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自立したティンカーベルと依存的なウェンディ[ピーター・パン・シンドローム]

ダン・カイリー博士の「ピーターパン・シンドローム」、続編の「ウェンディ・ジレンマ」という本で、

ティンカーベルは、自立した女性のシンボルとして登場します。

対して、ウェンディは、大人になる事を頑なに拒否するピーター・パンの母親役に徹して、彼にいいように使われ最後には捨てられてしまう(ないない島から去る)女性として描かれている。

最終的に、ピーターパンの信頼を勝ち得て、ずっと一緒に居るのは、ティンカー・ベルというわけだ。

初めて本を読んだ2016年頃から、私はそのティンカーベルになることをずっと目指していて…最近ようやくそれになりかかっているという実感がある。

当時はこの本を読んで「元彼はピーターパンだったんだ…!」と本気で信じ込んでいたが、今読み返すと、元彼はピーターパンじゃなかった。少しだけその傾向があるというだけで、彼は彼なりの考えがあって行動していた立派な大人の男性だからだ。

この本に囚われて現実の彼を見ておらず、彼とトラブルになったこともあったし、本当に恥ずかしい。そういうふうにこの本を使ってはいけなかった。「ティンカーベルになるんだ!」と奮起するためだけに使うべきだ。

たぶんもう絶版で手に入らないと思うので、自分のためにも、ピーターパンの解釈として面白いところと、今読んでピント来たところだけメモっておく。
ここ以外の部分は、正直参考にしない方が良い。今の時代はもっといい方法があるし、私のやっている認知行動療法なら半年でティンカー・ベルになれるのだから(目次見てね)。

ピーターパン・シンドローム(ダン・カイリー/小此木啓吾 訳)

ピーター・パンは、若々しさのエッセンスのシンボルである。喜びである。そして疲れを知らない精神の持ち主である。(P.47)
たしかに、大人になるのはいろいろ大変なことだが、ピーター・パンは絶対にいやだと言い張った。…ピーターの若いままでいたいという願望は、大人になることに対する、何かもっと戦闘的な拒絶だったのではないだろうか。もしそうだとすれば、彼は何に悩んでいたのだろうか。(P.48)
こんなことは私も信じたくないが、ピーター・パンは、とても淋しい少年なのだ。彼が住んでいる世界は、敵意に満ちあふれた厳しい世界だ。一見、陽気に振る舞っているけれど、問題だらけで、苦悩の連続の毎日である。彼は、なりたくない大人と、もはやそうではいられなくなった少年との狭間の混沌の世界の中で、身動きが取れなくなっている。(P.48)
バリーは、海賊こそピーターの分身であると暗示している。もう少し時がたてば、ピーターも宿敵・フック船長のように冷酷・残忍な男になっているかもしれない。私は、この考えはかなり当たっていると思う。これこそ、ピーター・パン人間のライフスタイルを「海賊的」と一言で言い表す理由である。(P.65)
海賊たちは帰るべき家を持たない。自分たちの家と呼ぶ場所が欲しくてたまらない。終わりのない旅を続けながら、心の平安を見つけたいと願っている。ピーター・パン人間は、あなたの信頼を盗んでいくが、彼らはそれを使うことができない。自分への愛を持たない信頼には、何の意味もない。実は、ピーター・パン人間の人生に欠けている最大のものが、この信頼である。彼が海賊的行為をするのは、波瀾万丈の人生から、ほんの一瞬でも離れたいからだ。(P.65)
彼の不安がいちばんよくわかるのは、危機感が普通でないことだ。たとえば、フック船長が爆弾の導火線に点火したというのに、落ち着き払って笛を吹いている。死ぬのも、退屈な午後の過ごし方としては悪くないくらいにしか考えてないらしい。ヒステリーでなくたって、キャーッと叫びたくなるこのおっかない状況で、平然と汗ひとつかかない。しかし、ピーターは自分の影がいなくなった時、ひどくあわてた。彼の忠実な影が思うとおりに自分を追いかけてくれないからだ。それと、彼は他人に触れられることを極端に恐れた。一事が万事、ピーターの感受性はまったく歪んでいる。(P.109)
ダーリング家では、父親は男尊女卑論者で、大人の体をした子どもだ。母親は、長い間、夫のお母さん役を演じ、子ども達のために自分を犠牲にしている。…夫婦はしっくりいかず、子ども達はその間で立ち往生したままだ。あの原作の最初の数ページを読めば、何故ピーターが、ダーリング家の子ども達に白羽の矢を立てたか、すぐにおわかりになるだろう。(P.129)
専属の乳母がついているというのに七日も気がつかない。これは悲惨だ。…ピーター・パンはその状況を生き抜いた。「ないない島」で目を覚ました彼は、孤独にも負けず、パニックにも陥らなかった。彼と同じ運命の子ども達ががまわりにいるのを見て、悲惨を勝利へと逆転させた。迷い子たちを軍団にまとめあげ、最悪の形で親から拒否されたという共通点を絆にして、一つの連帯意識を芽生えさせることに成功した。そしてピーターはキャプテンにおさまった。持って生まれたリーダーの資質をフルに発揮し、他の少年たちのために存在理由を見つけてやった。さて、そうして連帯感や、グループ・アイデンティティをもったにも関わらず、ピーターと彼の仲間達は、みんな孤独で、淋しくてたまらない。それを克服するために、悪夢を空騒ぎに変える。子ども達は、いたずらっ子になることで、自分たちの孤独と陽気さと手品でカムフラージュしようとする。ピーターが笛を吹くのも、同じ理由による。(P.145)
「ないない島」の住人の一人であるタイガー・リリー(インディアンの族長の娘)のセクシャルな誘いのメッセージもわからないし、彼のお付の妖精であるティンカー・ベルが示す、普通の女らしい感情もわからない。ピーターは、女性には母親役をやってもらいたい。母親に認めてもらって、やさしく、いい子いい子してもらいたい。(P.164)
ウェンディは、それでも精一杯、ピーターの気に入るようにつとめている。明らかに彼に失望していながら、それでもピーターに、自分は可愛い息子なんだと感じさせるように努めている。しかし、それではウェンディは幸せになれない。ときどきご機嫌をうかがいながら、父親や夫の役をやらせようと、それとなく持ちかけるのだが、たちまちピーターの抵抗に遭う。彼は恋人の役より、息子を演じていたいのだ。結局、またウェンディはピーターの言いなりになっていしまう。(P.164)
ティンカー・ベルもピーターのガールフレンドになりたいのだが、彼女の性格から、いくら恋人でも、ピーターがあまりにもナンセンスなことをやるのに我慢できない。そのために、二人の恋はいつになっても大人のものにならない。ティンカー・ベルは妖精であっても、人間と同じように嫉妬もするし、思いやりの心を持っている。しかしピーターはいつもそういう彼女を拒絶する。ピーターは彼女に代理ママになってほしいのであって、女として振る舞われるのは好きじゃない。(P.165)
ウェンディは、ピーターとの交際に距離を置いて、自分をうまくコントロールしている。まだ自分も少女だというのに、彼の要求はできるだけ聞いて、さからわない。ピーターへの気持ちを、彼を甘やかし、言いなりになることで表現しているのだ。時には、それが彼女を混乱させてしまうのだが、自分に触ってほしくないというピーターの願いを聞き入れて、ウェンディはピーターに触れようとしない。(P.165)
一方、ティンカーベルは陽気で活力に満ちてる。彼女の反応は、たとえ彼女が光のエネルギーという存在にすぎないとはいえ、ウェンディとは対照的に、もっと人間的である。彼女はもっと積極的に愛する相手と成長し、互いに包み合うような愛情関係をピーター・パンに求める。それだけに彼女は、ピーターが何も分からないで自分を拒絶するという思いに苦しんでいる。それでも、ついにピーターは、ティンカー・ベルが自分に触れることを許すが、この妖精の電気エネルギーの一念が、ピーターの人間的な感情に通じる作用を発揮したというのは、なんとも皮肉な話だ。それはウェンディのような人間の女の子にはまずできない芸当だった。(P.166)
しかしピーターは、ウェンディとは最後の最後まで、冷たくよそよそしい関係だった。たしかにウェンディは、ピーターとの愛に関するかぎり、ティンカー・ベルに勝った。それだけに彼女は、さらに大人になった。しかしその結果、ピーターともっと実りある間柄になりたいと願うようになったために、かえって「ないない島」を去らなくてはいけなくなった。(P.166)
おそらく、ピーターの魅力はその永遠の若さにある。ウェンディとティンカーベルは、まさに彼のこの魅力に惹かれた。ウェンディはその子供っぽさを愛し、守ってあげなくてはと考えたし、ティンカー・ベルは、若々しさに満ちあふれたエネルギッシュな青年としてのピーターを愛した。(P.167)
いつかはきっとピーター・パンが素晴らしい、愛のパートナーになるにちがいにない、という気持ちがあればこそ、あなたは彼の子どもっぽいわがままに耐えることができるのだ。もしそれがなかったら、とても我慢ならないだろう。だからこそ、あなたは一生懸命我慢している。そうすることで、あなた自身の心の痛みを癒やそうとしている。しかし、これはよくないことだ。変えようと思えば、あなたは事態を変えることができる。つまり、ピーターパン人間が「ないない島」に飛んでいってしまうのを止めるためには、彼らがまず、どうすべきかを示してあげることが必要だ。それができるのは彼を愛する女性、つまり、あなたしかいない。(P.352)
さらにもう一つ大切なのは、希望を持つことだ。あなたが面倒みることで、どれだけ彼を変えることができるか。トンネルの向こう側で、「大丈夫、大丈夫」とあなたに語りかける燈火(ともしび)がみえる。しかも、この燈火は、明るくなったり暗くなったりしている。しかし、見えるのはたしかで、その燈火は、ずっとメッセージを送り続けている。「私と一緒にやりましょう。きっとうまくいくわよ」「あなたは、いままでと同じことを繰り返していてはだめよ。人生はもっと魅力的で満ち足りたものになるはずよ。そのためにがんばって」と。こう語りかける光は、実は名前を持っている。"ティンカー・ベル"という名前だ。(P.352)
ピーター・パン人間に惹かれる女性には、二つのタイプがある。一つは男性達の面倒を見るのが上手で、すぐに過保護の母親の役割を担ってしまうウェンディ・タイプ。もう一つが、特定の男性と、お互いが協力し合って生き生きとした成長を遂げたいと願うティンカー・ベルタイプ。(P.353)
もともとウェンディ・タイプは彼女自身、自分に自信がないので、ピーター・パン人間に頼られると心が満たされる。何か自分がしっかりしたような錯覚に陥るわけだ。…問題が起こっても、誰にでもよくあることだからいずれ直るだろうと、自分に言い聞かせる。仲良くやっていけば自分の愛の力で、きっと彼も幸せになれると思い込んでいる。もちろん、それは夢にすぎないのだが。(P.353)
ティンカー・ベルタイプは、ピーター・パン人間の未熟さに気づくがその向こう見ずな態度に惹かれている。彼女もまた、いつかは彼が少年くさい振る舞いから、もっと大人になるだろうと期待はしているが、いよいよ見込みがないとわかるとさっさと別れてしまう。しかし、終わりにしたあとで自分にがっかりして、幻滅と悲哀を味わう。彼女には、なぜ自分の愛がうまく成就しなかったか、完全にはわかっていない。(P.353)
「ないない島」に閉じ込められている男性は、たいていウェンディ・タイプの女性と"恋"をする。彼女のやさしさ、同情、過保護にすっかり甘えてしまう。彼のウェンディは、未熟さから彼を守ってくれる。いくら酔っ払って暴れても、彼女ならわかってくれるし、許しもしてくれるからだ。アルコール依存者の周りにウェンディ・タイプが多いのは、そのためだ。(P.354)
うまく「ないない島」を脱出できた男性は、ティンカー・ベルタイプの女性と一生をともにしようと思うようになる。なぜなら、今までその存在にさえ気づいていなかったのだが、豊かな感情を味わうには、成熟した女性の愛情と助けが必要だと気づくようになるからだ。
同様に、もしウェンディが、彼女の中にひそかに充電されていたエネルギーを発揮する時がくれば、彼女もティンカー・ベルになる。もし彼女が、これまでの母親やくにあきあきしてしまったら、なんとか相手を変えようとする闘いを始めるはずだし、もし彼が変わらない場合には、ピーター・パンを見捨てて、大人になるのを恐れない別な男を探すことになる。(P.354)
ピーター・パンとウェンディのカップルに離婚が多いのは、こうした理由からだ。これに対して、もとピーター・パンに人間とティンカー・ベルのカップルは、自分たちの生活の発見に夢中で、人に愚痴など言う暇もない。(P.355)
私は、ピーター・パン人間と、なんとかうまくやろうとしている妻や恋人たちに助言する場合、まず彼女たち自身の悪い習慣に注目する。彼女たちはピーター・パンの欠点を補ってあげたり、彼のわがままに調子を合わせたりする悪い癖を持っているからだ。彼女たちは、ピーターを助ける前に、まずは自分の考えを整理し、きちんと片付いた自分自身のための"心の住み家"を手に入れる事が先決だ。(P.355)
もしあなたが彼の母親役を止めてティンカー・ベルになろうと決心するなら、たとえ途中で彼を失うことがあっても、それはあなたの人生に結局プラスになるわけだから断固たる覚悟で臨んでもらいたい。一方、もしあなたが彼を助けるためだけに自分を変えようというのなら、それは今まであなたがやってきたことと、あまり変わり映えしない。あなたは相変わらず彼を幸せにするための犠牲になり、彼が望むような母親役を果たそうとしているにすぎない。(P.357)

ウェンディ・シンドローム(ダン・カイリー / 小此木啓吾 監訳)

ピーター・パンの母親約を演じることをあっさり拒否し、自分自身が成長し、アイデンティティを見いだすことに専念しようとしていた。そして二人の関係がよくなるのも悪くなるのも、その責任の半分は、自分にあると考えている。当然残り半分の責任は相手にあるというわけだ。彼女は相手が気ままに未熟な行動をすることを許さないし、自分の弱さは弱さと認め、克服しようと、たいへん前向きに生きようとする女性だ。ウェンディはが母親役を演じるのに対して、ティンカーは男性のよき伴侶になる。ウェンディは罠にかかったが、ティンカーは違う。(P.6)
こうしてウェンディは、ごく幼い頃から、大人のフリをしているだけの両親にはさまれて、彼女自身の幼い心をじっと押し殺すことを強いられていた。だから、そんな家庭から飛び出すチャンスが訪れた時、喜んでそうしたのだ。ただし、それがフライパンの中から燃えさかる火の中に飛び込むようなものだとは、気づかなかった。(P.34)
ティンカーになるには、かなりの勇気が要る。自分の"ウェンディ・レスポンス"と対決し、見捨てられる恐怖や劣等感から身を守るために張り巡らした壁を、突き崩さなくてはならないからだ。そればかりか、自分の社会的イメージをいろいろ実験してみたり、あるいはコントロールしなくてはいけない。しかも、そうしなくてはいけないからではなく、あなたが自ら野損でそうするようでなくてはならない。
いずれにせよ、ウェンディ・ジレンマと対決し、自分の生き方を変えることは、おそらく一番怖いことに違いない。
変化によって、願望を実現させる実行能力があるかどうかが試される。願望を実行に移さず、現実から切り離して心の中で思い描いているだけなら、いつまでもその空想にしがみついて居ることができる。(P.172)
彼女たちは、自分の問題について責任を取り、自分の人生をもっとよいものにしたいと望んでいた。彼女たちに共通しているは、なんとかしてウェンディ・ジレンマを解消したいと、心から願ってきたことだ。(P.172)
自分の外に、何か絶対的な応えを見いだそうとするのは、次の二つの理由で間違っている。ひとつには、そうすることであなたは、自分の運命を他人まかせにしてしまうことになる。ふたつには、そうすることで過ちを犯す権利を自ら放棄することになる。…自分自身にそうした権利を与えることで初めて、自分の人生をコントロールすることができるようになり、ついには、自分の運命をも支配できるようになるのだ。(P.173)
「ええ、その通り、私は彼の母親だったわ。それは私の人生の最大の過ちだったんです。二十五年前、彼が彼のお母さんのことでグズグズ言い始めた時、それでも男?と横っ面に一撃くらわしてやればよかったのでしょうね。もっと大人になって、とハッキリ告げて、私かお母さんかどちらか選びなさい、と厳しく突き放せば、ちゃんと私の立場も守れたのに」
彼女はちょっぴりユーモアを交え、あまり深刻ぶって話さなかった。彼女はとても賢い。暗闇の中に、一筋の希望が輝いている。
ウェンディ・ジレンマを克服し、ティンカーになるためには、彼女みたいな前向きの態度が絶対欠かせない。せいぜい笑ってリラックスし、深呼吸して気持ちを静め、頭の回転をいつもより少しだけ速くしよう。別の見方ができないか考えて見よう。
変化に向かって一歩を踏み出しても、必ずゴールまで一直線に行けるとは思わないこと。その間には迷いもあるだろうし、それがあって当然である。(P.215)
ティンカーになるためには、さまざまな試練を経なくてはならない。無菌室で培養というわけにはいかない。周囲の人々とうまくやっていくためには、いろいろな場面で、拒絶されやしないかという不安を引き起こす刺激や、母親訳がうれしくなるような誘惑を克服していかなくてはならない。(P.215)
ティンカーになるためには、自分の人生を自分でコントロールして生きようという自覚が大切だ。もちろんジョギングをしたからティンカーになれるというわけではない。変身するための特別な公式なんか存在しない。つまり、他人が何をした、何を言ったからということは関係なく、一人一人自分で考えて行動することが大切なのである。(P.237)
相手の男性をコントロールしようとすることが、どんなに空しいか分かってはじめて、自分自身のセルフ・コントロールに目を向けるようになる。そして自分自身の人生を送る上で目安となる態度や意見、そして価値といったものを、本当に自分のものとして身につけることができるようになる。どうやって自分を取り戻すかがわかってくるにつれて、もはや、いたずらに彼にとらわれないで済む。(P.239)
ウェンディは、ピーター・パンとごく限られた"分かち合い"しかできない。あまりにもコントロールが過剰すぎて、自信がないので、うっかり失言するのではないか、と気にしすぎるからだ。
これに対して、ティンカーは、堂々と自分の心にあることを話す。自分の心の中にあることを全てわかちあうという情熱が激しすぎるために、かえって逆効果で、相手をたじたじさせることすらある。しかし、少しぐらいやりすぎて、ちゃんと自分のことがわかっているので、大丈夫だ。(P.240)
ティンカーは葛藤の原因について、自分に責任がある部分では認めても、相手に同様のことを強制したりしない。
まず先に、自分が成熟した大人の態度をお手本に示せば、それを見た彼もそれにあやかるだろうと期待している。しかし、そうやってお手本を示されても、いっこうにお返しがなく、彼がしらんふりを続けた場合、ティンカーは、一方的な責任の取り方は意味が無いと、彼と別れることを考えるようになる。(P.245)
ウェンディときたら、自分が大人の付き合いが苦手なのに、それを男性のせいにして、自分の解決能力を見失ってしまう。ところがティンカーは、ロマンスの不確かさに不安とならない。彼女は、それを見つけるのに無理をしないことが、永続的な愛情関係を見つける最良のコツと心得ている。(P.252)
しっかりした自分を獲得する過程で、ティンカーは実にたくさんの失敗を繰り返す。不公平を見つけると、大げさに反発したり、よく考えをまとめないで発言したり、リラックスしてのんびり構えていたほうが良い時に、しなくてもいいことを張り切ってやってしまったりする。しかし、こうした失敗やいたらなさがあっても、テインカーは確実に正しい方向、素晴らしい人間に向かっているのだ。ティンカーになることには数多くのプラスがあるが、なかにはそうすぐには効果の現れないものもある。さらには、現れる変化のおかげで一時的に、苦しくなることも十分にある。(P.262)
「もし、落ち込んだらどうしよう?」というのは昔のセルフ・イメージの名残だ。もしも、この失墜感を前もって知っていれば、実際に起こった時に幻滅しないし、自分もまた人の子であると納得できるので、それほどひどいショックを受けなくて済む。とかく新しいセルフ・イメージは、いちばん必要な時にパアーッと消えたりするが、練習すればするほどに強くなり、新しいセルフ・イメージが古いセルフ・イメージと入れ替わる見通しが大きくなる。古いセルフ・イメージを受け入れはするが、それに従うのは拒否するという経験を繰り返すたびに、この古いセルフ・イメージは力を失って弱いものになっていくものである。(P.264)
今、あなたが歩いているその道は、この先何が待ち受けているかも大体わかっている。少し辛いこともあるけれど、慣れた道の方がいいし、変化は怖いのでそのまま歩いてきた。ところが、ここでもう一本の道と交差した。ちょっと行き先を調べてみると、そちらの方がいい人生を送れそうだ。もちろん、これまでの道だって悪くなかったし、新しい道にバラが咲き乱れているとは思えない。それに、古い道は不快なことがあったけど、少なくとも様子をよく知っている。それに新しい道が本当に約束通りすばらしいか、その保証もない。勝手に思い込んでいるだけかもしれない。でもやはり、新しい道の方が、将来性がありそうだし、建設的な人生を送れそうだ。未知の危険にチャレンジするか、わかりきった古い道のままで行くか、大いに迷う。ここで迷うのは健全なことだし、テインカーに変身中の女性にとって必要だ。せいぜい悩み、迷い、苦しんだらいい。それだけ真剣に考えている証拠だ。成熟し、大人になるためには、変化が必要であり。それなしには、ウェンディ・ジレンマは解決できない。(P.265)
ティンカーになると迷いもするが、自分の中にこんな力が潜んでいたのか、と驚くほど勇気がみなぎってくるのを感じるはずだ。束縛から解き放たれると、自分自身の見方もまったく新しいものに変わってゆく。但し当然のことだが、これもやはりそれなりの関門を通過しないと行けない。(P.265)


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最後まで読んでくれてありがとう!他にも私自身を変えるのに役に立った具体的な方法を投稿してます。私は私が変わる為思考の整理の為にしか書いていませんが、続けて読むとヒントになるかも。(目次を見てね)おかげで精神が成熟したので毎日更新はやめます!何か不明な点等あればコメントなど下さい。