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ほっこりほくほくかぼちゃ味

自分で料理をするようになって、はや2年程度。実家を出るまで、料理なんてほとんどしていなかったけど、今はほぼ毎日料理をしている。

そして今日気づいたこと。それは、かぼちゃの煮物が美味しいということだ。大人になると味覚が変わるというけれど、それとはちょっと違う。昔から、かぼちゃの煮物は別に嫌いじゃない。でも、今日ほど、美味しいとは感じていなかったと思う。

かぼちゃの煮物って、自分で作ったからこそ、美味しく感じる料理なのかもしれない。煮る前のかぼちゃは、当たり前だけどめちゃめちゃ硬い。一口大に切るのも一苦労で、扱いづらい食材だからあんまり手を出さない。私にしてみれば、スタメン入りしない野菜のひとつなのである。だからこそ、手塩にかけて(ただ放置しているだけだけど)やわらかくほろほろに煮込んだかぼちゃの煮物は、その分の苦労も加味してか美味しく感じるのだろう。

そんなかぼ煮を、今日お弁当にいれた。お昼休みに食べる、かぼ煮のおいしさったら。いや、普通の煮物なんだけど、その普通がいい。なんとも安心する。優しい甘味。暖かい山吹色。ほどける食感。すべてがほっこりする。会社に居るけど、つかの間家に帰ったかのような、そんな気分になるのだ。

誰のためでもない。私による私のための、かぼちゃの煮物である。

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今日、職場では来年度の体制がお披露目になった。

私は一つ上の階級に上がりたいと志望していたけれど、どうやら見送りになったみたい。私ではない別の人(先輩)が、選ばれた。

勇気を出して、志望してみたものの。一回言ってみたところで叶うほど、甘くなかった。まあ先輩だし、私より優先されるのは仕方ないか。まだ傷が浅いことを、幸運に思おう。そうやって自分を納得させた。

立身出世には興味ないふりして、結局、誰かに認められたいと思っているんだ。そんなわがままな自分に気づいた一日だった。

選ばれる人がいれば、選ばれない人もいる。その順番は、かわるがわる。今回は、私の番じゃなかった。しょうがないね。そう言い聞かせて食べるかぼちゃの煮物は、ほくほく甘くて美味しい。なんでもない、いつもの味。それが落ち着くときもあるよね。

もう、春になる。これが名残のかぼちゃになるだろうな。




一度はサポートされてみたい人生