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チョコレートリリー寮の少年たち

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自己満足で書いているお話です。チョコレートリリー寮に住んでいる少年たちの、とうといまいにち。 ご飯を美味しそうにたべます。 (少年たちがいちゃいちゃします、要注意)
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2022年8月の記事一覧

チョコレートリリー寮の少年たち 学院創立記念日①

チョコレートリリー寮の少年たち 学院創立記念日①

随分涼しくなった風に髪を揺さぶられながら、僕達は周回バスに乗ってアル・スハイル・アル・ワズンへ向かった。まだ、朝の八時だ。今日は学院の創立記念日ということで、みんな浮き足立っている。門限も夜の十時だし、お小遣いが許す限り、好きなものを買うことができる。夜更かしして大切な友だちとこうして非現実な世界に身を投じる、『ちょっぴりわるいことしてる感』に、酔っているのかもしれない。
僕たちは歓声を上げて、窓

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チョコレートリリー寮の少年たち 学院創立記念日②

チョコレートリリー寮の少年たち 学院創立記念日②

店番の木蓮にお水や諸々のお礼を伝え、セレスティアル舎を後にした。また周回バスに乗ろうという話になって、フリーパスがあるのに乗らない手はないよねと、てくてく歩いてすぐそばにある 停留所でバスを待った。行儀よくしずかにしていると、学院生、こんにちは、寒くてたまらないねえと、押し車をゆっくり押しているおばあちゃんに声をかけられた。僕はおばあちゃんを列の先頭に導いた。たすかります、と、とても感謝されて、僕

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チョコレートリリー寮の少年たち 学院創立記念日③

チョコレートリリー寮の少年たち 学院創立記念日③

「きみたち、なにを飲む?あ、リュリュ。ここの店学院と契約してるから500Sで飲み放題食べ放題だから。お代はこのロボットの形をした貯金箱に入れてね」
「安すぎるよなあ。俺もマグノリアで学びたかったよ。まあ、チェリースノーストーム学園では製菓のことを勉強できたのが今役に立ってるし、何より黒蜜と出逢えた」
「さらっと惚気けるな……クレセントみたいな大人からはすごく稼がせてもらってるから、採算はとれてる!

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チョコレートリリー寮の少年たち 学院創立記念日④

チョコレートリリー寮の少年たち 学院創立記念日④

「そういえば黒蜜たちがバスルームから全然出てこないな……ちょっと見てくるから、みんなはすきなものをたべていてね」
「はーいっ」
とおくから三人でなにやら話していている。
「シュガー、何してるの、おいでよ」
「ごめんごめん、髪がはねちゃって、なかなか髪型が決まらない」
「もう、そんなのどうでもいいよ、ねえ、クレセント」
「よくないの!これからクレセントとワゴン引きながらデートなんだから。真宵はちゃん

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【チョコレートリリー寮の少年たち】給食当番3

【チョコレートリリー寮の少年たち】給食当番3

また僕らに、給食当番が巡ってきた。ついこの前すませたばかりと思っていたら、またすぐだ。僕は給食当番と聞いただけで憂鬱になる。
「地獄行きの亡者みたいな顔してるよ、エーリク」
「……だって、嫌なんだもん」
夕方になってもなおぎらぎらと燃えるお天道様の光を遮るように、スピカがデイルームのうすいカーテンを閉めた。それがスイッチだったかのように、ママ・スノウが空調を調整してくださった。
「おれにまかせてお

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