見出し画像

テレビレビュー『チャッキー』(2021)チャッキーの過去が暴かれる

チャッキーの過去が暴かれる

映画『チャイルド・プレイ』
シリーズは、
’80年代から制作され続けている
ホラー映画作品です。

子どもの姿をした人形に
連続殺人鬼の魂が入り込み、
次々と殺人を繰り返す内容でした。

本作はテレビドラマ版として
制作された最新作で、

リメイクではなく、
オリジナルのストーリーが
描かれています。

’80年代に流行った
この手のホラー作品は、
シリーズを重ねるごとに
1作目にあった恐怖感が薄れていき、

なかばパロディー化していく
というのが定石でした。

『チャイルド・プレイ』シリーズも
その流れの中にあった
作品ではありましたが、

本作では、シリーズの原点とも言うべき、
殺人鬼、チャールズ・リー・レイが
いかにしてチャッキーになったか
という物語も描かれています。

なおかつ、脚本・監督を務めたのは、
シリーズの原案者、
ドン・マンシーニなので、

きっちりとシリーズの流れを汲んだ
内容に感じられるでしょう。

いじめっ子をやっつけろ!
我らがチャッキー

主人公は14歳の少年、
ジェイクです。

ジェイクはある時、
地元のバザーで売られていた
人形を手に入れます。

少々古めかしい見た目で
触れると喋るこの人形を
気に入ったジェイクでしたが、

その正体はチャッキーだったのです。

ジェイクの周りでは
その後、次々と不審死が起こります。

もちろん、これらはすべて、
チャッキーのしわざなんですね。

ここまではこれまでのシリーズでも
おなじみの流れと言えるでしょう。

過去のシリーズと比べて、
変わった点を挙げると、

思わずチャッキーを
応援したくなる場面が多いことです。

主人公のジェイクは、
いじめられっ子でした。

序盤はチャッキーが
ジェイクをいじめているクラスメイトを
粛清するような流れも感じられます。

このいじめっ子は、
本当にひどい奴なので、
思わずチャッキーを
応援したくなるんですね。

おもちゃの人形が子どもを助ける
という構図は、
アニメ映画『トイ・ストーリー』
に似ているとすら感じました。

ところが、徐々にチャッキーは
その本性をあらわにしていくのです。

チャッキーは、
ジェイクが殺人をするように
煽動していくようになります。

この頃になると、
ジェイクもチャッキーに対して、
不信感を抱くようになりました。

チャッキーは次々と殺人を犯し、
ついには、その魔の手が
ジェイク自身にまで
及ぶようになるのです。

今の時代ならではの設定の数々

ここまでのストーリーの
流れからもわかるように、

これまでの『チャイルド・プレイ』
シリーズと本作のおもしろさは、
違うところもあります。

それはおもに
「立場の転換」にある
と言えるでしょう。

序盤ではどちらかというと、
チャッキーは正義の味方のように
見える場面が多いのです。

それは前述したいじめっ子の
イジメぶりがなかなかの
非道ぶりだったのもあります。

ところが、ジェイクがいじめっ子と
和解するようになると、
チャッキーの本性が露呈するのです。

もとより、彼の魂は、連続殺人鬼、
チャールズ・リー・レイですから、
「殺人」そのものを目的として
生きているのでした。

序盤ではそのことを忘れさせるほど、
チャッキーの暗躍ぶりが
視聴者の心に残ることでしょう。

本作の舞台は現代なので、
今の時代にあった設定も秀逸でした。

インターネットが出てくるのは
当然のこととして、

例えば、主人公は同性愛者ですが、
これは、今の時代を
象徴するような設定ですね。

そして、彼が想いを寄せる
クラスメイトの男の子は
ポッドキャストで
音声配信をやっていました。

今の時代はこういうのが
当たり前なんだなぁ、
と改めて時代の流れを感じます。

これまで語られることのなかった
チャールズ・リー・レイの
過去を辿るとともに、

現代ならではの
設定を活かした演出にも
注目してほしいですね。

チャッキーの最初の持ち主、
アンディーも登場するので、
オールドファンは
楽しみにしてみてください。


【作品情報】
2021年放送(全8話)
※日本では2022年6月から配信
脚本・監督:ドン・マンシーニ
出演:ザッカリー・アーサー
   アレックス・ヴィンセント
   ジェニファー・ティリー
配信:Hulu

【シリーズ作品】

【関連記事】



この記事が参加している募集

テレビドラマ感想文

サポートしていただけるなら、いただいた資金は記事を書くために使わせていただきます。