強制愛

久々に読書をしました
ずっと放浪していたくて、一通りの流れがある事、例えば、起承転結だとか、喜怒哀楽だとか、そういう流れを逆走したくて、兎に角、本でも映画でも"物語"から離れていました。物語がダメなら、新書でも…ビジネス書でも…と思ったんだけど、ただただつまらなくて。青二才です。というかそもそも、私は現実逃避のために本を読んでいるので活字を媒介してまで現実を見たくないです。

中山可穂さんという作家さんを知りました。
なにきっかけだったかな?
でも『深爪』『白い薔薇の淵まで』など、あまりにも私が好きな言葉のチョイスで一目惚れしてしまいました。この小説は私に欲情している…!

今回読んだのは『天使の骨』です。
骨と天使には弱いです。彩瀬まるさんの『骨を彩る』村田沙耶香さんの「しろいろの街の、その骨の体温の』、三国美千子さんの『骨を撫でる』…まだまだありますが、骨大好き!
あと天使だと映画『ベルリン・天使の詩』や倉橋由美子大先生の『夢の通い路』にも天使の話ありましたね。
天使だの骨だの、死をやわらかーく演出させるテーマがどうやら好きらしい。
蛇足ですが、喉仏の骨って火葬後1番綺麗に残りやすいらしいです。好きな人が私より先に死んだら喉仏の骨だけこっそり骨壷から盗んで糸を通してネックレスにしたい。私のガチャガチャコレクション(おジャ魔女どれみやカードキャプターさくらのガチャガチャ、ハウルの動く城のミニチュアグッズ)と一緒に並べたい、ピクニックに行く時もディズニーランドに行く時もポッケいれて連れて行ってあげる。君が望むならたまに口に入れてあげてもいいよ

主人公のミチルは天使の幻覚を見ながら、死の淵ギリギリを歩いていました。
過去に愛した女の子、男の子、その誰よりも愛した芝居を破格で住ませてもらっている東京のアパートに置いて約半年間の旅に出ます。もちろん、世界へ。
大きなリュックに最低限の着替えやパスポートなどの貴重品を詰め込んで。でも1番の荷物はこびり付く「死」。死を感じることで生かされてた。生きがいであった芝居が彼女の隣から消えた瞬間、彼女の隣には死が住み着くようになった。そのお陰で彼女には幻覚、天使が見えます。鬱がひどくなればなるほど天使の数は増える。芝居から逃げるように死と共に旅立った東京。

彼女は色々なものを超えて器用に愛することが出来ます。男も女も、猫も犬も、運命も。愛も。本人に自覚はないんだろうけど、愛に区別があっても甲乙はない。しかし人に媚びるような性格でもなく、人にも愛にも愛される。
彼女が本気で愛するものはかつて自分を生かすライフラインだった芝居と、旅の道中で出会い、一緒にタンゴを踊った久美子。
結局最終的には「芝居から逃げる旅」ではなく「久美子を探す旅」になり、スペインで久美子を見つけたシーンでこの小説は終わりです。

今大学に在学中で卒業すればすぐ就職という人間の超王道ルートを辿り、京都みたいに区画整理されたプラスチックみたいな墓に埋まる予定ですが、世界を旅しつつ女を抱きまくる、たまーに男もかじってみる、という選択肢も残されてると思うとなんだかワクワクしてきました。一度でいいから他人が絶対選ばない選択肢をわざわざ選んでみたいですね。そういう人って脳天気に見えるけど実は人生に妙な深みがある人が多いんですよね、そういう大人になりたいです

最近読書感想文が全く書けません。いい作品ばっかり読んでるのに!実は五個も六個も感想文の下書きが溜まっているけどなかなか描き上げられない おーいどうしちゃったんだ



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