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グレッグ・マキューン「エフォートレス思考 努力を最小化して成果を最大化する」

一応、この本を読んでから、終業時刻を終えてからあとちょっとという感じで仕事をするのをやめることにしました。というのは、その10分の違いで、帰り道の混雑具合が変わり、家に着く時間に30分くらいの差が出るのが日常的だからです。それでもつい、これもやっておけば、明日楽になるんじゃないか、という思いで少しだけ残り、結果として、家に着く時間が大幅に遅れるというのを繰り返していました。ですがきっぱりやめることにしました。
もちろん常に、最少の努力で最大の成果を出したいと思っています。なぜ少し残っていたのか、それは、明日が楽になるかもしれない、と思っていたからです。明日の朝一度リセットされた頭でやるよりは、今日のうちにやっておいた方がいいんじゃないか、このメールを返しておけば明日の朝相手がもう返事をくれて、スムーズに事が進むかもしれない、そんな観点で10分残っていました。実際にそうなったかもしれません。でもその分、なかなか進まない車の中で、ブレーキペダルを踏んだり離したりしてふくらはぎが疲れたり、子どもに「トイレになっちゃった」と言われ、トイレに行きたかったんだかトイレをお借りしたお礼に買うお菓子が目的だったのか分からないまま、やむを得ずコンビニに寄り、また10分くらい追加で遅くなるということがありました。総合的に見たときに、本当にその10分が良い方向に働いていたのだろうか、と考えたら、やっぱり違うと気付きました。
この本に書かれているのは、単にこうした、どちらの行動を選べばよいか、といった話だけではありません。
前提としてまず、心のあり方について書かれています。エフォートレスな精神。まず努力をすればするほど、報われるという刷り込みみたいなのを捨てよう、ということが書かれています。その他、苦労してやるのではなく、楽しくやる方法を考えるとか、自分をぐるぐる巻きにする不要な思考を捨てようということなど。私も調子のよい時は忘れているのに、疲れが溜まっていたり、思うように進まないことに突き当たると、古い思考の人に新しいやり方を理解してもらうことができずに批判されたことや、過去に受けた苦情の電話で謂れのないことで執拗に責められたこととか思い出し、憂鬱な気持ちになってしまいます。「ネガティブな感情を解雇する」という言葉は常に頭に入れておきたい言葉です。
次に、そして、エフォートレスな行動について。ここは比較的具体的に、書かれています。例えばゴールを明確にすること、スモールスタート、手順はできるだけ減らそうなど。
最後に、エフォートレスなやり方をどう仕組み化するか、ということです。私は先週末にこの本を読み、とりあえず、終業時刻になったらなるべく早く帰宅しようということにチャレンジしました。それ以外にも、ネガティブな感情を解雇する、というのも大事だな、と思ったのに、また週の後半にかけて起きた新たなちょっと嫌なことに、週末まで囚われてしまいました。部屋に置いてあるこの本を見るたびに、手放せてないということに気付くことはできたけれど、まだ、実際に気持ちの持ちようを変えることはできていないと感じました。
仕組み化のためには、直線的な効果が上げられることだけでなく、累積的な効果が得られる努力をしなければいけないと著者は言っています。例えば早く帰ろうとするだけでなく、明日のやらなければいけないポイントを細かく整理する時間を確保して実行した上で帰るとか(実はこれを早く変えるためにスキップしてしまうこともあった)、ネガティブな感情に囚われそうになったらそれを振り払うための決めごとをするとか。
この本は最初に全体の骨格が明示されていて、さらに、各章の初めに薄く全体がグレーになった数ページが用意されていて、その部分に章のアブストラクト的なことが書かれています。そして、また章の最後にポイントになることがまとめられています。ひょっとしたらこの本そのものも、エフォートレスに読むことも可能、ということを提示しているのかもしれません。
とはいえ、間の文章には分かりやすい説明や、具体的な事例が上げられているので、とても興味深く、楽しく読むことができました。これも読者にエフォートレスに思考を学び取ってもらうための工夫なのかもしれません。

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