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エッセイの研究(6)『マンガホニャララ』ブルボン小林

5冊目として紹介するのは、
マンガについてのエッセイです。

ブルボン小林の
『マンガホニャララ』は、

『週刊文春』などの
さまざまな雑誌に掲載された
コラムをまとめたものです。

ブルボン小林は、
マンガの他にも、
過去にはゲームのコラムも書いており、

私がはじめて読んだのは、
ゲームのコラムの方でした。

この方も2冊目に紹介した
ナンシー関と似たようなタイプの方で、
評論を中心に執筆活動をしています。

(その正体は、作家・長嶋有)

エッセイとはいっても、
この本の中にも
かなり評論寄りのものもあるんですが、

ほとんどがエッセイといって
差し支えないでしょう。

ブルボン小林自身も
ナンシー関の影響を
かなり受けていると思うのですが、

やはり、語り口が独特で、
文章そのものがおもしろいタイプですね。

ちょっと、間違うと、
おちょくっているような
文章にも捉えられる可能性もあり、

素人がマネをするには
危ない感じもします。

しかし、この手の文には、
抗えない魅力があるのも事実です。

「評論」といえば、
私も note で似たようなことを
やっているので、
参考にしやすいところがあります。

ブルボン小林の評論の
他の評論家にはない魅力は、

作品について、
他の人が書いていない点について
書いているところです。

例えば、本書の中では、
マンガのロゴについて
言及している記事があるんですが、

マンガに関して、
こういった取り上げ方をする人も
あまりいない気がします。

着眼点がおもしろいですよね。

そして、これを書くには、
マンガ以外の知識が必要になります。

ブルボン小林の
エッセイを読んでいると、

マンガにしろ、ゲームにしろ、
それらの作品を既存の枠に
当てはめるだけではなく、

非常に広い視点から
分析されているのが、
わかります。

ゆえに、本書をはじめとする
ブルボン小林のコラムは
特定の分野にしか興味がない人には
なかなか刺さらないエッセイに感じます。

マンガについて書いているのに、
マンガのことにしか興味がない人には、
このおもしろさが伝わらないことも
あるかもしれません。

逆に、あまりマンガを知らない人にこそ、
このエッセイは
刺さるような気がするんです。

私も作品を語ったりするうえで、
閉じた世界の話にならないように
気をつけているのは、

20代の頃から読んできた
ブルボン小林のコラムの影響が
大きいような気がします。

ブルボン小林のエッセイから得た
「エッセイのおもしろさ」は
「異分野を組み合わせる」です。

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