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「芸術性」「娯楽性」の違いについて

「芸術性」と「娯楽性」について
書きました。

これでもまだ抽象的だと思うので、
さらに具体的に書いていきます。

(ちなみに、こうして
 具体化していくことによって、
 どんどん芸術性は薄まる(^^;)

記事の中で、
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』
(以下『BTF』)

『ラム/Lam』の
二つの作品を挙げました。

二つの作品は
なんの関連性もないですが、
「映画」というジャンルの中で、
つながっています。

初心者にお勧めするなら
『BTF』

上級者にお勧めするなら
『ラム/Lam』
という話でした。

記事の中にも書きましたが、
なぜ、初心者には
『BTF』をお勧めするのか
というと、

誰にとってもわかりやすい
普遍的なわかりやすさが
あるからです。
(娯楽性が高い)

一方の『ラム/Lam』の方は、
「芸術性」が高いんですね。

初心者が観ると
「?」となるシーンが
多いと思います。

しかし、「映画」
というものの本質から言えば、
『ラム/Lam』の方が
芸術性が高い作品です。

それは文字や言葉によらず、
映像の力だけで、
物事を伝えているからです。

二つの作品を観比べれば、
一目瞭然だと思うんですが、

きっと『BTF』の方が、
登場人物のセリフ、
文字(テロップ)が
多く表示されると思います。

『ラム/Lam』の方は、
セリフが極端に少ないですし、
テロップはほぼなかった気がします。

これは明らかに
「映像」を意識した作りです。

こういう作品は
鑑賞者に察することを
要求する作品なんですよね。

そして、そこに描かれた事象は、
観る者によって解釈が異なる
という部分も

「芸術性」の高さと
繋がっています。

以前、マンガの
『進撃の巨人』を取り上げて、
「これは一つの文学作品である」
と書いたことがあります。

これも似たような
ところがあります。

いや、もちろん
『ラム/Lam』に比べれば、
『進撃の巨人』の方が
まだわかりやすいですが、

『進撃の巨人』も
読者が積極的に読まなければ、
わからないところが
多くあるんですね。

そういう部分も含めて
「文学作品」と言ったんです。

つまり、「具体的」で
「わかりやすい」

鑑賞者が頑張らなくても、
経験の積み重ねがなくても、
すんなり理解できる
「おもしろさ」があるものは、

「娯楽性」の高い作品です。

一方、「芸術性」の高い作品は、
答えが一つではなかったり、

鑑賞する人によって、
感じることが違う
複雑な描かれ方がします。

絵画や音楽、
あるいは詩なんかが、
その手の芸術だと思うんですね。

そういう作品は、
観る人、聴く人を選びます。

最初から魅力がわかる人もいれば、
さっぱりわからない、
死ぬまでわからないと言う人も
いるでしょう。

そういう深い世界だからこそ、
追究しがいがありますし、
一生をかけてつき合うことが
できるわけなんです。

「娯楽性」を
バカにするわけではないですし、
それを突き詰めるのも
すごいことだと思いますが、

ある意味「娯楽性」というのは、
一歩間違うと、
ただただ消費される
ものになる可能性もあります。

一時は、ブームになって
たくさんの人の支持を
集めるかもしれませんが、

ブームが過ぎてしまえば、
忘れられてしまう場合も
多いでしょう。

長い目で見ると、
100年後、200年後にも
残り続けるのは、
「芸術性」の高い作品の方です。

もちろん、この方向性の違いも
またおもしろいので、

私自身はどちらも
楽しませて
もらっているのですけどね。

私自身は、どちらも
楽しめる人こそ、
受け手としては
無敵だと思っています。

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