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映像で読み解く(8)MV『コトコトことでん』(2020)

かわいらしいジオラマと歌

2020年に発表されたくるりの楽曲です。

香川県の高松琴平電鉄を
モチーフにした楽曲で、

Homecomings の畳野彩加が
ボーカルとして参加しています。

MV は同電鉄沿線の街並みを
おもちゃのプラレールで
再現した映像になっています。

かわいらしい歌と映像が
非常にマッチした MV です。

鉄道や線路だけではなく、
周辺の街並みも再現されており、
紙の箱やプラスチックのおもちゃで作られた
かわいらしいジオラマが圧巻でした。

ローソンやセブンイレブンまで
細かく再現されていて、
実物を知らなくても
思わず感動してしまいます。

立体的なカメラワーク

ジオラマを使った映像で、
ありがちなのは俯瞰的な視点で
全体を捉えた映像です。

この MV でも
上から見おろすような視点が
取り入れられており、
街並みを全体的に見ることができます。

しかし、この MV では、
単純にジオラマの街並みを
俯瞰的な視点で見下ろすだけではなく、

おもちゃの電車に接写したり、
電車の正面から見た映像を入れたりして、
カメラワークが工夫されています。

このような立体的なカメラワークにより、
おもちゃとはいえ、電車らしい
動きのある映像になっているのです。

ジオラマと本物を重ねる

MV には「鉄道好き芸人」として
YouTubeなどで活動している
鈴川絢子が出演しています。

彼女が電車の動く
ジオラマを眺めていたり、
電車を手に取って
見たりする映像も挟まれていました。

映像にジオラマだけではなく、
人物を入れたのも効果的で、
プラレールのかわいらしさが
より際立っているように感じます。

また、海沿いを走る場面では、
走る電車の背景に
実際の海の映像を透過させていました。

このようにジオラマだけでなく、
本物の人物や
実物の映像を差し込むことによって、

ジオラマの良さが引き立っていますし、
広い世界観が表現されているように感じます。

ちなみに、
『コトコトことでん』にカップリングされた
『赤い電車(ver. 追憶の赤い電車)』は、
過去に発表された楽曲の別バージョンです。

この曲は、京浜急行電鉄を
モチーフに作られたもので、
MV は同電鉄で撮影されました。

電車の正面に付けたカメラで
一日中撮影した映像を早回しにした
シンプルなものですが、
こちらもおもしろい映像になっています。

【作品情報】
2020年公開
制作国:日本
アーティスト:くるり、畳野彩加
出演:鈴川絢子
レーベル:SPEEDSTAR RECORDS


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