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お尻の香りの運命曲

 今宵、夜の寝かしつけが想定外にスムーズに終わり、ほっと一息ついていたその瞬間、運命はひねくれた笑みを浮かべた。布団をかぶせようとした時、空気に違和感が漂った。それは、お尻からの独特な香り。オムツ交換のタイミングを見事に逃し、僕は重大な選択を迫られた。

 妻に相談すると、彼女は「そんな簡単に起きないよ」と一蹴。その言葉は明確なる「自分で何とかせよ」という宣言だった。ミッション「静かなるオムツ交換」がスタートしたが、結果は予想通り。僕の不器用さが災いし、息子は半目をあけてしまった。

 妻が交代で寝かしつけを始め、僕はその隙にお風呂へ逃走。戦いの後のひとときだ。しかし、寝室からは未だに活気が漏れ聞こえる。湯上りの心地よさも束の間、現実は厳しかった。

 寝室を覗くと、そこにはベッドの柵で遊ぶ息子と、夢の中へと旅立った妻の姿。妻が力尽き、今度は僕が前線に戻る番。抱っこでの再寝かしつけ作戦に出た。

 この日の教訓は、どんなに計画的に動こうとも、子育てにおいては予期せぬ展開が待ち受けているということ。そして、"早く寝られる"という楽観は、よくよく考えたら子育ての世界では稀有な幻想かもしれない。

 そんな夜の小さな冒険を経て、僕は改めて気づかされる。スムーズに事が運ぶ日には、何かしらの試練が待ち受けている。それが人生というものだ。そして、そのすべてを乗り越えた時、僕たちはまた一つ、家族として成長しているのだろう。

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