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うねりノート#8 私はあたため続ける

私は助産師だった。
手に抱いている赤ん坊はあたたかい。
が、心臓の振動が感じられない。私はだんだん不安になってくる。

これから赤子はどんどん冷たくなっていくのだろうか。

顔はただすやすやと寝ているように見える。
私は赤子をあたためつづける。赤子は私の体温であたたかいのか、自らのあたたかさなのかわからなくなってくる。

この子を手放したくない。そう思いながら、
鳥が卵をあたためるように、私はあたため続ける。

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