見出し画像

音声入力の分野で日本にもビジネスチャンスが訪れる?

金田一春彦氏の著書
『ホンモノの日本語』から

日本語と英語の違いについて、
書いてきました。

この本を読んでいて、
もう一つ発見があったのは、

「日本語は音声入力に向いている」
という話でした。

これは前に書いた記事の
「日本語の発音はシンプル」
(発音の種類が112種類しかない)
であることと直結しています。

この本は、今から20年以上前の
’01年に発行された本なので、
多少、状況が変わっているかも
しれませんが、

当時の世界の
言語学者さんの間では、

「音声入力の分野は
 日本語が有利である」
と言われていたそうです。

(この本の裏表紙にも
 「ワープロ音声入力が
  日本語でまず成功した」
 と書かれている)

それはそうですね、
なんせ、日本語の発音の種類は、
112種類で、

英語の発音の種類は、
3万以上あるわけですから、

どちらが音声入力に
向いているかは、
一目瞭然です。

これまでコンピューターの分野は、
おもに「文字」という
視覚情報が牽引してきました。

今、みなさんが覗いている、
スマホやパソコン、
タブレットといった
画面そのものが視覚情報ですし、

人類の歴史そのものが、
「視覚」が牽引してきた
ようなものなので、

言わずもがな
と言ったところでしょう。

コンピューターの分野において、
日本がなぜ、
主導権をとれなかったのか、
といえば、

やはり、「日本語」
という独自の言語を
使っていたから、
というのが大きいでしょう。

いくら立派な
コンピュータを作っても、

それが日本語で記述されていたら
海外の人たちには使えません。

アメリカが
コンピューターの分野を
牽引できたのは、

「アルファベット」
という世界で、
もっともポピュラーな文字を
扱える環境だったからです。

(もちろん、国が総力を挙げて、
 その発展に大きく貢献した
 というのも大きい)

一方、日本語のコンピューターを
作るのは容易なことでは
ありませんでした。

なぜならば、日本語には
「ひらがな」「カタカナ」
「漢字」といった

豊富な文字の
バリエーションがあるからです。

特に、中国から伝わった
漢字の種類は膨大で、
日本独自の漢字も多くあります。

その数は、
JIS に登録されているものだけでも、
2,136字、

大漢和辞典に収録された
漢字の種類だと、
5万字にもおよぶそうです。

英語の発音の種類が
3万以上でしたが、
漢字の種類は、
さらにその上を行くんですね。

そんなこともあって、
日本にコンピューターが
導入されはじめた頃は、

「漢字をやめようか」
という議論が
真剣にされたことも
あったんですね。

とにかく、
この文字の種類の膨大さが

日本語のコンピューターを
作るうえで、
大きなハンデとなりました。

これまではおもにアメリカが
この分野を牽引してきたわけですが、

私が思うに、現時点で、
コンピューターの分野での
文字による表現というのは、
飽和状態にある気がします。

私も毎日のように、
こうしてネット上に
文章を書いていますが、

正直なところ、
そんなに読まれていない
気がするんです。

別に私の記事だけが
読まれていないのではなくて、

「実際のところ、
 みんな、そんなに読みたいか?」
とも思うんですよね。

(文字を読むこと自体が
 わずらわしい人の方が多い)

どんなものかは、
想像がつきませんが、

いずれ、音声入力のような、
聴覚を使ったものが

「ものを伝えたり」
「ものを操作したり」
するためのツールとして、

一般化するのではないか、
という予測しているのです。

「そうかなぁ?」
と思った、そこのあなた、

例えば、今の世の中のように、
デバイスとして、
タッチパネルが主流になったり、

誰もが動画を
見るような時代になることを
誰が想像したでしょう。

たぶん、新しい技術というのは、
そういうものなんですよね。

ある前は想像もしていないのに、
それが「当たり前」になると、
それが「ない」ことが
想像できません。

ですから、
「音声」や「聴覚」を使った
メディアなり、デバイスなりが
覇権を握る時代がくるかもしれません。

そうなった時に、

「日本語」という
識別しやすい音声情報の
言語を扱っている日本は、
かなり有利と言えるでしょう。

そうなれば日本にとっての
ビジネスチャンスが
到来するかもしれません。

サポートしていただけるなら、いただいた資金は記事を書くために使わせていただきます。