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もう一度だけでも、会いたい…映画

1995/1/17

私は栃木のホテルにいた。
看護学校を受験するため、山梨、茨城、栃木と転々としていた。

確か、次の受験日まで少し日が空いた。
ただ、北海道に飛行機で帰るより、ホテルの連泊で繋いだ方が安いと判断の末の連泊初日だった。

緊張で眠れなかった連日をこなし、私は束の間の熟睡を貪った。

朝、
枕元のラジオを入れたら(多分何かのボタンを押したら入ったと思う)なんだか様子がおかしかった。

ぐっすり寝過ぎて呆けた頭では理解し難かったし、大きな地震というのは関東に来ると思い込んでいた。

私がいるのは栃木だが、そんな大きな地震があったのに全く気づかず寝ていたのか?え?え?え?

とりあえず飛び起きて窓の外を見るが変化がない

テレビをつけて、やっと状況が飲めた。
そして急にものすごく心細くなった。
アウェーであり、多分、人生で初めて大きな地震災害を目の当たりにした。

携帯もポケベルもない時代、公衆電話で実家に電話したと思う。

多分、2連泊くらいだったと思うが、テレビは全てニュースニュースで映像が恐ろしい。
被害の全貌は明らかではなかったが、関西に受験に行った友達は連絡がつかないと予備校の先生が言っている。

皆、滑り止めに受験日の近い学校を23個受験していた。
私は「おもちゃのまち駅」というネーミングに惹かれ関東中心に選んでいた。
または関西中心に選ぶ友達もいた。(幸いのちに無事が確認される)

もう受験どころではなく、一刻も早く帰りたい気持ちでいっぱいだった。

ただ、私も背水の陣だった。
本命は道内だが、ここまで来て受けないで帰るというわけにはいかない。

ソワソワする心で過ごす狭い部屋。
テレビもラジオも不穏なのに、音がないと孤独感が迫ってくる。

ふと、リモコンを押しているとBSチャンネルに変わった。
当時実家でもBSはなく、初めての感覚。

そして、何も変わらないいつもの日常然として当たり前に映画が始まった。

「ナタリーの朝」

正直、古いな〜。暗そうだな〜。面白いのかな〜。
でも贅沢は言えない!

とりあえず見る。

精神安定のために見始めたと言っても良い。

ところが、

ものすごく面白かった!

とにかく、音楽がおしゃれで、恋バナで、親との確執を克服して、自立する女の子の話。
控えめに言って相手の彼がカッコいい(確か?)

なのに、うっすらとしか覚えていないのだ。

数年後、
一人暮らしのアパートでもう一度見たいと思った。

でも古すぎるのかレンタルビデオにはない。
ネットでも買えない。

ああ
万策尽きた。

さらに数年後、
YouTubeでやっとポスターと音楽だけはたどり着いた。
レビューでストーリーもおさらいした。

そうそう!
コンプレックスを克服したんだよね!
なんかおしゃれな街で自分軸を見つけたんだよね!

さらに後に、ナタリー役のパティデュークは、メンフィスベルで大好きだったラスカル役のショーンアスティンの母上と知った。

ここにもシンクロがあった。

あの日の私の波動が引き寄せた「ナタリーの朝」
私の孤独と恐怖を救ってくれた「ナタリーの朝」

まだ起きてはいないけど、自由へ向かって行くナタリーは私の中に眠っている。

多分、ナタリーを起こす時、映画にまた出会える気がしている。

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