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杉本博司 本歌取り 東下り【展覧会レポート】
松濤美術館で行われている、「杉本博司 本歌取り 東下り」 に行ってきました。
【杉本博司さんとは】
写真、彫刻、演劇、建築、造園、執筆、料理と活動分野が多岐にわたる、美術作家です。
以前、CasaBRUTUSの茶の湯特集 石田ゆり子さんとの対談の中で、述べられていた印象的な会話を引用します。
「利休のように、茶人たるもの先例を裏切り、自分のスタイルを持たなければなりません。」
「利休はありあわせの材料で、簡素な小屋のような〈待庵〉を作った、その思想を僕は受け継いでいます。伝統に固執することなく、自由な精神の発露を利休は提唱した。だから時代に合ったもので楽しめばいいと思っています。」
【展覧会「本歌取り 東下り」 について】
本歌取りとは、本来、和歌の作成技法のひとつで、有名な古歌(本歌)の一部を意識的に自作に取り入れ、そのうえに新たな時代精神やオリジナリティを加味して歌を作る手法のことです。
まさしく、利休から受け継いだ精神も、本歌取りも、杉本博司さん制作に通じる信念を感じます。
今回、西国、姫路で始まった展覧会が、東国、東京にやってきたということで、東下りと題されています。
【展覧会レポート】
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B1階の展示室に行くと、壮大な富士山が出迎えてくれます。
葛飾北斎〈富嶽三十六景 凱風快晴〉を本歌取りしたこちらの作品。
杉本博司という現代の偉人を通して、葛飾北斎という江戸時代の偉人に思いを馳せる、不思議な体験でした。
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心惹かれた作品の1つがこちら。
数式を本歌取りした作品です。
言葉では言い表せない美しさです。
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もうひとつ、心惹かれた作品がこちら。
十牛図についても、円相についても、詳しく知らなかったですが、、、
十牛図とは、悟りにいたる10の段階を10枚の図と詩で表したもの。
円相とは、禅における書画のひとつで、図形の丸を一筆で描いたもの。
こちらの作品では、江戸時代の文人である大田南畝の円相を真ん中に置き、上下に十牛図をはめこみ、十一牛図として表具に収めています。
大田南畝は、禅の境地を揶揄するように、悟りの境地である円相を素麺に喩えています。
悟りという奥深い意味を持ちながら、どこかポップで親しみやすいところに惹かれたのかもしれません。
【松濤美術館について】
今回の展示は渋谷区の松濤美術館で行われていました。
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杉本博司さんの思想の奥深さに、ただ感銘を受けた1日でした。
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