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線路の向こうは遠い世界だった

※2500字を越える記事です。
 お時間のある時に
 お付き合いいただけると嬉しいです。

自転車が乗れるようになった頃の
思い出を書こうと思ったのですが、

思いのほか、過去のグチが
多くなってしまいました。

とにかく、前回の記事で
A 君、B 君が
好きではなかったのが、
伝わったと思います(笑)

もう一つの自転車の思い出は、
彼らとの思い出です。

一緒のマンションだった
C 君もいないですし、

もはや、彼らと私をつなぐものは、
「近所」という
共通項しかありませんでした。

その頃は、もう頻繁に A、B と
遊ぶこともなかったような
気がするんですが、

何かのきっかけで、
当時、流行っていた
『ドラゴンボールZ』の
カードダスの話になりました。

(またしても『ドラゴンボール』^^;)

カードダスというのは、
ガチャガチャのような機械で
買えるカードでした。

カードには、
キャラクターが描かれていて、
当時は1枚20円で買えました。

このカードも流行っていて、
男子は、みんな集めていました。

中でも、みんなが欲しがったのは、
キラキラのラメが入った
レアカードですね。

何かのきっかけで、
A、B と、このカードの話になり、

「レアカードが出やすいところがある」

という話を A、B に吹き込まれ、

一緒に、そのお店に
行くことになりました。

彼らは私に正確な行き先を
教えてはくれませんでしたが、
遠い場所だというのは
知っていました。

もしかすると、
これは土曜日の話だったかもしれません。

というのも、私には
3つ下の弟がいるんですが、

平日の放課後は、
児童会館に預けられていました。

ところが、この日は弟がいたんですね。

近場だったら、
弟も一緒に連れていくことが
できましたが、

A、B が言うには、
遠いところなので、
自転車じゃないと行けない
と言うんです。

それで、なぜ、私が
この出来事が小学校4年生の頃
だと断定できるのかというと、

この時に私が弟に
「『ストリートファイターII』のソフトを
 予約してくる」
というウソをついたからです。

『ストリートファイターII』は、
対戦格闘ゲームの火付け役として、
ゲームセンターで流行ったゲームでした。

そんな『ストII』が、
はじめて家庭用ゲーム機に
移植されたのが、
スーパーファミコン版で、

その発売日が’92年の6月だったんですよね。

たしかに、私は、
行った先のお店で、
『ストII』のパンフレットを
持って帰ってきました。

そして、それを弟に渡し、
弟は親に「予約してきた」
という話をしてしまったので、

後から鬼の形相で、
親から問い詰められました(^^;

なんせ、この頃の
スーパーファミコンのソフトは、
1万円近くしたので。

とにかく、弟には、
そう言い聞かせて、

私は A、B と自転車で
出かけることになりました。

なぜ、私がこの時に
『ストII』の話を弟にしたのか、

これもたぶん、A と B が
「今から行くお店で
 『ストII』が予約できる」
というのを吹き込んでいたから
かもしれません。

つくづく、悪い奴らですね、
A と B は。
(いや、ウソをついたのは自分だけど)

彼らの後に続き、
自転車を漕ぎ続けると、

電車の踏み切りがある
ところまで来てしまいました。

私が住んでいた実家の近くには、
駅があって、

同じ学区の子どもたちは、
みんな、線路の手前側に
住んでいたんですよね。

この踏み切りは
渡ったこともないし、

その先に何があるのかも
全然知りませんでした。

私とは違い、
A と B は慣れた感じで、
踏み切りを越え、
違う学区に進んでいきます。

私も後に続き、
踏み切りを越えました。

その先は、
まったく別世界ということもなく、

家と公園とお店が並ぶ、
私たちが住んでいるのと同じ
普通の街でした。

でも、私にとっては、
はじめて見る場所で、

とてつもない
ワクワク感がありました。

アタルやヒロキと出かける時は、
事前に準備をして、
親にもちゃんと出かける先を
言ってから出かけたのに、

今は、こうして、
A、B とともに、
親にも言わず遠いところに
来てしまったという

まさしく「冒険」
という感じがしたんですね。

この時に、私は、
もう一つ、いけないことを
やっていました。

それは、自宅にあった、
1000円札を勝手に
持ち出したことです。

それまでの私は、
こづかいの数百円は別として、

1000円単位の
買い物をする時には、

必ず、親に言ってから、
お金を使っていたものでした。

この時は、親に黙って、
しかも、誰のお金かわからない、
1000円札を勝手に
持ってきてしまったのです。

罪悪感を感じながらも、

私は A や B の
ペースに合わせて、
お菓子やカードダスに
どんどんお金を使ってしまいました。

そして、帰る時には、
手元にあった、
1000円はキレイに
なくなってしまったのです。

これにはドキドキでした。

なんせ、誰のお金かわからないのです。

1枚20円とはいえ、
親にことわることもなく、
いつもの何倍もの枚数の
カードを買ってしまいました。

家に帰ってから、
まず怒られたのは、

弟を置いていったこと、

さらに「ゲームを予約する」
というウソをついたことですね。

やはり、というべきか、
どこに行っていたのかも
聞かれましたが、

そこはウソをつかずに、
正直に言いました。

A 君と B 君と一緒に
踏み切りを越えて、
知らない学区にまで
行っていたと。

親は驚きました。

なんせ、いつも遊んでいる
アタルやヒロキとは、
そんなことをしないからです。

そして、私が持ち帰った
たくさんのカードダスを見て

「あんた、一体、
 いくら使ったの?
 お金はどこから持って行ったの?」

ということを問い詰められました。

これはヤバいなぁと思いつつも、
私は正直に話しました。

部屋にあった小物入れの中から
1000円札を持っていき、
全部、使ってしまったと。

そうすると、
意外なことに、
思ったほどには叱られませんでした。

どうやら、その1000円札は、
親のものではなく、
私と弟のお金だったようです。

ただ、弟のお金でもあったので、
その点は注意されましたし、

20円のカードダスとはいえ、

そんなものに、
1000円も使うなんて、

ということは言われましたね。

何はともあれ、
ちょっと危ない冒険でしたが、

あの1000円札は
まったく使ってはいけない
お金ではなかったですし、

ホッとした瞬間でした。

ただ、親からは、
あんまり A 君やB 君とは、
「遊ばない方がいいかも」
というようなことは
言われた気がします。

親は親なりに、
子どものことを見ていて、

なんとなく、
アタルやヒロキの方が、
良識があって、
安心できるというのが
あったのでしょう。

親からは、あの子たちに誘われても、
勝手に遠くに行っちゃダメだよ、
と言われましたが、

二度と A や B が
誘ってくることはありませんでした。

もしかすると、
単に A と B は、

「レアカードが出やすい」
と言われているお店で
検証するための頭数として、
私を誘ったのに
過ぎなかったのかもしれません。

そういう奴らでしたし(笑)

とにかく、あの頃、
線路の向こう側は
遠い世界に感じました。

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