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歌うときの上半身


Chère Musique

歌の中での空の高さ

コンサートで、空や星や月などの歌詞を歌うときの首と目線の角度を、いつも考えます。
歌詞をどこまで深く解釈できるか、その解釈をどこまで声で表現できるか、そして私が自分の特徴だと思っている顔つきや態度で見た目にもその解釈を表すことを、とても大切にしています。
私に言わせれば、声で表現している内容と、お客様から見た歌い手の顔つきや身振りなどの見かけが、合っていないなどということは、本当に良い表現者なら無いはずなのです。

ですから、歌詞の中にある空や星や月、森や河、そして風や光なども、それらの言葉を歌っているときの首の角度には、無意識にこだわりますし、目線の角度と目自体の表情も、とても大切だと思っています。

当て振りになりたくない

私は手話で歌うことも好きでよくやるので、それもあって、センスの良くない“当て振り”というのが好きではありません。
とはいえ私も甚だ未完成の歌い手なので、手の処理に困ってカッコ悪い当てぶりを「無意識に」してしまうことも、ごくたまにあります。
そういう時は必ず、解釈が不十分でその情景に入り込むことが完全にできなかった時なのです。
やってしまってから恥ずかしくなり、後悔しています。

地球のうえに

私が半年に一度開催している“音の華”コンサートで第一部の最後に必ず歌う『地球のうえに』は、もう何十年も私がいろいろなところで歌い広めている作品で、作者の佐藤敏直先生のご指示にはないことですが、私が勝手に上半身だけのジェスチャーをつけています。
私のクラスで歌ってくださっているこれまでのたくさんの受講者の方々は、このジェスチャーごと覚えてくださっている方も大勢います。
言葉の違う外国の方や、聴覚障害をお持ちの方などにも、どんなことを伝えようとしている歌なのかが分かっていただけて、とても好評のジェスチャーなのです。
2月の“音の華”コンサートでも客席のほとんどの方が、ご一緒にやってくださいました。
初めて見ても一緒にできてしまうくらい、とても簡単な動きなのでね。
YouTubeにはまだ歌と歌詞しか出していないので、このジェスチャーの動画を求めてくださるお声がたくさんあり、なるべく早く出したいと思って準備しています。

子どもの歌

音の華第二部の前半に必ず入れることにしているのは、子どもたちのための歌のコーナー。
実際に多くの子どもたちが歌っている曲、子どもたちが大好きだと言ってくれる曲にしたいと思って選んでいます。
このコーナーでは、出来れば手話をつけて歌いたいと思っていて、先日2月の開催では、コーラスで入ってくれたメンバーが手話を完全につけてくれました。
とても好評でした。

シニアでスカーフやマラカス

シニアの歌のクラスで、レッスンの小道具として毎回、小さな卵型のマラカスと、リトミックスカーフと言われるとても軽くて素敵な色の大判のスカーフをお配りしています。
そのクラスでは、日本歌曲、童謡、外国の歌曲、歌謡曲、という順番で歌うのですが、その童謡などの簡単な曲の時に、ソルフェージュを兼ねてマラカスでリズム打ちをしながらとか拍子を表現しながら歌います。
そして、歌曲や歌謡曲の時に、スカーフを使って大きな身振りをしながら歌うこともあります。
これらの体を動かしながら歌うということは、上手に気持ちよく歌うために上半身を良い状態に保つのにとても有効なのです。
小道具がなくてもできることですが、あった方が断然、照れずに自然に、効果的に体を動かすことが出来ます。

上半身を表現に使う

歌にとって、上半身に入ってしまう不要な力というのは天敵です。
本当にうまく歌いたければ、下半身でしっかり支えて、上半身の筋肉や骨格を伸びやかにうまく使うこと。
よく手を腰の後ろで組んで歌う方がいますが、あれも実はその体勢によって変な角度で良くない力で声を支えているということなのです。
体の前で手を組むのも、プロの場合は表現としてやっていることなのですが、「休め」の姿勢のように無意識に組んでいる方は要注意です。

というように、上半身の形や動きというのは、表現として使うものなので、普段からそういう意識で気をつけて、目的に基づいてジェスチャーや手話をつけたり、解釈をもとに聴く人に音楽を伝える動きになるように心がけたいと思っています。



Musique, Elle a des ailes.

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