見出し画像

【イタリア】キレて言い返して謝罪という週末の荒波

週末には約100人のお客さんがやってくる海辺のレストラン。
Sushi を毎日作り続ける傍らで、接客も行なっています。

やっと夏のような晴天が続き、海に人が増え、
観光客もどんどん来るようになりました。


決戦だった金曜日

平日は連日の雨で人が少なかったので、
sushi は60個ほどしか作りませんでした。
金曜は晴天。空を眺めつつ、どのくらい sushi を仕込めばいいか分からず
控えめにしておくと、あっという間になくなりました。

そんなところにオーナーがやってきて…
すべて売り切れたと告げると、
「週末はたくさん来るから倍以上作るべきだった。
僕のお店では「品切れ」はしない。余ってもいいからたくさん作って。」と
言われました…

なんだかカチーン。
初めての週末に、誰にも支持されずどうやってこの店の状況を知れと?悶々…

限りなく売りたいオーナーと、食べ物を捨てたくないという私の葛藤です。
オーナーの言い分もよく分かる。
でも、一主婦として「節約」に引っ張られる傾向にあり、
切り替えが難しいところ。

しかし隣にいたシェフから、
「大量に作って余ったらオーナーにもって帰ってもらいな」
と言われ、どうにか納得できる着地点を見つけられました。


荒れた土曜日

土曜日はいつもの倍、120個を作りました。
売れたのは半分です。残りは、翌日にも提供できるか、
保存方法の勉強のために容器に移して様子を見ました。

そして、sushi の提供が終わると、
今度はレストランの接客に入ります。
こちらもてんやわんやするほどのたくさんの人がやってきました。
ホールスタッフは4人。さらに新人も加わり6人体制。

私は、牡蠣やえびなどの生食を盛り付ける担当をしながら、
接客のサポートを行います。
飲み物やパンをもって行ったり、お皿を下げて注文を確認したり、
ドルチェやコーヒーの注文を受けたり。作業としては単純です。

70席が埋まった頃、一人の同僚があたふたしはじめました。
お客さんを待たせていること、うまく進まないことに
どんどん頭から湯気が出ているのが見えるんです。

そして、私に生食の注文があると伝えてきました。
通常とは違う内容なので、書いておくね!と言われたけれど、
見ても分からない。聴きに行っても同じことしか言わない。
さらに、生食用のエビが少なくなっていて「どうするの?」と言ってくる。
注文が来たら準備するのかと思いながら、
さらにあれこれ言ってきました。
そしたら彼女が「私がするからいいわ」と。。。


そんな姿に黙っていては舐められると思い
「あなたの説明じゃ分からない。
あなたたちの "普通" は私にとっては新しいことだから、
同じことを繰り返さずに、先を支持してよ!」
と言うと、彼女はぶつぶつ言っています。

イタリアでは日常的に卑語を使います。
何か気に入らないことや、失敗した時に言うんです。
誰もが1日に何度も発する言葉集なので、
聴き慣れたものですが、彼らはこれにより
ストレスを発散していると思うと効果的であるのかもしれません。

私はというと、全く言いません。
放送に携わってきたこともあり、普段から汚い言葉や
流行語は使わないよう心がけています。
日本語でも「やばい、〜しか勝たん、うまい」などは絶対言いません。

その後もあたふたはしばらく続きました。
彼女以外の同僚はまた沸いているな… という
見慣れた様子で傍観していました。

どこの世界にも、先を見込んで指示を出したり、
説明が上手い人はいるもの。短時間で的確な言葉により
人を動かせるようになりたいと思います。

また、相手を傷つけないように伝えることも考えますが、
彼らはにそれが欠けているような…
本音でぶつかり合えるのはいいところ。
でも、同僚を不機嫌にするべきではない。

逆の立場ならどう説明するか考える機会になりました。


超過勤務

夜遅くなったことで、夫が迎えにきました。
今度は夫もなんだか腑に落ちない様子。

5時間の勤務で契約した仕事ですが、
毎日徐々に伸びて一日約9時間に。
もちろんその分給料は出ますが…

話が違う!と、オーナーと話をしたかったようですが、
なだめて、翌朝に電話をかけるよう伝えました。

私としては、まだ準備段階だから慣れるまでの時間だと思い
仕事を優先してきました。
しかし、夫としては話す時間も少なく、家事も後回しにしていることに
不満が溜まっていったようです。
(この間の、買い物、食事、家事は全て夫がしてくれました。できた夫!
一人暮らしが長かったので、なんでもできるし、私より丁寧。)


日曜日の穏やかなこと

翌日は朝から勤務。昨日の疲れをそのままに 重い体を軌道に乗せました。

すると、同僚が近づいてきて。
「昨日はごめん。強く言いすぎたわ。」と。

なんと言うことでしょう!

昨日の疲れが吹っ飛びました。

私も「あなたは忙しすぎるのよ。だから仕方がないわ」と、
上から目線で言い返す。ほら、少し年上だから。アハ
なんて、笑顔で話すことができました。


そして、勤務体制も、再来週から変えていこうと。
ホール担当も「なんでも話をして一緒に解決しようよ!」と、
優しく声をかけて来てくれたのです。


何が起こったの⁉︎

台風一過のような清々しさ。
あまりに急激な運気上昇に驚きを隠せないほど。
嬉しくて仕方がありません。


密かに泣きました

週末の昼食時は、
ベテランミュージシャンが生演奏を行います。
海風が吹くなか、食事しながら音楽を聴く。

イタリアの名曲が始まるやいなや、
レストラン全体に「オォー‼︎ 待ってましたッ‼︎」という
歓喜に包まれます。

そして全員で大合唱が始まるんです。

若者も親も老夫婦も、手前のカップルも、奥の子育て世代も。
それだけでなく、キッチンもホールのスタッフも、
みんなが各々に歌っているんです!

これを傍から見ながら、密かに涙しました。。。

私、大合唱に弱いんです。

老若男女誰もが同じ曲を歌うって、
こんなに美しい光景があるでしょうか。

幸せな職場で働けていると実感しました。

明日からまた笑顔で頑張れそうです!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?