、自分の方が見られている感覚になりました。
そのベラスケスが、ブルーピリオドの物語の中に登場してきて、ちょっとドキっとしました。ですが、恥ずかしながら、宮廷画家であったという以外には全く知りませんでした。
せやけど
ベラスケスはその逆
「ありのまま」に
書いたんや
王族なのに
美形じゃない
教皇なのに
いやらしい顔
それどころか
奴隷や道化師も
貴族と同じように
高貴に描いたんやで
当時の王族・貴族たちのお抱え画家といえば、本人そっくりではなく、理想の肖像を描くものだったらしいのですが、ベラスケスは、本人そっくりに描いたというところが特別だったらしいです。
描かれている人の視線は、まっすぐに真実を伝えようとしている思いが表れていたのかな、などと想像してしまいました。
ストーリーの方は、大学での一年目が終わろうとしています。高校生の頃からライバル視していたというか、お互いに意識してきた相手と、ちょっと何かありそうな予感があって、次の巻も楽しみです。