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人材育成の沼


「人材育成」というワードはよく聞きますが
そもそもなんのために人材育成をするか?というと事業を伸ばすためです。

会社は事業を通して社会の問題を解決するために存在していますが、そのための資源として人材が存在します。

目的は「事業を伸ばすため」なのにいつの間にか「人が成長するため」というよくわからない曖昧なそれっぽい表現で様々な取り組みが正当化されます。

■成長のための研修は自己満で終わる
「知識を身につけて欲しい」「営業力をつけてもらいたい」「社内の相互理解を深めたい」などいろんな動機で研修が行われます
しっかりと準備されたコンテンツに触れて、振り返りも行われ、しっかり何を学んだか?のアウトプットもされます。
人として気づきを得られて、大きく成長した!と感じますが、そんな感想を得られたとことで事業が伸びていないとすると単なる自己満足です

しかも成長という観点においても、管理職につき高いパフォーマンスを発揮している人への調査で、「あなたは何によって成長しましたか?」という問いに対して「研修」と答えた人は10%
もいなかったそうです。多くは上司からの指導、自分なりに成果を出したくて試行錯誤したことが成長を実感する大部分を占めていました。

人は研修では成長せず、成果を出す過程において成長します。
だからこそ、研修を満足度とかアンケートなどで評価するのではなく、この研修はなんのKPIにインパクトを与えたいのか?の成果指標を明確に定義することが大事だなと思います。

「この人をどう育てればいいのか?」という問いよりも「この人がどうやったら成果を出せるのか?」という問いの方が扱いやすく、効果性も高いと考えています。
これら2つの問いは似ているようですが、思考もアプトプットもまるで変わります。


■社会人版「宿題ちゃんとやりなさい」
子育てにおいて「宿題やったの?」「ちゃんと宿題やりなさい!」と口すっぱくいうことは効果的ではないという話をよく聞きます
結局そんなアプローチをしていると宿題は「やらされているもの」であって、自分のものとして落とし込めるように学ぶというよりも「こなす作業」という位置付けになります
勉強において大事なことは学ぶことそのものが娯楽化し、誰に言われたわけでもなく自ら自主的に勉強し始めることです。
これは子どもの勉強だろうが社会人の学習だろうが同じ話です

ところが実際に会社では「この研修を会社で導入することになりました。対象者は業務の都合をつけて参加してください」と宿題が出ます。
通常業務で手一杯で色々とやることがあるのに、会社命令なので仕方なく時間を絞り出して渋々受けるみたいな場面が結構あります。

人材育成は
・やりたい!(欲求)
・やれそう!(自己効力感)
・やらなきゃ!(使命感)
という3軸が揃って初めて機能的に動き始めます

やりたい!と想いだけが先行しても何をしていいかわからなくて空回りします
やれそうとイメージがついていても欲や使命感がなければ遂行が中途半端になり、結果につながりません
やらなきゃ!という使命感だけを持っていても、使命感が義務感に移行していき待っているのは疲弊、無力感です

個々人の価値観やスキル、置かれている状況に合わせて、この「やりたい」「やれそう」「やらなきゃ」がバランスよく整っているのか
整っていなければどう補完していくのか?を整えてから学習や研修に臨むことで成果が最大化します

■スキル習得のステップ
なんらかのスキルを身につけようとするときに努力の仕方を間違うケースがあります
何事においても「わかる」と「できる」の間には大きな大きな溝があります

スキル習得の大まかなステップは
①そのスキルの言語化がされている
②スキルの重要性を認識している
③そのスキルの自分の能力を客観的に受け入れられている
④スキル習得のための方法論がイメージできている
⑤スキル習得のための方法論を実践している
⑥ある条件下ではできる
⑦どんな状況下でもできる
⑧状況に応じて使い分けられる

だとしたときによくある落とし穴は③と⑥です

③について
一般的に人は自分の現在地を高めに見積もります(実験によると能力の高い人ほど自分の成績を低く見積もり、能力の低い人ほど自分の成績を高く見積もる)
とすると、本来成長してほしい人の中には「いや、私はこれできてるし」というモードの人が一定数います
そんなモードの人にいくら「これが大事だ!」「こうやってやっていこう」と重要性やトレーニングを説いても「まぁわかってるし」「知ってるし」となるためほぼ意味がありません

⑥について
ロープレをしているとき、練習した直後にはできても、いざ本番になると途端にできないみたいなことが平気で起こります
このある条件下ではできるけど、ある条件下ではできないという自分のスキルレベルを自覚することはさらなる高みへいくために必要になります

このスキル習得のステップを加味して育成プログラムやコミュニケーションを設計していくと効果性はさらに上がります

人材育成は事業を伸ばしていく上で必要不可欠ですが唯一無二の正解なんてなく、不完全で脆い人が運営していくものなので、機械のような再現性もなく、非常に面白くて探求しがいがあるテーマです、、

子どもコーチングという事業も取り組んでいるのですが、大人でも子どもでも
「人が育つ場をつくる」という領域で引き続きもがいていきます


子ども向けのコーチングサービスを展開しています



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