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都立病院独法化に反対 10・16集会&デモ 報告

「都立病院独法化あくまで反対! 都の直営に戻せ」100人の会議室が埋まる大盛況!

10月16日、都立病院独法化に反対 10・16集会&デモを行いました。
小池百合子都知事は、7月1日をもって都立8病院と公社6病院、東京都立がん検診センターの地方独立行政法人化(独法化)を強行しました。
しかし、この2年、都議会包囲デモや都への申し入れを行ってきた医療・介護・福祉労働者や自治体労働者が呼びかける「都立病院をつぶすな署名アクション」、そして病院周辺地域で患者や家族とともに運動を広げてきた仲間が集まり、独法化を打ち破る新たな出発点を作りました。
独法化された病院からも参加があり、錦糸町駅前の100人の会議室が埋まる大盛況でした。以下、集会での各発言の要旨を紹介します。

「都立病院をつぶすな!」この2年間の闘いと展望

この2年間の都立病院独法化反対運動の軌跡を、13分間のパワーポイントにまとめました。パワポのPDFです↓

基調提起(都労連労働者から)

 小池都知事は7月1日をもって8つの都立病院と都立がん検診センター、6つの公社病院の地方独立行政法人化を強行しました。約7千人の医療労働者の公務員身分が奪われ、会計年度任用職員3千人、公社病院の職員5千人、あわせて1万5千人の労働者の賃金も働き方も変えられてしまいました。コロナ禍において最先頭で闘ってきた都立病院の労働者に対して足蹴にするような暴挙を絶対に許すことはできません。
 私たちは、国鉄分割・民営化や独法化を先行した大阪での医療崩壊を例に、独法化・民営化は間違っていること、そして労働組合破壊であることを明らかにして闘ってきました。その中で、都立病院独法化が戦争動員の攻撃であることもつかみました。都立病院独法化の「定款」には「緊急事態に対処するために必要な業務を行う」という文言があります。公務員の身分を奪いながら「みなし公務員」として「命令には従え」と戦争動員を強制しようとするものです。都立病院独法化反対と戦争反対は一つの闘いです。
 「都立病院つぶすな」署名は17805筆(他団体も合わせれば40万筆)・8回の提出行動となり、墨東病院地域から始まった運動は、松沢病院、更に多摩地域へと広がっていきました。そしてこの運動は、安倍「国葬」反対の闘いともつながりました。9月23日と27日の安倍「国葬」粉砕デモなどには、都立病院地域の仲間たちも参加してともに闘いました。
 安倍「国葬」はまさに「戦争のための国葬」でした。自衛隊・儀仗隊による19発の弔砲は周囲を威圧し、自衛隊が主役として登場することで社会を戦時一色に塗り替えようとするものでした。しかし、武道館に迫るデモと九段下交差点での実力の攻防は、その狙いをズタズタに粉砕しました。(中略)これは私たちの闘いがつくり出したものです。都立病院独法化も強行されましたが、闘いはこれからです。

小池都知事は9月30日に「国民保護法に基づく緊急一時避難施設」を指定しました。「ミサイル攻撃等の爆風などから直接の被害を軽減するための一時的な避難施設」として、都営地下鉄などの地下駅舎24施設、公共施設754施設を指定したのです。この中には区役所庁舎、区民館・集会所、児童館、保育園、小・中・高校、特別支援学校なども含まれます。「弾道ミサイルが日本に落下する可能性がある場合、『Jアラート』を活用した緊急情報に従って、これらの施設に避難しろというのです。しかし、こんなことは不可能であることは、10月4日の早朝に「Jアラート」が鳴り響いた時には、北朝鮮のミサイルは日本の1000キロものはるか上空を通過していたことに明らかです。小池知事の真の狙いは、都民に戦争の危機を煽るとともに、指定された施設の労働者を知事のトップダウンで戦争に協力させるということです。
 戦争を止めるのは岸田・小池打倒の闘いです。今こそ労働組合の戦争協力拒否の決起が求められています。都労連の中から闘いを起こしていきます。(以下、省略)全文は以下のPDFから↓

100人定員の会場が一杯に

都立病院の現場と地域から

●墨東患者・市民の会
 山田真さんの講演会から会を結成し、1年。墨東病院前で反対署名と月1回の例会を行なっています。都議会を傍聴し、資料を検討したりもしています。興味ある方は参加してほしい。
独法化反対でやってきて、7月1日を過ぎて「終わり」とはできない。反対と言い続けよう。コロナで2年、社会に覆いかぶさっていた黒い部分が見えてきた。独法化で医療のレベルが下げられる。政治ゲームで振り回してくれるなと言いたい。いろんな人とつながりたい。もっと大きなうねりにしましょう。

●松沢病院を守ろう交流会実行委員会
 独法化直前の6月に地域で集会を開いて「私たちはあきらめない。反対運動を続けるんだ」と確認して、会の通称を「あきらめない会」としました。この間松沢病院前で裏面に署名用紙を刷ったビラをまいたら17筆送ってくれた人がいます。手ごたえを感じています。
 会の90才になるご意見番のメッセージを代読します。
「医療というのは病院職員の尽力で成り立っている。独法化によって職員が何百人も退職されていく現状を小池都政はどのように考えているのか。都立病院が都立病院でなくなり、名前だけ『都立』を残すとは名称詐称ではないか。入院保証金もこれからは10万円とかかかるようになるのではないか。私の家族はパーソナル障害で松沢に入退院を繰り返している。国際的にも有名で歴史のある精神病院。絶対に残してください。」
 独法化反対は戦争反対のたたかいです。医療労働者が直接動員されることももちろんですが、「野戦病院」の論理をあたり前にしようとしていることです。つまり、傷ついた兵士を治療してまた戦地に送り返すことが目的で、命を守り健康を取り戻すことが目的ではありません。つまり医療が医療でなくなってしまう。これをあたり前にして社会に受け入れさせる。こんなことを許してはならなりません。
 もうひとつ、このたたかいは松沢病院など都立病院の仲間を守るたたかいです。この間署名をしていたら、患者さんとおぼしき方が最初は及び腰だったが「なぜこんな活動をしているのか」と聞いてきた。それでこう答えました。「自分は障害がある方のヘルパーをしている。障害を持つ方と向き合うことが仕事。同じように障害者と向き合っている松沢病院の仲間たちが独法化という首切り攻撃にさらされている。絶対に放っておけない。」と。
それを聞いて「署名してよかった。つながれた。」と言ってくれた。ここに本質的普遍的なものがあります。仲間たちを守りたい、助けたい、一緒に闘いたい。これを原動力にして反対運動を続けていきたい。

都立病院の現場と地域から

●多摩連帯ユニオン・根岸病院分会
 府中市にある根岸病院の労働組合です。根岸病院の隣りには4つの都立病院があります。2年間の反対運動を通して、6月の集会デモに、都立病院で働く労働者が合流してくれました。今日も都立病院の労働者が参加してくれています。
JRで「大虐殺」と呼ばれる在来線4割削減が行われていますが、それと都立病院独法化は同じ問題です。根岸病院でも、この春から夏にかけて3回にわたって大規模なクラスターが起こりました。精神科におけるクラスターは極めて過酷です。にもかかわらず、労働者に「危険手当を出さない」と言い張る理事長に対して、35名の労働者が怒りのメッセージを寄せてくれました。それを集めて突きつけた結果、3万円の「見舞金」を労働者に出させました。どんなに小さな労働組合でも職場全体の利益にたって呼びかけるならば、労働者は必ず立ち上がるとつかみました。
 精神科では空室をつくることができず、感染者が増大していきます。岸田政権が作り出した医療破壊そのものです。医療費を削って戦争につぎ込み、労働者を駆り立てていく攻撃に対して、医療福祉労働者が先頭に立って戦争に反対し医療を取り戻す闘いを進めていきます。

泉陽会労働組合の発言

泉陽会労働組合(介護施設)
 「都立病院条例廃止」の3月都議会本会議採決時に反対の声をあげて退去させられました。ちょうどその頃介護施設の職場はコロナクラスター。都立病院があってもご利用者を入院させられないのに、独法化されたらますますそうなると思って「小池都知事、命を守ってください!」と声をあげました。
介護施設では医療行為はできない。「コロナ感染者が出たら入院させる」はずが、国がそれをやめたから当然クラスターになる。感染させた責任を追及して会社と闘っている。「コロナだから仕方がない」なんてできない。命を守る労働者として医療を取り戻すために闘います。
 今は戦争情勢です。軍事費を2倍化するために社会保障費が削られる。ご利用者の入院受け入れ先を探したら、ある病院では30万円の入院保証金を現金で納めないと入院できないと言われた。それで入院ができなかった。カネの命が命の切れ目です。
岸田政権は、保険証を廃止しマイナ保険証を義務化すると打ち出しました。でも、特養ではご利用者の保険証を預かっている。マイナ保険証になったら施設職員がマイナンバーを預かるのか!? 大きな反対運動をつくろう。「戦争反対・命を守れ」の闘いをやっていきましょう。

一陽会労働組合(陽和病院)
2007年10月3日、深夜勤で一人巡視をしていた看護師が、翌日退院を控えた患者さんに刺殺されるという事件から今年で15年たちました。
当時、「1人で巡視をしていた時に起きた事件」と労働安全が核心的課題だと捉え、400人を超える署名やストライキを頂点とする労働安全闘争の中から当局に「3人夜勤2人巡視体制」を認めさせました。
しかし、患者さんが暴れた時の患者制圧訓練(CVPPP)が今も現場では行われています。そもそも精神科病院の人員配置基準が一般病院よりも圧倒的に少ない基準でよいとされていて、医師が一般病院の3分の1、看護師は3分の2、薬剤師も2分の1以下。精神科は「患者さんに人手をかけなくてもよい」とされているが、人手がなければ安易な隔離、拘束、外出制限といった権利侵害にもつながります。心障合併が診れる松沢病院でさえ、精神医療の根本を変えなければ、本来私たちが目指す心と心がつながる精神医療を取り戻したことにはなりません。職場で労働安全闘争を闘うことが、精神医療を取り戻す闘いです。松沢病院を都立病院として取り戻すだけでなく社会保障として取り戻すことが重要です。職場で「患者さんの制圧訓練なんて絶対にしちゃいけない」と言ってくれた労働者がいました。これが闘いの方向を示し、労働組合として確信して進むことができると思いました。
独法化された都立病院の定款には「緊急事態に対処するために必要な業務を行う」とあります。私たち医療・介護労働者に「戦争に加担しろ。命を選別する側に回れ」という攻撃です。命を守る医療労働者としてそんなことは絶対に認められないし、独法化が強行されたから「仕方がない」と諦める訳には絶対にいきません。命を守る医療・介護の現場から先頭で、反戦の声を上げましょう。

保健所の現場から

Aさん
コロナ患者を入院させられない苦労は、保健所の現場も同じです。
医療現場にはお金が回っていないというのに、自治体には医療費や委託契約などに何億何千万円というすごい財源がついています。その結果、人は増えたが、応援職員が委託に丸々置き換えられたり、コロナ感染の状況が全くわからなくなったりしています。これまで保健師が超勤でやっていた夜間電話が委託になった。でも入院調整になればやっぱり保健師がやらざるをえない。すごい分断で、いろんな業務がブツ切りにされています。
委託で来た労働者は1400円ぐらいの時給で、パート週3回とかで人がごろごろ変わっていて、慣れない人が対応して苦情になる。
なぜこうなったか。国が法律化して、委託したら10割出すとしているからです。自治体は金が無いから、「国が全部カネを出すなら委託でいいじゃないか」となって、あっという間に委託化が進み、自治体の業務を請け負う大手の委託会社がものすごい求人を出している。これは、自治体本体を1割ぐらいにしてあとは全部委託にする、非正規にする攻撃です。民営化や独法化はお金の問題というが、そうじゃない。いかに労働者を分断して権力者にとって支配しやすい現場にするためのものです。業務に習熟した労働者が「こんなのおかしい」と声をあげさせない、団結させないためにはどれだけでもお金を使うということです。
労働組合破壊が進んでいる現状、戦争に反対してきた自治労が声をあげられず、国葬への芳野会長の参加にも容認してしまっている現状に対して、現場から闘っていきます。
独法化された後も反対を続けることは本当に大事です。独法化や委託で起きた不利益は、現場の労働者や市民が声をあげないと絶対に変わりません。やった側は「これでうまくいった」と必ず言うが、不利益は弱い側の人たちに押しつけられてきます。そこを掘り返して「これが独法化だ」と声をあげていくことが、労働運動・市民運動の大きな役目です。

Bさん
保健師として都立病院には大変お世話になっています。何十年も仕事していて「お金がある」という人はほとんどいません。お金がない人にとって、都立病院は最後の砦です。
都立病院という名前を付けるのならば都立でいい。「独立行政法人」というが、行政は行政であるべきだし、費用対効果がないところには公的に保障すべきです。なのに保育園や障害者施設など弱いところばかりが民営化されていくのは悲しい。民営化することが市区長の手柄になっています。
区の私立幼稚園では、補助金があっても入るのに20万円ぐらいかかるので幼稚園行けない人もいます。都道府県市区町村の長が、公がやる仕事としてはっきりさせるべきです。都立病院は独法化されたが、今でも私は反対です。

船橋二和病院労働組合

7月8日の第3波ストライキの時の厚労省デモの時は大変お世話になりました。コロナから2年余り、医療現場の大変さは全く変わっていないのに、コロナ患者受け入れている病院には補償金がすごく出て、すごい利益になっています。なのにボーナスは大して変わらなかった。「赤字だからボーナス出ない」はウソだったということです。それと同様、防衛費をいきなり2倍!「国の財政危機だから医療費は出ない」もやはりウソだった。
パンデミックで公立病院の重要性が誰にでもわかるようになって、労働者への賃金と病院を回すお金は別でなければならないとはっきりした。医療・介護は社会保障でなければならないと。こういう中で独法化を進めるなんて普通じゃない。あたり前のことがあたり前じゃなく進んでいくこの社会だということがますます明らかになった。相手があたり前でないわけだから、私たちは腹をすえてあきらめずに声をあげていく以外にありません。
船橋二和病院労組は動労千葉のようになりたいと思ってつくったので、組合のロールモデルは動労千葉。本当に独法化はおかしい、公立病院は増やすべき。その声を大きくするために、11月6日の全国労働者集会にみんな集まってください。
 忘れてはいけないのは、必要な医療が提供できずに亡くなった方がたくさんいたという、あってはならないことが起きたということです。これを絶対に忘れずに絶対に許さずに、「公立病院を広げろ」「医療介護は社会保障でやれ」という声をますます大きくしていきましょう。

動労千葉・佐藤正和副委員長

国鉄千葉動力車労働組合

1987年の国鉄分割民営化から35年たっても絶対反対を掲げて闘っているブレない動労千葉です。皆さんの発言と基調で、思いは一つ。シンプルに11月労働者集会への結集を訴えます。
戦争の問題でも新自由主義の問題でも、問われているのは労働組合です。連合会長の芳野が国葬に出席して、「労働界の代表として弔意を示すために、苦渋の決断だ」と言っている。本当は労働者の怒りの先頭に立つべき労働組合が安倍の国葬に手を貸す。背後にあるのは国家をあげた労働組合解体の攻撃。安倍政権下で、連合的なものも含めて労働組合の存在を許さないという攻撃が開始されたということです。JRにおける社友会の組織化と「労組なき社会化」攻撃。関西生コン支部への大弾圧は2018年から始まりました。湯川委員長には求刑8年、実刑にしようという許しがたい攻撃がかけられています。あたり前の労働運動を犯罪にでっち上げることを許して、労働運動の未来はありません。闘う労働運動を再生させることこそ現代を変革する最先端のテーマです。
動労千葉・関西生コン・港合同の3労組と共に闘う労働組合の全国ネットワークを作ろうと呼びかけて11月労働者集会を開催してきて25周年です。連合本部が生き残りをかけて自民党にすり寄り一体化しようとしている中、労働運動をめぐっても大流動が始まっています。
全世界では労働者が壮大な歴史的決起を開始しています。11・6労働者集会の成功で、戦争の時代に労働運動の新しい歴史を作り上げる新たな一歩を踏み出しましょう。

墨東患者・市民の会

都立病院第3弾署名の訴え 墨東患者・市民の会

待ちに待った第3弾の署名ができました。独法化されて、患者や住民の方の反応はどうかと思っていたが、この署名をやってみて、やれると思った。「もう独法化したんじゃないの」という人も、実は心の中では独法化はよくない、都立であってほしいと思っている。この署名を使って会話ができることが本当に大事。この間は墨東病院前で国葬反対という人と話が尽きなかった。会のニュースを配りながら、独法化だけでなく、社会に対する怒り、国の政治に対する怒りについて会話ができる。この間、錦糸町駅前でも雨の中40筆以上集まった。今日の集会前でも62筆。独法化されても絶対にあきらめない。この署名を使って運動を広げていきましょう。

第3弾署名用紙↓

まとめ

これから年内に「防衛3法」という戦争に向けた方針が出される予定です。この中で、自分で考え、自分でしゃべり、行動していきましょう。
国葬を「国論二分」にしたなら、あと一歩で時代を変えることができます。今日の墨東病院前を通るデモでそれをやりましょう!


錦糸町駅前を通るデモ隊


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