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チョコレートリリー寮の少年たち

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自己満足で書いているお話です。チョコレートリリー寮に住んでいる少年たちの、とうといまいにち。 ご飯を美味しそうにたべます。 (少年たちがいちゃいちゃします、要注意)
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2022年11月の記事一覧

チョコレートリリー寮の少年たち アルバイト② 改訂版

チョコレートリリー寮の少年たち アルバイト② 改訂版

今日から放課後、物語喫茶レグルスでいよいよアルバイトが始まる。クレセント店長が何枚もパターンを起こしてくださって、黒蜜店長が夜なべしてミシンと格闘を繰り広げたその結晶、美しい制服を身につけ、お互いリボンタイを結びあったり調整をして、いま、ホールに立っている。
「立派立派、素敵だよ。きみたちみんな、最高だ」
「久々に本格的な服を作った」
「ぼくもあんなにミシンと向かい合ったの、久しぶりだった。楽しか

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チョコレートリリー寮の少年たち アルバイト③

チョコレートリリー寮の少年たち アルバイト③

放課後のお勤めとして、物語喫茶レグルスのウェイターになって一週間がすぎた。すっかり僕たちは、仕事に慣れ、勉強そっちのけでレグルスに通っている。最近大分余裕ができてきて、適度に働き全力でサボタージュする、という黒蜜店長の言葉の意味がわかるようになってきていた。
「僕たちを聖歌隊にしたいって言ってたけど、あれ、本気なのかなあ」
「冗談だよ、どのみちそうなったら僕は全力で無理だと言うよ」
「ロロとリュリ

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ミルヒシュトラーセ家のアフタヌーンティー

ミルヒシュトラーセ家のアフタヌーンティー

今日は、仲間たちを家に連れておいでよと、お父様と約束をしていた日曜日。久々に邸宅のみんなに会いに帰る。せっかくだしという事で、僕らは式典用のローブを着込み、バスに乗りこんだ。
チョコレートリリー寮から実家までは、学院から一時間ほどバスに乗り、邸宅最寄りのバスストップから鳳が車を運転し送迎してくれる手筈になっている。
「ああ……ちゃんとご挨拶できるかな」
「本当に……頑張らなきゃ」
「名乗れるように

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デイルーム ティーパーティ!

デイルーム ティーパーティ!

アマリリスが優しく流れる109号室。僕はその優しく軽やかな旋律にに揺り起こされた。ロロの、松ぼっくりのかたちの時計から、毎朝ながれでるメロディーだ。目を擦りながら起き上がり、ロロのベッドサイドに歩み寄る。ロロはまだすやすやと眠っている。僕は時計のスイッチをオフにしてそっと髪を梳いた。起きる気配がない。こうして見ているとロロは精巧に作られたお人形のようだ。
「ん……もう、あさ」
「おはよう。お茶でも

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スピカとたまごと色んな計画

スピカとたまごと色んな計画

「……さて、リュリュの歓迎会、いつにしようか。俺は最近スイートポテト作りにはまっているからみんなに振る舞いたいな。最近一気に秋の味覚が店頭に沢山並ぶようになってうれしい。あとはかぼちゃ、そうだなあ、かぼちゃとかさつまいもをつかった、ちょっと摘める、ケークサレでも焼きたい気分だ。材料は部屋にあるからもう焼くだけ。明日にしちゃおうか」
いつもの様にデイルームで寛いでいると、ノエル先輩が不意に言い出した

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エーリクの実家の秘密とアストロフィライト寮の蘭

エーリクの実家の秘密とアストロフィライト寮の蘭

今日も全ての授業を終えて、僕たちはいつものメンバーで、デイルームに集っていた。秋は、ぐいぐいと毎日ごとに冬の気配を連れてくる。そして今日、無事、リュリュをノエル先輩に紹介することが出来て、本当に、本当に良かった。
「ようやくだね、こうして仲間になるのは。たっぷり時間をとって歓迎会、やろうな!リュリュ、乾杯!」
ノエル先輩はなみなみと注がれたメロン曹達をかちん、と、リュリュのフラペチーノに重ねた。

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